2021年12月21日火曜日

キングスマン(2014年)

 

当時20代だったタロン・エガートンが、若きエージェントの卵を演じている。その後2019年のロケットマンのエルトン・ジョン役で主演をしている。

爽快なスパイ映画であるが、スマホの通信衛星を通じて、人々をコントロールしようとする陰謀が渦巻くというストーリー、狂暴化した人々が互いに殺しあうシーンが、スタイリッシュな演出で描かれていて面白かったが、本当にあったらなかなか怖いものがある。

マトリックス レザレクションズ を観てきました

 

マトリックスシリーズの第四作目。コロナ渦の中、感染者数を確認する中での観覧となった。

結局、気づけばいつの間にか囚われの身に戻り、何かがおかしいと感じながらも同じ生活を繰り返す毎日を続ける主人公。おなじみのカフェで顔見知りとなったティファニーことトリニティ。

冒頭でのトリニティのシーンでは、別人の女性がアクションを行っていたため、残念ながら役者さんは世代交代してしまったのかと思いきや、あのキャリー・アン・モスさんが後のシーンから登場してくれていてほっとした。やはり、トリニティはこの人しかいない。

まずはネオ、次にネオがトリニティを仮想現実から目覚めさせ、造物主をコテンパンにし始める。エージェントスミスも自由を得たい身だったので一時的に協力関係となり、その後二人を追い詰め始めるが、トリニティが飛行能力を身に着け、二人はめでたく逃亡成功した。

ここで造物主の役を演じるニール・パトリック・ハリスは、見覚えがあると思ったら、スターシップトゥルーパーズの将校役を演じていた青年であった。賢そうなキャラクターがかぶっている。

シリーズはもう20年物くらいになるが、同じ役者さんが変わらず活躍してくれていて、よかったと思う。


2021年11月12日金曜日

アイ・アム・レジェンド(2007年アメリカ)

 


 ゾンビ映画のジャンルに区分されるようだが、モンスターが日の入り~日の出前までの活動時間となるため、どちらかというとヴァンパイア系統のもののような感じである。

 ガンの特効薬が開発され、完全治癒が発表されて輝かしい未来が見えたのだが、それには恐ろしい副作用が待っていた。人口の9割が死に絶え、1割がヴァンパイア化したという話。くわしい経過はわからなかったが、薬を使ったガン患者がヴァンパイア化して、残り9割の人類を食い殺してしまったのだろうか。

 治療の研究を続けたい一心で、感染の中心地で一人、籠城生活を送る主人公。日中に食料や物資の確保活動に出て、時計のタイマー(日没通知)が鳴ると、隠れ家に帰り、シャッターを下ろす。先が見えないし、物資はいずれ底をつきそうだし、絶望的な感じがする。

 一つ気になったのは、家の照明が使える=通常通りに電力が共有されているということ、時計の電力は切れてしまわないのか、ということだったが、映画なのでスルーすることにする。主人公は追跡してきたヴァンパイアたちと爆死するが、仲間の女性が、主人公が作成成功した血清を託されて、生存者キャンプにうまくたどりつけた、というエンディング。




2021年10月2日土曜日

sweet home 俺と世界の絶望 (2020年 netflix韓国ホラー系ドラマ)

 

どういうタイミングでなのかわからないが、ある時突然、感染状態になって鼻血をまきちらし、怪物へと変貌してしまう人たち。怪物のえげつない恐ろしさが見どころである。

高層マンションを主な舞台としたホラードラマで、怪物の描写もとてもよくできていて、狂暴かつ醜悪な化け物となって人におそいかかってくる感染者が恐ろしく描かれている。

怪物との戦いの中、マンション内での内輪もめ、略奪者たちとの戦い、軍による一方的な制圧など、ドラマとして面白く出来上がっている。

2021年9月29日水曜日

イカゲーム(squid game)2021年韓国ドラマ

 

内容がシュールな作品ほど、韓国ものは光っている、というのか。

雰囲気が近い作品だと、日本の「カイジ」などだろうか、多額の借金を背負って日々の糧すら苦慮するほどの人たちが、にっちもさっちもいかなくなって危険なゲームに参加する、という内容。

ゲームには敗者と勝者しかおらず、敗者となったら即、その場で射殺という運命が待ち受けている。その中でのいろいろな駆け引きが展開される。

日本の多くの作品はとにかく、人間そのものや、人間関係重視での視点で物語がすすんだり、こちらの視点に合わせるよりも、そうでしょ?、みたいな同意も視聴者にも求めている感じがあったりするので面倒くさい。そういうところが楽しくなく、どうしても敬遠してしまうのだが、こちらの作品は有無をいわさない環境が設定され、その中を生き延びるために協力したり裏切ったりのやりとりが生じる。スリリングな内容がテンポよく進み、見ていて飽きがこない。

(以下ネタバレ)



主人公が弱者としてかばった、脳に腫瘍のある老人の正体が、実は黒幕の一人だったというのが、なんとも良いしめくくりであった。雪の日に病室で息を引き取る前に、主人公が告白を受けたシーンが印象深い。


2021年9月26日日曜日

クローバーフィールドHAKAISHA(2008年アメリカ)

 

スティーブンキングの映画「ミスト」のラストに出てくるような感じの巨大な化け物だが、こちらの方が狂暴度が高いようである。ゴジラをヒントに作られたという説がある。

知り合いのパーティで集まる若者たちが、街中を襲う怪獣の襲撃により、散り散りになって逃げていくさまが、ホームビデオで撮っているかのように撮影されている。

怪物が俊敏に反応してすぐに追いかけてくるので恐ろしいが、もっと気味が悪いと感じたのは、主人公たちが逃げて行った地下鉄の構内の天井から、クモのような怪物のミニチュア版が大量に落ちてきて襲い掛かってきたところである。

かまれた仲間内の女性は、やがてめまいを感じた後、目から出血し、直後に大量出血をして死んでしまった様子である。ミニチュア怪獣が狭いところに逃げ込んでも襲ってくるのが不気味であったが、脱出のヘリコプターも大怪獣に襲われて墜落し、結局逃げた橋の下で下敷きになり、主人公たちは全滅したようである。なんとも後味の悪い感じだが、ゲームでいう、バッドエンドのようだった。

他の人のレビューもネットで見たが、ストーリーの本題に入るまでの前置きがだらだらと長いこと、ハンディカメラで撮った感じで視界が目まぐるしく見づらい、怪獣の素性がよくわからない、ブレアウィッチと宇宙戦争、911の事件のイメージを混ぜた感じ、などといった感想に同感した。



2021年9月18日土曜日

新・感染半島(2020年韓国)

 


「新感染」の続編的な作品のようである。ゾンビに汚染された朝鮮半島から逃れ、香港で貧困の中すさんだ生活を送っていた主人公たち。半島には実は巨額の現金が置き去りにされているという儲け話を持ち掛けられ、現在の生活から逃れるべく、その話に乗ることになって、ゾンビだらけの朝鮮半島に戻ることになった。

