2023年7月11日火曜日

忌怪島(きかいじま)を観てきました

 

何やら恐ろしげなまなざしが睨んでいるところからして、リーフレットだけでホラー映画ということがわかる。

昨日も関東地方は39度くらいが最高気温だという、とんでもない酷暑で、ゆうべはナイターで深夜枠での鑑賞だったが、それでも暑い夜だった。

シアターにはすでに予告編が流れ出していたが、観客が誰もいなくてびっくりした。このまま私一人だけだったらどうしようかと思ったが、後から計3人が入場してきてよかったと思う。

 映画自体は作り物である以上、本気で怖がることはないが、深夜、劇場内で一人、ホラー映画を見ていた時に、なにかが劇場内で起こった時には怖いと思う。(自分以外いないのに、物音や人声、ラップ音などがしたときなどである。)

怖い話を見たり聞いたり、心理的に不安定な状況になるなど、その場にいる人間の心理状態によって、何かを呼び寄せたり、見聞きしやすくなるということは、あるかもしれないと思う。心霊的なものを肯定しなくても、いやな予感、とか、なぜかここは不気味な感じがする、などの感覚はさほど否定するものではなく、それを回避したい、というのは普通の心理である。(だから、目に見えなくても超常現象というのはあるのではないか、と言われるわけである)

さておき、本題に戻す。

わかりやすく言うと、ヴァーチャルな感じの貞子、という感じの幽霊だろうか。

忌怪島を完全にスキャンしてヴァーチャル空間として再現するという「シンセカイ」プロジェクト。ところが、以前そこであった惨劇の渦中にいた「イマジョ」の存在が脅威をもって遅いかかってくる。村人たちにもてあそばれた挙句、惨殺された恨みを持ち、怨念の塊となったイマジョ。それがヴァーチャル空間に再現されてしまい、シンセカイ関係者や村人を次々と殺害していく。島の霊能者によると、海中に建てられた鳥居を通じて、ヴァーチャルと現実空間を行き来できるようになっているのだという。入浴中のお湯の中から現れたり、ヴァーチャルにログインしたら、現実の床面が急に水面になって現れたりする、不気味な幽霊。

ふとイメージがかぶったのが、諸星大二郎の「妖怪ハンター」というマンガに出てくる「海竜祭の夜」の中の海竜・安徳様(安徳天皇の化身)が、加美島の海中の鳥居をくぐってささげものを食べにくるワンシーンであった。

海・鳥居・海からやってくる不可思議な存在のイメージが結びつくことに共通感がある。

ラストシーンは、現実内・ヴァーチャル内で、ともに壊したはずの鳥居がなぜか、再建されていたこと、島を去る主人公とヒロインの腕にもヴァーチャル的なコードが光っていたこと、住民の女の子が、慕っていたシゲ爺の三味線を弾き終わった後、鳥居に向かって入水、沈んでいったこと(次のイマジョになってしまわないと良いが)で、この世界が終わっていないことを示していた。

シゲ爺の家も独特で、壁にはいたるところに、半紙にいろんな文字が墨で書かれたものがあったり、部屋中につるした折り鶴が飾られており、それらが祭壇の赤い光に照らされて不思議なインテリアとなっている。ラストの方では壁が崩落し、死んだ母親の死体が隠されていた、などの不気味シーンもあった。

(追記:山本美月さんの足が長すぎ・スタイル良すぎで、主演でアイドルの西畑くんとはカップル的な意味合いでは、いまいち釣り合いが取れていない感じがする。公表はされていないが、美月さんは西洋人の血も入っていそうな容貌である。/シゲ爺役は、名脇役の笹野高史さんが演じていると思われる)