2020年8月5日水曜日

ターミネーター(1984年)


おなじみのA・シュワルツェネッガーのジャケットは、有名すぎるので割愛。

 近未来SFの金字塔とも言っていいような、ターミネーター第一作は、ストーリーの仕立て方も良く、設定も公開当時は斬新であった。
 さらにホラー的な要素も強く、サイボーグのむき出しの素顔は凶悪な様相のドクロそっくりで、コマ撮り撮影された動きが却っておどろおどろしく、不気味感が増している感じがした。
(話がそれてオタク感の強い話題になるが、映画「ロボコップ」に出てくる治安維持ロボット「ED-209」もコマ撮りされており、その動きもおどろおどろしく、個人的にはとても気に入っている)

 秘めた意思の強さを感じさせるサラ・コナー役の女性は、大変素敵な方ではあるが、昨今のモデル顔負けなルックスの女優達とは違い、美人とは言えないが、うわついた感がなく却って物語にのめりこませてくれるものがあった。カイルについても、命がけでサラを支えた姿にやさしさと愛情を感じ、終盤で死んでしまった後、サラを通じて寂しさが伝わった。

 また、当時はボディビルダーとして有名だったらしいシュワルツェネッガーが、俳優として世に出始めたころの作品であっただろうか。彼の動きが恰好よく、素晴らしかったので、この映画が成功した一因ともなっただろう。

 そして、この映画はその当時としてはかなり新しい世界観を持たせた、体当たりの企画だった、と言えると思う。

 話はいくつかの局面に分かれて、サラと警護者のカイルが出会い、ディスコ店内銃乱発、警察署内銃撃事件、モーテルでの一夜、機械工場でのシーンが大まかである。カイルを完全に不審者扱いをしていたサラが、シーンを通じてようやく、彼の使命について納得・理解して愛情を感じるようになっていく、という一作業感。それでもターミネーターの追跡は止まず、場所を転々としながら、危険がつねにつきまとうハラハラ感。

 話が停滞してしまうため、やむない演出だったのだとは思うが、サラはやってはいけないことを二度もしでかした。
 本人留守中の自宅にいた友人宛に電話したせいで、たまたま家に侵入して友人をサラだと思って殺害したターミネーターに、自身の不在を知らせてしまった。おまけに、連絡先の書いた電話帳まで盗ませてしまったこと。
 連絡帳から探し当てたお母さんの存在の察知により、お母さんを(たぶん)殺して擬声で応答するターミネーターに、電話で逃亡先の電話番号を教えてしまったこと。所在地を隠したつもりだろうが、伝えられた番号に電話してきけばいいだけの話であり、見事に居所がばれてしまった。

 そういう訳で何度も危機を迎え、最後はカイルは死んでしまったが、ターミネーターも破壊することができた。そしてもしかすると、人類抵抗軍の指導者が生まれるという歴史は、そもそも変えられないということなのかもしれない。
 エンディングの写真、サラの悲しそうな顔は、カイルの死と悲しみを乗り越え、すすんでいかなければならない将来を憂いた表情が写った、といった感じだろうか。

追記:逃亡中に流れるBGMも、ハラハラ感に合わせて流れており、良いと思う。