遺棄された半島に4年もの間、さすがに食べ物がなければゾンビといえども肉体を維持できなくなって活動停止して腐敗してしまったものがたくさん倒れていそうだが、そこは映画のため、半島のどこに行っても、狂暴で全力疾走のゾンビがすぐに襲ってくる、という設定らしい。

そこが特に気になったところだが、他は概ね話のテンポは良かったように思う。助けを無視された武装部隊が暴走し、ただの略奪集団になりはて、誘拐した人間をゾンビに追いかけさせるゲームなどに興じたり、そうでないものはひっそりと息を殺すように隠れて生活をつづけ、世界はすっかり荒廃しきっていた。

主人公の兄は道中つかまり、そのゾンビゲームに参加させられたり、大金が部隊の一部のものとの取り合いになったりと、人間の醜いぶつかり合いが混とんとした感じを盛り上げている。

主人公を演じる俳優の従軍経験が生かされ、かなり銃さばきになれているのだろうか、一つの見どころにもなっている。

2021年9月15日水曜日

ザ・コア(2003年アメリカ)

 

かれこれ18年前の映画になる。少し若かったヒラリー・スワンクは、いかにも「ザ・アメリカン」な感じの風貌の女性。

地球の核(コア)が回転を停止したため、磁場が乱れ、人や動物の突然死や、激しい落雷などが起き始め、このままでは地球は滅亡する、とされ大変なことになった。

試作段階を作っている研究者の力により、地球を掘削しながら進み、コアまで進む船が完成した。左右にカクンカクン揺れる感じは、ディズニーランドでいうと「インディージョーンズの秘宝」というアトラクションで乗る乗り物のような感覚だろうか。

地球内部のいろんな障害を乗り越えながら、事故によって一人、二人と命を失いながらもなんとかたどり着いて、核爆弾を数発置き、コアの再始動を成功させた。

なぜコアが停止したかというと、軍事作戦のために人工地震を起こしたりしていた過程で止まってしまったとのことで、人間のエゴを感じ、本当に地球にとって害悪としか言えない行いだと感じるとともに、いかにも実際もこういった系統のことが行われていそうな感じもするのが怖い。


エクスティンクション 地球奪還 (2018年)

 


家で見る手軽な映画としてはアリなのかもしれないが、主人公の家族構成が、人種上ありえないなあという組み合わせであった。

 特別華がある感じもなくコメディアン的要素もなく、この人が主役?といぶかしく思われそうな地味で小柄な肉体労働系な感じのメキシコ系男性、彼の白人の奥さんと、完璧に白人な子供たち。後々わかる設定で、全員AIロボットだということがわかったので、人種設定は無視してよかったのか。

 毎回夢で、実際に起こったことを見てパニックで目が覚める主人公。夢ではなく、現実の記憶だったという設定は、それなりに面白い部分だった。

人間とAIの戦争をテーマに描いた話だが、なぜか一人良い人間がいてAIに理解を示し、けがを負った主人公たちを助けてくれたり、少しご都合主義な感じもあった。列車で地下基地へと逃げていくラストで、しばらくは無事だと言っていたが、いやでも場所を特定されたなら攻撃は来るのでは?、といった突っ込みどころを残しながらのストーリーであった。


2021年8月3日火曜日

エグザム ファイナルアンサー(2013年ロシア)

 

初回作はイギリス、第二作(題名だけ?)はロシアで。

今度の脱出ゲームは、個室に拉致監禁された5名の男女がおり、一人死ぬたびに鍵のロックが解除され、最後の一人になるまで出口のドアが開かないという設定。

殺しあってはいけないということで同意しあったというのに、口喧嘩からやはり殺人が起きてしまった。他は、あの人は絶対に危険だから先回りして殺したの、という女が出てきたりと、なんだかんだ自分のエゴで人を殺しだした男女。一番攻撃性の低い男性が一人生き残ったが、通された社長室で、従業員を殺さないとポストが空かないと言われた。そうして一番おとなしい男が、環境によって変えられていった、という話ある。

ものすごく面白いか、目が離せない飽きさせないか、というとちょっと微妙さもあるが、社長面談で、「会社のためだとしても、できないことは何か?」という問いに各人が答えるシーンなどが印象的である。一般的な解答は、殺人や違法なこと、自分の良心がとがめること、などだろうか。




エグザム(2009年イギリス)

 

脱出ゲームに近い雰囲気の緊張感のあるサスペンス。

会社の入社試験で選ばれた者だけが集められた。問題用紙に問題が書かれてないまま、室内に取り残され、80分の制限時間内に問題に回答しないといけないという状況の中、質問は何だろうという疑問しかなく、それを見つけることが全員の作業となった。

ルール違反を促して、相手をおとしめて競争人口を減らそうとする者もいて、室内はさまざまな思惑が交差する。

死者は一人も出ず、正しい行いをした者が残ることができたので、一応ハッピーエンドといえるだろうか。


2021年8月1日日曜日

最’新’絶叫計画(2001年アメリカ)

 

主演のアンナ・ファリスが若くてかわいらしい。おバカ演技も板についている。

こちらは、「エクソシスト」の映画の悪魔祓いが行われた舞台となった家に、教授から選出された大学生たちが、数日間そこに滞在して単位をとるということが課されたところから、話が展開する。

広い屋敷で幽霊やがいこつなどに追われる中もドタバタを展開し、下ネタ汚物ネタも展開しながら笑いを誘ってくれる。


2021年7月31日土曜日

メガ・ピラニア(2010年 アメリカテレビ映画)

 

怪獣映画のピラニア版、B級映画。

ベネズエラのオリノコ川から、科学実験によって改造されたピラニアが繁殖、巨大化・狂暴化を続けて海に出て、戦艦すら食い破って撃沈させる、というありえない凶悪さをもって人々を襲う物語。

コワモテ系のタフガイ調査員が、国防省と連携して爆破をすすめるも、全滅とは程遠い有様。科学者のヒントによって、一匹にケガを負わせて出血させ、興奮狂暴化させて共食いをさせる、という方法により、最後にうまく全滅させられたというストーリー。一匹がケガ出血すると、どうして全滅レベルの共食いが起きてしまうのかもなんだか不思議であったが。

日本でいういわゆる午後のロードショーものに登場しがちな映画であったと思う。



2021年7月27日火曜日

アニマトリックス(2003年)

 


たしかこれは、公開年にレンタルかTVなどで見た記憶があるが、改めてレンタルしてみた。

仮想世界の中でのつかの間の恋に落ちるも、やがて命を絶たれる恋人たちや、プログラムに恋心を抱くも破壊せざるをえないプログラムテストなど、現実と虚構の中を行き来しながらもせつない感じがするエピソード。他には、どうして人間が機械に管理されるようになったのかを時系列でわかっていく物語、自分の限界を突破しようとした男の末路、虚構世界に誘われた純粋なマシーンが、やはり人間に裏切られて避けられてしまう話など、一つ一つ違うアニメーターによって作られて色とりどりなストーリーが展開している。オタクな話だが、日本作品の「バンパイアハンターD」や、「ジョジョの奇妙な冒険」などのアニメに見られる作風があるので、それを手掛けた人たちがかかわっているのかもしれない。


