2020年8月23日日曜日

人面魚(2018年台湾)

  20年以上前にポケットビスケッツというユニットで日本で活躍していたビビアン・スーが出演している。人面魚、というよりも「大悪霊」、というタイトルのほうが合っている気がした。強力な悪霊がいろんなものに取りついて鬼に変化し、人々に襲い掛かるからである。

 エクソシスト的な役割を果たす役の俳優が、西島秀俊系の俳優を思い出させる顔であった。それはさておき、ビビアン・スーが悪霊に取りつかれてからの顔が、あまりに怖すぎて印象的だった。ゾンビ映画にもそのまま出演できそうな感じである。

悪魔にまだ変身していないときの顔だが、それですらすでに怖い。


2020年8月19日水曜日

ターミネーター4(2009年)

 

ジョン・コナー役を有名俳優のクリスチャン・ベールが演じている。他には、レジスタンスの女性たちにきれいどころを揃えた、といった感じだろうか。

タイトルだけで十分魅力的なのでもちろん、公開時にはロードショーを観覧したが、ストーリーのインパクトとしては、いまいち??WOWWOW放送での今回の鑑賞まで内容をほとんど忘れたまま、10年ほどほったらかしにしていた。

 ターミネーターというくらいなのだから、人型サイボーグT-800シリーズの骸骨のようなメタル骨格のおどろおどろしさは、見どころでもあり、毎回披露されなければいけない。(お約束のようなもの)

なので、1作目から何十年たっても、ターミネーターの世界の中では、戦乱が解決してはいけないのである。スカイネットの誕生を阻止しようとしたり、1作ごとに人類の敵を葬ろうとも、常に敵がタイムワープをしかけてきて、人類存続のキーマンを抹殺しにやって来るのである。 が、阻止がうまくいっているのにもかかわらず、ターミネーターが未来からやってくるのはどういうことなのだろうか。

 本作はターミネーター候補を極秘に作り、未来にもっていこうとする意図を持つ者が登場しているので、スカイネット阻止は難しいぞという伏線になるだろうか。人類抵抗軍にしのびこませて、ジョン、カイルなどの重要人物の抹殺をねらったものだが、メタルボディになったものの、本人の人間性が奪われず、最後までジョン・コナーの味方として命を助けた、という話となったが。

 作品的には少々その場しのぎ的な、1話完結の付け足し感を感じずにはいられないが、娯楽作品としては、俳優の力を借りてなんとか仕上がったというところかもしれない。

 追記:本作の味わいどころは、追いかけてくる巨大ロボットや敵基地内メカから発する不気味な音(ブービー音?)、不気味なバイク型ターミネーターのシーンだと思った。と、考えると、メカファンにとっては見どころの多い映画なのかもしれない。

追いかけてくるとなかなか怖い、モト・ターミネーター



2020年8月17日月曜日

ターミネーター3(2003年)

 

ジョン・コナー役の俳優さんの外見に、言いたい放題の、ずいぶんと酷いイチャモンをつけてみた。顔をやたらと暑苦しく感じさせるゲジゲジ眉毛。目元はかなり少年ぽい雰囲気の童顔だが、若いのにやけに広く、早々に禿げ上がりそうな予感のする額。顔がやせていてややハリに欠け、早々にほうれい線の出てきそうな、頬。清潔感に欠ける、うっすらと生えた無精ひげ。役柄上の演出もあると思うが、顔相的に貧相さが目立ち、包容力のあまりなさそうな、頼りなさそうな風貌。ジョン・コナーを演じる俳優さんの外見が、個人的に役柄に求めてしまっている好みの正反対だった、という個人的すぎるイチャモンがあり、大変申し訳なく思った。(追記:実はこの俳優さんがやせ細りすぎて貧相だ、と他の人からも言われていたようである。ドラッグ中毒があったり、健康状態があまり良くなかったのかもしれない。)

 一方、完璧な美貌とスタイルをもつ、新型ターミネーターを演じた女優さんがあまりにもきれいすぎて、むしろこの役にはもったいない感じもしたが、以降の出演作と比べると、この映画が代表作のひとつとなっただろうか。

 婚約者を殺されたケイトとジョンの運命は思わぬ方向に流れていき、止められると思った核戦争は止められず、シュワ演じるT-850式ロボットの任務は、二人を生存させることのみであった。

 誘導されてたどり着いた目的の基地が、じつは二人のための核シェルターで、他の人類の大部分はは結局核でやられてしまう、というオチであった。ここでもやはり、ホラー的な要素を感じた。結果として起こる、人類の死滅と、核シェルターがエジプトのピラミッドの内部を思い出させるような、お墓のような雰囲気を感じさせ、とても孤独感を深める気がするのである。

(追記:)見どころの一つとして、シュワとターミネーターの放り投げ合戦が面白い。大男であるシュワちゃんが軽々とふっとんで壁だの天井だのに刺さり、ターミネーターも同じくそんな状態となる取っ組み合いに、なんやら面白みを感じた。




ターミネーター2(1991年)

 

2からはシュワちゃんは、いい人で味方役に転じた。理由はやはり、彼の人気が高まり、悪役のままだと倒されて終わってしまい、続作に登場させにくくなってしまうからなのではないだろうか。