事実だと思っていたものが虚構だったり、不思議なことがおきる場所がある日から封鎖されてしまって入れなくなったり、自分の感覚が否定される、不条理な話ばかりである。

結局まとめると、唯一確かなものは、虚構の中であったにしろ、自分の感じる心や感覚というものが、自分にとっての一番の真実なのではないか、ということだろうか。



最’狂’絶叫計画(2003年)

 

シリーズものおバカコメディー第三弾

下ネタ汚物ネタ盛りだくさんであるが、吹き出さずにはいられない笑いを誘ってくれる映画である。

大まかなストーリーの流れは、スクリーム~和製ホラーの「リング」に沿って流れていく感じがするが、あまりにドタバタすぎて、筋道立ててみる感じではない。

すでに年数の経っている映画で、そのころマイケルジャクソンが児童わいせつ虐待などについて騒がれていた?時代背景を反映してか、彼のパロディキャラクターまでもが登場している。


2021年7月23日金曜日

デッド・シティ(2019年ベネズエラ)

 


子供を義理の父母に預けた、妻を亡くしたばかりの父。そこにゾンビ騒動がおそいかかり、全力疾走ゾンビの手にかかり、どんどんゾンビに変身していく人々。ゾンビと闘いながら、息子を迎えに行く主人公の道中が主に描かれている。10歳以下の子供にはゾンビ化しない免疫力があるとわかり、事態はあっけなく解決してしまった。

最期はあっけなくて物足りないが、数あるゾンビ映画の中の一つとして鑑賞するということで良いと思う。

ゾンビ映画の数々を見て、家が侵入されないための家の造りを考えてみた。

二階建て以上(平屋だとしても)で、一階部分の窓が破りにくい、もしくは感染者が通れない大きさの窓が望ましい感じである。外扉も堅牢な造りでなかなか破られないものが良く、さらに、1Fと2Fの階段にも鍵付きのドアなどがあるとさらにいい感じがする。

2021年7月2日金曜日

ウシジマくん ザ・ファイナル(2016年)

 

ウシジマくん本人と、その関係者たちがまだ高校生だったころの姿や、ことの成り行きも描かれている。


この回では、貧困ビジネスで、貧困者を強制労働させて金を搾取する不良三兄弟と、それにかかわるウシジマの元同級生で友人を、瑛多さんの弟の永山絢斗(けんと)さんが演じている。

ヤングウシジマ(高校生)役の少年も、それはそれは堂々としてドスのきいた、押しも押されぬ貫禄のウシジマ役を演じていた。

2021年6月26日土曜日

ウシジマくん 3(2016年)

 

今回は、マルチビジネスにのめりこんだ男を本郷奏多、浮気や女にうつつを抜かして借金を増やすダメサラリーマンをオリエンタルラジオの藤森が演じている。

マルチビジネスの話は以前から聞いたことがあり、自転車操業であったり、売り上げが足りない分を自分で補填させられたりと、かなりハードな部分があるという話もきいたが、その実態に触れた物語を見るのはそうなかったので、大変興味深く面白く観ることができた。

自分の下につく「ダウンさん」を広げれば広げるほど売り上げが増えるため、それに合わせたマージンが自分の手元に入るのだという仕組み。上に行くほど、そのマージンの割合も上がる、という話も聞いたことがある。

ようはネズミ講で、この映画での商品は、実態があるようでない、情報商材だった。ダウンに下がっていってカプセルを開けると、「オレと同じことをしろ」という文言のみの紙が入っていたのには笑えた。

また、マルチの創業者が、二億もの隠し金を持ち出そうとしてウシジマの関係者にだまし取られたのは、大変小気味の良い末路である。

一方のダメサラリーマン(藤森)は、気にいらない同僚の人事評価を下げる細工をしたり、保険営業の女性、キャバクラの女性に手を出し、浮気不倫が妻にばれないように、脅迫に応じたりと、やることがクズであった。クズなりの結末が待っていた。

2021年6月25日金曜日

ウシジマくんPart2(2014年)

 

豪華俳優陣が出演している。芸人の大久保佳代子やバカリズムがゲスト出演。高橋メアリージュン演じる女取り立て屋もかなりドスがきいていて怖い。


山田孝之も2に入ってからさらに、ウシジマくんらしさに磨きがかかったような感じもする。すさんだ生活をしながら、自堕落でお金に困ったり、人をだましたり、強奪して金をむしり取ろうとする人々、かなり暗いイメージの世界観。やはり、自分で落ちていく人はとことん落ちて行ったり、怖いしっぺ返しを食らう。怖い反面、これは報いを受けるべきだろうなあというオチが待っている。

さらに莫大な借金を背負わされる者、高度障害保険金を受け取るために車に飛び込まされる者、ホストとして客に借金をさせてでも金をむしり取ろうとしていたら、客の少女のストーカーからひどく殴られ、顔面崩壊?して飲食店に転職していった男、この作品も、かなりダークな展開となっている。


2021年6月21日月曜日

闇金「ウシジマくん」(2012年)

 

原作の漫画を読んだことがあるが、ウシジマくんは、コワモテ顔の見上げるような大男であるイメージがあるが、そのイメージにピタリと一致する俳優さんが、なかなかいなさそうである。やや小柄で、本人は優しそうな雰囲気もあるが、山田孝之が好演している。

林遣都がお金に追われてばかりのイベント会社代表を、大島優子が、体を売ることでしか生計を立てられないふしだらな母親をもつ女の子を演じている。

闇金は犯罪であり、借金の取り立て行為や債務者に課すペナルティも違法行為だとされるが、それでもそこから抜け出せない人たちの苦悩やひどい目にあっている様を見ると、ブラックで暗い、恐ろしい気がしてくる。そういう意味ではある種のホラーである。



2021年6月12日土曜日

すべての終わり

 

主演のテオ・ジャームズさん(右)は、ダイバージェントで教官役を演じた、好青年度が高い人である。

大地震・大停電で音信不通となったアメリカ国内。その中を無謀にも、娘を見捨てておけない、と自宅を出て車で検問所を突破してまで探しに出る父と、それと同行する婚約者。

無法地帯と化してしまった行く先々、ガソリンを奪い合ったりと、銃を向けあう危険の中、鹿をよけそこなって事故を起こし、肺に傷を負ったあげく、父親はなくなってしまう。最初から家を出るのは危険だという雰囲気がプンプンだったのだが、無謀な行いがとうとうわざわいしてしまった。

婚約者を見つける主人公だが、ラストシーンで後ろから火山の巨大な噴煙が追いかけてくる。車を走らせて逃げるにも、どうなるのやら、と思わせておいて物語が終わってしまう。ストーリー展開が面白くないわけではないが、最後がちょっと尻切れトンボすぎる作品だった。

2021年6月1日火曜日

アーミーオブザデッド(2021年)

 

賞金狙いの猛者が集まり、ゾンビだらけのラスベガスホテルにある金庫破りに挑む。

舞台はラスベガス。賞金の出資者は、真田広之演じる「タナカ」で、ホテルにある金庫から金を持ち出して来たら、数十億ものお金を受け取ることができる、という話。真田広之もハリウッドに渡ってなかなかの貫録をつけ、悪役感もよく出てきている。

賞金稼ぎのチームリーダーを演じているおじさん(写真右)、身長もかなり高そうだが、ごついパワフル感があると思ったら、プロレスラーをしていた人のようである。あるきっかけから、自分の娘も危険な計画に参加させることになった。(中央・白っぽいタンクトップの女性)

チームに無法者の裏切り者が複数おり、その罠にはめられて仲間の女性が死んでしまったり、取引することでうまく難を逃れようとしていたのに、自身の都合でゾンビの首を奪うという、自己中男の傍若無人ぶり。

ゾンビ王とゾンビクイーンなるものが現れ(なんだか無茶苦茶感が)知能もあり、ほかのゾンビを束ねる統率力をもつ。クイーンの首を奪ったために怒ったゾンビ王に襲われ、皆殺されていく。そして娘を除く全員が結局ゾンビ化か死亡、といった末路をたどる。チームメンバーがダメすぎるとすべてがおじゃんに、という残念なパターンの典型である。

結局、仲間も死んで、戦闘によって持っていた札束も方々に散ってしまい、手元に残ったのは、お父さんが娘のために隠し持っていた、ほんの数千ドル?だけであった。お父さんも最期は娘との夢を語り合いながら、すでに死ぬ運命にあった。


飢えた侵略者

 いわゆるゾンビものだが、作品によってかなり雰囲気が変わるという、こちらも独特の雰囲気が流れている。


誰が積み上げたのかすらもわからない、椅子だらけのタワー。それをただただ、不動の姿勢で眺めて突っ立っているゾンビたち。ゾンビのたまり場=家的なものなのだろう。生者が近づくと、異様な奇声を張り上げて、仲間を呼ぶ。

なんでそんな危ないと分かり切ったことをするのだろう、などといった意味不明の行動や判断を展開しつつも、田舎の村と森林の中を逃げていく男女。ゾンビの数が圧倒的に多すぎて、どこに隠れても侵入されてしまう。余りに田舎すぎて、ビルディングなどもなく、あまりにもやわい木造の古い民家にしか、身を隠す場所がないのである。一人、また一人と襲われ、人数を減らしていく仲間たち。

とうとう少女一人になってしまったが、道中、レースカー(不思議すぎる)の男と出会い、一緒に乗って先へ逃げていくラスト。その先の見通しは、さっぱり読めない。

が、ストーリーがどうというよりも、必死の逃亡ではあったが、農村や野山を駆け回るという旅の世界を味わえたような、そんな感じを残した作品である。

2021年5月22日土曜日

#生きている(2020年 韓国)

 


韓国のゾンビサバイバル映画。舞台の中心は、主人公の住居で籠城先となった自宅のマンションである。

たった一人でゾンビの危険を避けて毎日を過ごすうちに、みんな死んでしまったのだという孤独感に襲われ、自殺を図るも、向かいの部屋に住む女性の存在に気づき、やりとりをしながらも一緒に生き延びて逃げよう、という目標に向かうことになった。

ゾンビのメイクがどの程度の完成度かよく観察してみたが、よくできていてリアルであり、韓国映画のメイクのレベルは高いと思われる。


カーゴ


 

ジャンル的にはゾンビものなのだが、広い大地をめぐっていく旅物語的なものを感じた。

川を下る家型のいかだに乗った三人家族、夫婦と赤ちゃんだったが、お父さんが無口でシャイすぎる感じで、食料を取りに行ったボートにあやしい気配があったことを奥さんに言わなかった。奥さんも奥さんで、ノコノコと同じボートに行ったあげく襲われて感染してしまうが、そこから物語は展開していく。

夫は奥さんを捨ててまで先に進めない、と言い張って結局、車で病院に行くことにしたが、結局奥さんがゾンビになり、夫がかみ傷を負わされて感染。登場人物の精神的な?未熟さが大変もどかしい感じである。

そこから逃れて病院をめざすがろくな治療も受けれず、そこを離れるも荒廃した大地が大きく広がり、アフリカのサバンナかと思ったら、オーストラリアだという設定のようだった。

先住民アボリジニ系?の人たちが住む地域、横暴な白人男や先住民系の少女などとのかかわりあいを持ちながら、赤子を自分の代わりに世話してくれる人を求めていく夫の旅が描かれている。ゾンビになっていくタイムリミットに追われ、ゾンビにも追われる中、大自然に囲まれた世界観が、癒しを感じさせていると思う。


青鬼 ver.2(2015年)

 

くそ真面目そうなオタクキャラを演じるのは中川大志さんであった。(福士蒼汰にそっくりだと思っていたが、やはり巷でもそう思われているらしいが)この役ではとてもよくメガネが似合っていて好青年である。

ゲームの世界が現実となっておそいかかってくる。ゲームプログラミングをした男子が廃屋に迷い込んだ同級生たちに、ゲームリセットの方法を教えることで完全脱出を図る。ここで記憶までリセットされなくてよかったと思う。(また廃屋に入ってしまい、青鬼に殺されてしまうからである)。



2021年5月20日木曜日

イン・ザ・トールグラス 狂気の迷路

 


時空系ホラーの映画である。
少年の助けを呼ぶ声を聞いて、背の高い草むらに入っていったベッキーとカル。が、入ったが最後二度と出られない草むらであり、草むらの中で勝手に移動して?場所がどんどんずれていって方向がわからなくなるようであった。

迷路の真ん中にある巨大な石がすべての元凶で、胎児を捧げものとして奪って生きながらえている?のだろうか、草むらには石とその仲間の怪人?がおり、おなかの大きいベッキーが石のところに連れ去られる。

第一ターンで、石の番人?となっていた少年の父親が、ベッキーの恋人トラビスに倒され、かわりにトラビスが番人になってしまう。が、正気を保ったままのトラビスは、少年を外に逃がして、時系列を草むらに入る前のベッキーがやってきたところに戻し、草むらに入らないように警告をさせる。最後にトラビスは、仰向きのまま草むらに倒れていった。

このラストの不思議な感じは、草むらに入ってしまった少年の声が聞こえている中、番人トラビスも草むらにいると同時に、やってきたばかりのベッキーとカルが、声の主でありトラビスに逃がしてもらった少年に出会っているということである。そしてこの時系列のトラビスもまた、遠くのどこかにいるものと思われる。

 結局、声を発している少年と、逃げ帰ってきた少年が同時に存在しているので、二人が草むらで鉢合わせしたらどうなるのだろう、といった疑問も出てくるのだが、あまり細かい矛盾はほじくらないほうがいいのかもしれない、と思う。

2021年5月16日日曜日

スペクトル

近未来?SF。霊体系モンスターに少しでも触れると、体が化学変化を起こして即死する。

 独裁政権が政治を収める国で、恐るべき人体実験が行われていた。管轄の研究所では軍事兵器として、人間と科学を駆使して恐ろしいモンスターを作り出していた。

 その核になっている人間は、一人づつ脳と神経束だけのおぞましく痛々しい姿にされて、モンスターのコントローラーにされており、苦痛にのたうちながら、霊体モンスターの動きを制御(いろんなメカで接続されてシステムの一部になっている)している。