 いい人になった途端、敵役のロボットは彼をしのぐ強力なタイプがやってきて、絶体絶命のピンチに陥る、というパターン。新型ターミネーターは、液体金属でできていて、銃撃しても全く壊れない、という恐ろしいしぶとさを持つ。

 最後にT-800であるシュワちゃんはコナー親子に惜しまれながら、ロボットが再度作られないように自身に内臓されているチップを破壊すべく、溶鉱炉の中へ消えていき、観る人をしんみりさせた。

 サラ・コナーを演じるリンダ・ハミルトンさんは、自身の体を強化し、シェイプアップした筋肉美のボディを披露し、したたかな強い女性を演じた。少年役のエドワード・ファーロングさんは、美少年として一世を風靡したが、その後の彼の状況は残念なことに薬物や飲酒におぼれ、精神的にもすさみ、太って老け、顔つきも不健康になって容貌が衰え、多くの人たちに失望された模様だが、心の問題を解決してどうにか立ち直って欲しい。

 この映画にホラー要素を感じるのは、最終核戦争によって人々が死滅するのを、サラ・コナーが何度も夢に見る、その情景である。爆弾が落ちて炸裂し、ものすごい熱線が外で子供を遊ばせている家族を襲う。みんなに爆弾が来るから逃げて、と警告にかけつけたサラも炎に包まれて、ワァーーーー!と悲鳴をあげて炎に包まれ、その場にいた全員が数千度以上の熱にさらされて発火する。

 ホラーは、造り話のものと、ある物事の結果として当然起こりうる悲劇や恐怖をえぐりだしたものとあるが、後者のほうが怖い。作り話はあくまでも作り話で、その場でしか怖くない感じがするのである。が、事実起こりえることから描いた恐怖は、本物の事実だから怖い。75年前に広島・長崎で原爆が落とされ、数千度の熱で大勢の人が焼かれたのだから、核爆弾を投下した結果は、必ず起こる事実である。


2020年8月5日水曜日

ターミネーター(1984年)


おなじみのA・シュワルツェネッガーのジャケットは、有名すぎるので割愛。

 近未来SFの金字塔とも言っていいような、ターミネーター第一作は、ストーリーの仕立て方も良く、設定も公開当時は斬新であった。
 さらにホラー的な要素も強く、サイボーグのむき出しの素顔は凶悪な様相のドクロそっくりで、コマ撮り撮影された動きが却っておどろおどろしく、不気味感が増している感じがした。
(話がそれてオタク感の強い話題になるが、映画「ロボコップ」に出てくる治安維持ロボット「ED-209」もコマ撮りされており、その動きもおどろおどろしく、個人的にはとても気に入っている)

 秘めた意思の強さを感じさせるサラ・コナー役の女性は、大変素敵な方ではあるが、昨今のモデル顔負けなルックスの女優達とは違い、美人とは言えないが、うわついた感がなく却って物語にのめりこませてくれるものがあった。カイルについても、命がけでサラを支えた姿にやさしさと愛情を感じ、終盤で死んでしまった後、サラを通じて寂しさが伝わった。

 また、当時はボディビルダーとして有名だったらしいシュワルツェネッガーが、俳優として世に出始めたころの作品であっただろうか。彼の動きが恰好よく、素晴らしかったので、この映画が成功した一因ともなっただろう。

 そして、この映画はその当時としてはかなり新しい世界観を持たせた、体当たりの企画だった、と言えると思う。

 話はいくつかの局面に分かれて、サラと警護者のカイルが出会い、ディスコ店内銃乱発、警察署内銃撃事件、モーテルでの一夜、機械工場でのシーンが大まかである。カイルを完全に不審者扱いをしていたサラが、シーンを通じてようやく、彼の使命について納得・理解して愛情を感じるようになっていく、という一作業感。それでもターミネーターの追跡は止まず、場所を転々としながら、危険がつねにつきまとうハラハラ感。

 話が停滞してしまうため、やむない演出だったのだとは思うが、サラはやってはいけないことを二度もしでかした。
 本人留守中の自宅にいた友人宛に電話したせいで、たまたま家に侵入して友人をサラだと思って殺害したターミネーターに、自身の不在を知らせてしまった。おまけに、連絡先の書いた電話帳まで盗ませてしまったこと。
 連絡帳から探し当てたお母さんの存在の察知により、お母さんを(たぶん)殺して擬声で応答するターミネーターに、電話で逃亡先の電話番号を教えてしまったこと。所在地を隠したつもりだろうが、伝えられた番号に電話してきけばいいだけの話であり、見事に居所がばれてしまった。

 そういう訳で何度も危機を迎え、最後はカイルは死んでしまったが、ターミネーターも破壊することができた。そしてもしかすると、人類抵抗軍の指導者が生まれるという歴史は、そもそも変えられないということなのかもしれない。
 エンディングの写真、サラの悲しそうな顔は、カイルの死と悲しみを乗り越え、すすんでいかなければならない将来を憂いた表情が写った、といった感じだろうか。

追記:逃亡中に流れるBGMも、ハラハラ感に合わせて流れており、良いと思う。