昔、兄から借りて観たことのある「ヴァンパイアハンターD」に出てくるマーカス兄弟の二番目の兄のシーンを思い出した。薬物注射を行うことで超能力を増幅させ、強力な霊体モンスターを操るのである。霊体は大変攻撃力が高く強力なのだが、それを出現させるための自身の本体は、召還を繰り返せば繰り返すほど衰弱し、挙句の果てにショック死した、というストーリーだったような気がする。

独裁政権の国では、人道的な感覚や倫理観があまり機能しなさそうなイメージがあるが、この映画でもかなりおそろしい人体実験によって、強力なモンスターが作られている。そういったイメージや恐れのようなものが、この怪物を描かせたのだろうと思う。


2021年5月9日日曜日

アウトブレイク~感染拡大~(2020)

 まさにコロナウィルスのことを描いているドラマ。テンポよく見れるので、連続再生していると、どこで区切ってよいかわからなくなるくらい見続けてしまう。この作品では、感染源が特定されてから急速に事態収束に向かった。


ネトフリのドラマ。

こちらのドラマでは、発生源がはっきりと最後に特定され、せん滅することができた。
残念ながら現実世界だと、そうはいかないようである。唯一の解決方法は、個人レベルの努力、隔離、自粛、それとワクチンになりそうであると思う。


2021年5月2日日曜日

ネトフリ・いろいろ

 湖へ



オクトパスの神秘・海の賢者は語る



世界の摩訶不思議な家

世界の大豪邸はやはりスケールも違うが、心の安らぎを得られるメンタル性の高いものが紹介されていて興味深い。


WOWWOW休止で

 子供が検査入院中にNetFlixを契約して見ていたのをきっかけに、こちらも見てみたところ、WOWWOWのように「見たい映画をやっていたら、タイマー録画にして後から見る」といった待ち形式のチャンネルよりも、見たいものを選択して見られる形式のほうが向いていると感じられた。WOWWOWは確かにレンタルだったらしないような良質の映画も、たまに見れたりはするが、最近見たいというものが減ってきているような気がしている。

 ネット系の映像サービスは、Huluを7年位前に試してみたのだが、創生期だったためか、ドラマや映画に興味のあるもの・見たいものが少なく、魅力を感じられなかったため、早々にやめてしまった。

 ネトフリも同様視して放置していたのだが、数年経過したりインフラが整えられたりで、質や量も向上しているかもしれない。

 サブスクリプション、サブスクリプション、となんやらなじみのない単語を目にするようになったが、いわゆる月額契約や定期購読などのサービスのことであって、WOWやネトフリもその一種である。使用スタイルに合っているのと、料金もWOWよりややお安め、サブスクリプションメニューを変更して、いったんネトフリに切り替えた。



2021年4月26日月曜日

死霊のはらわた リターンズ(2015~2018年)

 

死霊のはらわたシリーズの主人公アッシュが、ふたたびドラマでの主人公を務める。

ホラーコメディで、エログロナンセンス系というのか、やはり下ネタも遠慮なく盛り込んでいるが、アッシュが死体安置所の死体の肛門から頭を突っ込まされる(腸が悪霊に取りつかれて化け物となったため)シーンなど、かなり笑わせられるシーンも満載である。

グロイけれども可笑しい、そんなノリである。シリーズの最初の展開によって人生を狂わされたアッシュが、人生の悲哀を訴えながらも仲間を得ながら悪霊退治のミッションをこなしていくストーリー。ユーモア・ナンセンス・グロ、主人公が大麻を吸ったり移民差別では?という発言もジョークでとばしたりと、常識から外れており、下品だとかそれはいけない、と言っている人には向いていないが、いろいろなエッセンスがあって観るに飽きなかった。1~シリーズ最終話まではそうとう長かったが、ネットフリックスで一気にみてしまった。



私は貝になりたい(2008年日本)

 

SMAP中居くんが主演。ひと昔前なので少々若い。

某邦画(幽霊は出てくるものの、コメディ系)を映画館に見に行ってからというもの、邦画は絶対にロードショーはいかないことにしている。映画が終わった後のさわやかさを全く得られないまま、どんよりとした後味しか得られず、代金を支払った対価を全く得られない不満だけが残ってしまったからである。

邦画というのは、海外映画のように巨額の制作資金が得られないため、アニメ以外だと、どうしても映画を見て旅に出るようなワクワク感が得られにくい作品ばかりになる。どうしても人の心の内面や、日常的なことに即した作品になったり、ちょっと想像した創作話でも、スケールが小さくなってしまいがちになったり、「そうだよね」みたいな内輪盛り上がりな感じのノリになったりと、当たり前すぎて感動量がものすごく小さいので、映画館での邦画とは、訣別しているのである。

したがって、こちらの映画も気にはなっていたものの、あらすじは大体わかってはいたものの、TVでしか見ないことにしていた。

本当は殺していないのに、捕虜の米兵を殺したという罪で戦犯に仕立て上げられ、奥さんが無罪のための署名をせっせと集めたにもかかわらず、とうとう絞首刑にされてしまったという話。殺していないから(はりつけ後に衰弱死)、「殺していません」ということを申し開きしなかったのだろうかと、そう言うシーンが見当たらなかったのであれっ、と思ったのだが、そこは大事なところではなかったのだろうか。そこは昔の日本人の奥ゆかしさであり、損なところだったのだろうか。

死刑になった主人公の、家族愛、生まれたばかりの幼子、奥さんが切り盛りする散髪屋、それらをみているうちに、無念のうちに死刑で死んでいくことがとても切なく感じられる。中居くんはちょっとお笑いの才能があるのか、どこかひょうきんな雰囲気もあって、そういった中でもあまりシリアスな雰囲気に包まれなかったのであるが。


2021年4月10日土曜日

ウォール・ストリート(2010年)

 

チャーリー・シーンが主演を務めた前作「ウォール街」の続編。今回は、シャイア・ラブーフさんがやり手証券マンを演じている。

 ある会社がその危機を同業他社や政府からの資金援助で倒産を免れたが、その時、たった一社だけ資金援助を断った。それを逆恨みして風説流布・株の空売りをしてその会社を追い詰め、社長を自殺に追いやった。犯人は、倒産しかけた投資顧問会社の悪徳社長。アメリカのウォール街は、なんと恐ろしいところなのか、実際の事件かどうかよりも、考えられる悪事だからこそ恐ろしい。

 証券業界、不動産業界、みんなお金を儲けようとしていて、特にウォールストリートの証券マンは、いくら稼いだらリタイアして悠々自適の人生を送るかを計算しているのだということだ。 たしかに知り合いの話で、リタイア後の資金で不動産購入し、事業を起こした、という話を聞いたことがある。(米国の証券会社の人)

 一方、クリーンエネルギー、無限エネルギーという理想的な技術を作っていく研究者に莫大な出資をしよう、というロマンというのか夢を追う人は少なく、自分が儲かるために、あまり将来性のないエネルギー資源(油)の会社に出資をして、目先の利益ばかりを追求しようとする業界人たち。なんだかがっかりする話である。そして2008年に起きたリーマンショックの話も、この映画の中で描かれている。

 服役を終えて世間に戻ったゲッコー(マイケル・ダグラス)、やはり金に汚いだけの亡者かとおもいきや、最後は主人公の夢をかなえ、娘の幸福を祈る人間らしい一面を見せ、ほっとしたエンディングとなった。

追いつめられて自殺した会社社長を演じた、若き日のフランク・ランジェラさん。映画「スフィンクス」で観た若い時の面影でピンときたが、やはりこの人だった。知的で気品がありつつ、どことなくメランコリックな影のある、二枚目俳優であった。観ていないが他に、「ドラキュラ」(1970年代)も代表的な出演作のようである。


2021年3月25日木曜日

疑惑(1982年 日本)

 

桃井かおりと岩下志麻の対決が見られる。

ずいぶん前に、こちらの映画をTVでやっていただろうか、ほぼ最後の方の映像の記憶しかないが、ワインのぶっかけ合いシーンと、最後のラストシーン、それがかなり印象に残ってしまっていて、いつか見ようと思っていた。

レンタルDVDのHPからだといつも貸し出し中になっていて(在庫がたんに無いだけでは?とうたぐってみたものの、さっぱり借りられず)、Youtubeで映画購入が可能な時代に入っていたのと、TVのBluetooth機能だろうか、YoutubeをTV画面で見られることから、視聴購入してTVで観ることができた。

九州で起きた「三億円保険金事件」をヒントに制作されたという映画である。球磨子=クマコ(桃井)の腐れ縁の元恋人役に、若かりしときの鹿賀丈史、新聞社の記者にやはり若かりし柄本明、今は千葉県知事となった森田健作などが出演している。

車が水中に転落し、資産家の夫は死亡、妻であるクマコのみが生き残った。クマコは暴行・傷害・恐喝・詐欺の前科4犯という曲者で、見たとおりのずうずうしさ、品のなさ、ヒステリックさ、「毒婦」そのものだった。当然、3億の保険金目当ての殺人だと疑われ、おそらく観客の心情も、映画内の世論やマスコミ、たぶん警察も、クマコに対して憎らしい、有罪にしてほしい、という気持ちで一致しそうである。

クマコが元恋人に不利な証言をされて追いつめられるものの、弁護士の律子(岩下)がその証言をひっくり返させたり、遺族の息子から父親が無理心中を考えていたことなどを引き出し、殺人ではないことを主張し、うまくクマコの無罪を勝ち取った。やり手の弁護士だが、観客としてはかなり残念である。

が、律子は仕事では敏腕弁護士として成功しているものの、プライベートではその反対で、あまりうまくいっていない。その無情さも描かれていて、ストーリーに深みを出している。

律子は離婚しており、元夫に引き取られた自分の子供に法律上、一か月に一度、会わせてもらうという取り決めをしていた。が、新しい奥さんに、もう子供は作らずこの子だけを本当の我が子として育てたい、もう会いに来ないでほしいと頭を下げられる。

 また、保険契約から1年以内の自殺の場合は保険金が下りないが、クマコはそれを不服とし、店に来た律子に、どうにか保険金が下りないかと相談を持ち掛けてきた。自身に都合の良いことばかり主張し、死んだ夫の命も軽んじるクマコを冷ややかに見つめる律子。(クール系美人の岩下さんは、冷徹な弁護士役にぴったりである)みんなあんたのことが大嫌いだよ、と言ってクマコがその純白スーツに、ボトルの赤ワインをドクドク、とかけていく。それに応戦し、律子もクマコの顔面にグラスワインをぶちまける。プライベートではまさに火花を散らす犬猿の仲だった。こんな女を助けるのが仕事だとは、弁護士も本当に大変であると思わされる。

桃井さんのあのけだるいしゃべり方も、まさにクマコの役柄にぴたりとはまって、「ビッチ、ズベ公、クズ」などのひどい言葉がぴったりなくらいの憎らしさを出すことに、天才的なものを感じる。ラストシーン、移動中の車窓に群がる見物人(事件がメディアですっかり有名になった)をしり目に、くわえタバコで(現在は車内禁煙)ニヤリと笑う姿。それが印象的すぎる。実はクマコは夫を殺しており、弁護士をだまして無罪となっているのではないか?と思うくらいの悪の笑みに見えてしまう。

邦画はあまり見ないが、印象に残る作品はやはり、感情移入力があり、すごいものがある。



2021年3月20日土曜日

ダイアナ

ナオミ・ワッツがダイアナを演じている。

 悲劇のプリンセス、ダイアナ。というイメージである。ダイアナさんの「結婚は二人の物ではなく、三人のものだった」つまり、カミラさんと皇太子がすでに人数に入っていたということだったのだろうか。カミラさんと不倫していたらしい皇太子。なんとか良い家庭を作ろうとしても皇太子とはかみ合わず、裏切られてしまった結果となったようだった。

どう考えてもカミラさんと初めから結婚していればよかったようだが、皇太子の優柔不断にカミラさんが業を煮やして先に結婚してしまったという話だが、なんとも情けない感じである。

それはさておき、この映画ではダイアナがパキスタン人医師と知り合って、皇太子とは築くことができなかった「本物の愛」を感じる恋愛をすることができた、ということにポイントを置いているようだった。それでも「世界一有名な女性」と「病院で心臓外科医として着実に毎日を生きている男」はお互いの都合が合致せず、一緒になることができなかった。

パパラッチにつきまとわれながら医師としての仕事に集中することができない、という個人感情や、自分のキャリアをダイアナによって勝手にすげかえられてしまうことへの不満、家族からの猛反対、といろいろな障害が立ちふさがって、愛しているという感情だけではどうしても結婚は無理だとの結論が出た。

ドディ・アルファイドとの恋愛は、ダイアナが、パパラッチからその医師を守るためにカモフラージュしたのでは?という推測がされる。わざわざスクープされるように自らパパラッチに居場所を教えたからである。

一度目の結婚では裏切られた感じ?で幸せになれず、離婚して次の恋愛で本当に好きになった人とは一緒になれず、最期はパパラッチから逃れるために車が事故を起こしたらしい報道があった。そのダイアナさんのもつ大変な美しさ華やかさ、一途さと、それでも幸せにはなれかった、どこか寂しい人生が相まって、悲劇のヒロイン的なイメージを感じさせる。


2021年3月16日火曜日

宇宙戦争(2005年アメリカ)

 

H.G.ウェルズ原作の映画のリメイク版で、トム・クルーズが主演している。

結末はそもそも、地球上のウィルスに感染した宇宙人が全滅してしまった、という話なので、成り行きは分かっていたが、巨大な歩くメカに追いまくられて、町も人も失われていく中を、車で逃げ、建物の地下に隠れたりしてなんとか生き延びる主人公。宇宙人のメカの威圧感、不気味な異音、ヘビのようなカメラ、不気味な宇宙人の姿、とどれも驚異的に描かれているのが見どころである。

アメリカの家庭でよくある話?で、離婚した夫婦が子供とは欠かさず面会しているような状況の中、父親には反抗的な息子、パニック障害持ち?の娘を連れてひたすら逃げるトムクルーズ。個性的な子供たちに振り回されながら、大変な努力で逃げまくる。

途中、見覚えのある俳優さんがいるなと思ったら、「ショーシャンクの空に」に出演していたティム・ロビンスさんであった。(ショーシャンクとは違い、感情的で攻撃的なおじさんの役を演じていた。)

2021年3月14日日曜日

ラスベガスをぶっつぶせ(2008年アメリカ)

 

華やかできらびやか、人々の欲望が渦巻くラスベガスカジノを舞台にしている。

ラスベガスは、アメリカのネバダ州の砂漠にある、きらびやかなナイトライフで有名なリゾート地であり、カジノをはじめ、様々なショーや噴水、テーマ別に建てられた数々のホテルと、観光地としても大変すばらしい場所である。ホテルの廊下もそれはそれは豪華で、歩くだけで感動するので、いつか是非とも再訪したい。

そこを舞台にカジノ荒らしをするストーリーなのだが、カードを「カウントする」という技を駆使して、チームを組んでポーカーで大金を稼ぐ主人公たち。違法ではないが、ルールとしてやってはならないことになっているらしく、バックでインチキをしていないか見張っているGメンたちの目にとまってしまう。

MIT(マサチューセッツ工科大学)に通う賢い学生である主人公は、頭脳を駆使して技を使い、ラスベガスのとりことなる。豪勢なホテルルーム、美しい彼女、豪勢なクラブ遊び、とラスベガスで夢のような経験をする。

そもそも彼は、入学予定のハーバード医科大学の学費が数千万かかるため、学費を稼ぎたいという目標のもと、賭博の道に走った。だが案の定、仲間割れをしたり、Gメンにはつかまるわ、卒業単位がパアになるわ、天井裏にかくしていた大金はごっそりと盗まれるわ、と心配していた通りの展開となった。が、Gメンとの裏取引や、「卓越した人生」を送ってきたことをアピールできたことにより、人生が好転する。

2021年3月13日土曜日

ヘレディタリー 継承(2018年アメリカ)

 

悪魔魔女もの、グロありの映画、といったところだろうか。

娘は13歳と言う設定だが、幼いあどけなさと同時に、角度によっておばさん(特殊効果メイク?)のように見える個性的な風貌の子で、口の中を「コッ。コッ。」と鳴らしながら祖母の葬儀でもスケッチブックを開いて似顔絵を書いていたり、同じく式の最中にチョコレートを取り出してむしゃむしゃ食べたりと、変人なのか発達障害なのか、非常に考えてしまう奇行ぶりであり、異様な存在感となっている。

母との確執によって情緒不安定に育ってしまったと思われる母親。ミニチュアアートを趣味兼仕事にしているようで、自分の家族や家までも再現している。あとから娘の事故現場まで再現してしまうところには異常性すら感じさせた。

また、娘のお兄ちゃんである長男だが、浅黒い肌、黒い瞳と黒い髪を持ち、顔つきからして人種がアラブ系もしくはラテン系に見える。 この白人のお母さんが生んだ、という設定になっているのだが、映画には出てこないお父さんとのハーフだったということにしても、金髪碧眼系の白人の血の混じった感がなさすぎて、人種的な面から本当の息子だという感じがかなり薄まってしまっている。


娘の事故死(柱に激突して胴から離れてしまった首まで描写されており、かなりショッキングだった。)によって話は急展開し、娘のための降霊術を教わるという名目で母親がだまされ、悪魔崇拝をするように仕向けられてしまった。数々の奇妙な現象、不気味な超常現象が家族を襲う。

(後記:設定がやや細かかったので、二回目に簡単に観たところ、妹のチャーリー(女の子なのに変わった名前である)が学校の植え込みの上で死んでいるハトの首をハサミで切り取るシーンや、事故現場となる電柱に呪文のようなものが書かれていたことから、魔女がすでにチャーリーの肉体を滅ぼすための伏線をしいて、誘導していたのか、と推測した。(あとから兄の肉体に魂を移すため)

また、母親は、父親が焼け死んだあたりで死亡、もしくは妖怪に変化してしまった模様。終盤、兄が部屋にいるシーンで、背後の天井に張り付いていたかと思ったら、一瞬で姿を消してしまったり、天井にへばりついて頭をすごいスピードでガンガンガン!と打ち付け、屋根裏部屋に逃げる兄を追いかけたりと、到底人間のできる仕業ではないことをしていたこと、最後の登場場面では、首をつったまま、自らの首をノコギリ?でひいて血をしたたらせている、という恐ろしい姿を現した。

まさにサイコパスな、狂った感じが良く出ている映画であると思う。)



2021年3月8日月曜日

最’恐⁈’絶叫計画

下ネタも満載のおバカパロディ。

わかっているだけでも、ヘルレイザー、テキサスチェーンソー、13日の金曜日、エルム街の悪夢の主役モンスターが勢ぞろいしているが、ドタバタコメディ内のただの登場人物と化している。

レスリー・ニールセンつながりで借りてみたが、今回はバーのおばちゃん的な役柄で物語の進行の一端を担う形で出演していた。

終始、脱力系の笑いを提供してくれている感があり、ハロウィンパーティで騒ぐ予定で集まったしょうもない主人公一行が、レンタルDVD貸し出しのお使いに付き合わされ、その出かけた先での珍道中が描かれている。

 

2021年3月5日金曜日

ペットセメタリー(2019年版 アメリカ)

 

1989年製作映画のリメイク版。正しいスペルはsemeteryだが、映画に出てくる墓地の看板のスペルが間違っていてsemataryとなっている。

呪われた土地に埋葬した死体が、以前とは別の生き物になって凶暴化して戻ってくるという話。1989年版のほうが、ストーリー的に新鮮だったので面白く感じて見れたのだが、リメイク版はどうなのだろうという理由だけで借りてしまったところ、ただの焼き直しだという感じが強く、ところどころ倍速で観てしまった。

猫が生前とは別物となり、敵意をむき出しにした不気味なペットとなって戻ってきた時点で、おかしいと思わなければいけないのだが、完全に土地の呪いにかかってしまった主人公が愚かにも、事故死した娘をもそこに埋葬してしまった。

この映画では、猫、娘、妻、主人公の夫、の順に蘇って全員戻ってきたが、ラストシーンで一人残された小さな息子も仲間に入れられるのはわかっている。その後、その魔の手は村人全員に延びていくのではないか、という予想がされる。



シライサン

 

ネット上に良くみられる流行りの恐怖画像と、「だるまさんがころんだ」遊び、呪いのチェーンメールの要素をとりこんだストーリー。

この話を聞いたら呪われます、といった話は、子供のころから聞いたことがある。古くは「かしまさん」当たりだったと思うが、呪いの真偽よりも、聞いてしまった後にイヤな感じにさせられるのは間違いない部類である。なので聞いた人が不幸になる系の話は、聞くのもそうだが、あまり面白がって話したくないものである。

呪いの幽霊が現れてから、じっと見ている間はこちらに近づいてこない(1,2時間の我慢比べだそうだ)という、「だるまさんがころんだ」的な対処方法も発見された。 殺しの成否に関わらず、3日に一回だけ一人のもとに現れることから、百万人に広げれば一生に一度も現れない確率が高まる、といったまさに呪いの希釈といった方法を思いつくヒロイン。皆を危険に巻き込みたくないと考え、その方法を拒否したが、呪われて両目が爆発して死ぬくらいなら、対処方法とセットで拡散したほうが、自分が生きる、ということに関しては忠実であるし、呪いの完全解除法の開発への希望も生まれるのではないか、と思う。

2021年3月4日木曜日

フライング・ハイ(1980年アメリカ)

 

現代は、Airplane! のようである。大変申し訳ないのだが、個人的には、外国映画のタイトルを邦題に付け替えるときのセンスが、今も昔もかなり悪いのではないかと思う。どうしても文字的に、釈由美子のドラマ「スカイハイ」とかぶってしまう。また、毎回思うのだが、映画の内容と違ったイメージに伝わりやすい題名ばかりが付けられている気がする。

コメディなのだが、1980年に制作されたものなので、やはりギャグの演出が古い部分が、ところどころに見られる。面白いのだが、大げさな演出を行うことによって笑いを誘う、という手法を多く取り入れている。

ヒーロー・ヒロイン役の俳優さんについては、知識がないのでよくわからないが、後世、「裸の銃を持つ男」で日本でも人気を博したレスリー・ニールセンが、この映画でコメディ俳優としての出発点を確立した、そんな映画であるようだった。

笑いを誘うシーンで、印象的だった部分は、ニールセンが乗客らにウソの説明を行うたびにピノキオの鼻のようにどんどん鼻が伸びて行ってしまうシーンや、飛行機の機長が鏡に自身を映して話していたはずなのに、では行ってきます、と言って鏡から本人が出て行ったところ、落ち着け落ち着けといいながら順番にならんで興奮状態の女性をかわるがわるひっぱたく人たち、列の後ろに行くほどエスカレートし、棒や銃などを手にしていたところなどであった。




2021年3月3日水曜日

回路

 


ネットを介して広まり始めた、呪いの恐怖のようなものを題材にした映画。

20年前の映画であり、主演の加藤晴彦さんが若く、ギャル男のような雰囲気が出ている。この人を初めてテレビで見たのは「木曜の怪談」で、広末涼子が主演していた学園ドラマで「あこがれの先輩」として出演していた記憶がある。松山ケンイチの奥様となった小雪も出演していたが、本当に昔からすらりとした長身で色白の、上品な美人であったのだなあと、見とれるレベルの美しさであった。

さておき、陰鬱とした空気の流れる画面の中、呪いにまかれてしまった人たちが、次々と別人のように様子がおかしくなった後に、黒い人影のようになって消えていく。誰も逃れられないという状況の中、いつの間にか街も、国も、無人と化してしまっていたようだ。呪いの伝播はとても速いようだが、生き残った者同士で船で逃げて、果たして逃げおおせるのか、疑わしいと思わせたまま物語が終わった。


ヘル・フライト

 


観てからレビューを書くまでかなり時間がたったが、やはり書いておこうと思う。

乗客が一人づつ姿を消していく、というストーリーは、ニコラス・ケイジの「レフト・ビハインド」的な映画かと思いきや、本当に悪魔が現れて人を連れ去る、という話だった。

B級ホラーで、レビュー評価も一般的にあまり高くなく、CA(客室乗務員)の女性への酷評で「だみ声のCAってどうなんだろう」的な指摘があったりと、手厳しいものがあった。というより、個人的には搭乗前のお出迎え待機前に、ずいぶんテンションの低い感じがするなあという感じはしていた。それと、他にも似たレビューがあったと思うが、乗客の着陸後の予定を聞いてついていこうとしたりと、なんだかCAとしてはいただけないやりとりがあったようだったが、B級ホラーなので、こういった「しょうもない」演出は仕方なかったかもしれない。

結局、乗客の中の一人の女性、普通の人かと思ったら悪魔で、一人一人をさらっていくという展開であった。そして最後は乗客が持っていた古代の書物?的なものを読んで悪魔に立ち向かい、なんとか退散させたというしめくくり。悪魔が、むき出し頭蓋骨に少し肉片がついたような不気味な相貌であった。が、完全に人間の頭蓋骨かと思わせるかと言うと、なんとなく横に平べったい、亀?のような顔だった。

部分部分独特にひねった?出だしや乗客の個性、展開に妙なひねりはあるが、それぞれ何とも言えない感じ。個性的に表現していると言えばそれまでだが、悪魔とわかった女が人間の姿のまま客室の中をとんで跳ねまくったりと、どうしても演出に微妙な感じがしてしまう。


2021年2月12日金曜日

Z 見えない友達(2019年カナダ)

 

大人には見えず、子供にだけ見える、友人Zの姿を絵にしたもの。

映画的には良く作られているが、ネタとしては、ちょっと子供だましな感じもしなくもない。欧米によくありがちな、怪物の話であり、お化け屋敷感の強い作品になっている。

子供の想像によってつくられたとばかり思っていたZ、ところがそれは母親が子供時代に友達だったモンスター、Zであり、また母親の元に戻ろうとしていたということ。

ところどころに恐怖をあおるシーンがあり、母親が風呂場でZを一目見ようと瞑想した結果、おそろしい顔の化け物が目の前に現れたり、父親に襲い掛かる化け物の恐ろしい顔がどアップで画面に映し出されたりと、その場でびっくりする怖さはあるが、瞬間的な怖さで、とてもカラッとしている。

そのため、あまり心理的なインパクトはない。映画として心に残るものとしたらやはり、風景や情景などが視覚的に大きな印象を受けるようなものだったり、音楽などが印象的だったり、人類全体に波及するレベルの出来事だとか、近未来を予感させるもの、とか、自分をとりまく世界観を刺激するものの方が残りやすい感じである。(演出だの俳優だの、といった要素もなくはないが、まわりとの調和や、とても個人的な不確実要素で好き嫌いも起きてしまうため、やや要素としては弱くなる。)

2021年2月10日水曜日

怖い本(2019年アメリカ・カナダ)

 


誰も住んでいないある古い家で昔、家族に拷問を受け、その後死亡した少女が怨霊となり、本に予言を書き続けていくという話。

トウモロコシ畑に建てられた、案山子のハロルドの顔は大変不気味なうえにゴキブリがたくさんはい回り、冒頭からの雰囲気を出す演出が良くできている。呪われた予言により、町の不良少年が案山子に変身させられてしまったり、他にも化け物に追いかけられた挙句、連れ去られたり、取り込まれてしまったりと、次々に失踪していく。

お化けの出現シーンがどれもそれなりに良くできている。呪われた本を返しに行っても家に戻るとそれが戻ってきてしまっていたり、赤い部屋を避けたつもりが、警報アラートの発動によって赤いランプで照らされた赤い部屋になってしまい、予言の通りになってオバケがでてきてしまうなど、逃げても逃げられないという怖さがある。

最後に結局、怨霊となった女の子の霊をなだめ、真実を書くと約束して本にそれをつづることで、一件落着する。失踪した友人たちが戻ってきていないので、続編ができて助けられる展開もあるかもしれない。