2018年12月12日水曜日

「来る」


山の方からオバケが迎えにやってくる、そういうフレーズからスタートする話である。
 妻夫木聡と黒木華演じる夫婦、二人の間に生まれた女の子。夫の順調な会社での仕事や新しいマイホーム。絵に描いたような幸せイクメンパパのブログ。だが、その裏にはとんでもない真実と、奥さんの本音も隠されていた。

 その笑顔、本物ですか?あなたの話、本当ですか?という問いかけを感じさせ、少年時代に山の中で女の子が妻夫木に放った一言、「あなたにも山から迎えが来る。理由は、嘘つきだから。」というのが何度も蘇る。
 一見幸せそうにしていても、隠しきれない心の闇をめがけて「それ」はやって来て、一度狙われるとほぼ逃げられず、惨殺死体として死を迎えてしまうようである。

 霊媒師を演じる松たか子の好演、霊媒師妹役の小松奈菜、柴田りえの自然な演技も光っていた。除霊のあと、現場にいた関係者はみな死んでしまい、また、大量の血液がマンションの窓から噴き出したが、松たか子霊媒師がどうなったかは、定かでない。


2018年11月29日木曜日

ボヘミアン・ラプソディ

 伝説のイギリスロックバンド「Queen」のリードボーカル、フレディ・マーキュリーの自伝的な映画。以前通っていたゴスペルコーラスで「Somebody to love」が課題曲となったことがあり、ご縁があったので観に行ってみた。


 今も色あせない、メガヒット曲の数々。私生活も含め、何をとっても規格外で、短い人生を駆け抜けていった彼のエピソードについて、おおまかにわかったかもしれない。
 (伝記的な映画は、他にもいろいろあるが、マーガレット・サッチャーや、ダイアナ妃などの映画もみたことがある。)

2018年11月24日土曜日

ヴェノム

宇宙寄生生物にとりつかれた主人公が、ヒーローとなる。

 マーベルコミックからまた一つ、こちらの映画が製作されたようである。ヴェノムは、スパイダーマンの宿敵という位置におかれているらしいが、今回は、ヴェノムにとりつかれた主人公が、地球を救うべく立ち上がる話。

 強大な魔物や怪物に取りつかれる話は、古くは永井豪の「デビルマン」、「寄生獣」、「強殖装甲?ガイバー」などやはりコミックから生まれてアニメや映画になったりと、有名になっている。本人が怪物に心も食われてしまったら、ただのモンスターとなるため、それと戦う人間のほうに主眼が行ってしまうが、人の心をもったまま悪と戦うヒーローとなる以上、こちらが主人公となる。
 きもカッコイイ、というのが見た目の感想だろうか。

2018年11月9日金曜日

マイケル・ムーアの「華氏119」

 こういう映画は、メジャー映画と違い、開封から日数が経つと上映時間帯が複数から一つに減ってしまうことがよくあり、生活上の都合と合いにくくなるので、早々に見に行くことにした。ゴア元副大統領の地球温暖化映画と同じく社会派映画であるが、ストーリーに浮き沈みがなく、また、字幕の理解がすべての情報源なので、集中力が結構必要となる。
 レディスデイの鑑賞で観に行ったのだが、観客席にはやや年配(60~70代?)の男性が多く、あれっ、と思った。


トランプ大統領をヒトラーになぞらえ、危険視している。ムーアさんは、トランプや政府関係者につぶされないのだろうか。と、考えてしまうのも危険思想なのだろうか?

 トランプの同胞であるらしい、ミシガン州(だったか)知事の悪事も暴いていた。水の独占、投資への資金集めのために、地域の水源を汚染し、住民たちを病気にさせ、それでも異常はない、とシラを切り続ける悪徳ぶり。これが本当だったら、この知事は、批判の矢面に立たされて地獄に落ちるべきだろう。民族浄化のキーワードも入っていて、選民思想の危険についても描かれていた。

2018年10月26日金曜日

クワイエットプレイス


 音を立てると、それを聞きつけて怪物がやってきて、人間をさらって食ってしまうという話。鑑賞前に映画評を見たところ、怪物に追われる身となってからの、奥さんの妊娠・出産・子育てはどう考えても自殺行為だとか(子供が騒ぎ泣き叫ぶため)、日常的な生活音はどうなるんだ、などの現実味のなさを否定する感想もあった。

 たしかにそうだと思いながらも、映画の背景や風景、雰囲気をある意味味わうのを楽しみに鑑賞することにした。確かに、登場人物の家族計画は無策すぎて本当に浅はかな愚か者、と思う以外にない。ただ、無限にはないアイデアの中、赤ん坊の誕生は、その中の世界をいかに味わわせ、ハラハラさせるかの小道具として、この映画の中では重要な存在にならざるを得ない。家族単位での生活を描く場合は必須道具かもしれない。

 主演のエミリー・ブラントさんは、「プラダを着た悪魔」で初めて見た。他、「スノーホワイト氷の王国」(美しい氷の王女?として出演)などに出演し、日本でも公開されている。
大手ファッション誌に勤めるOLを好演。


2018年10月21日日曜日

フラットライナーズ(2017年版)

 何の気もなしにTVを見ていたらこちらをやっていて、後半からだったが意外に面白そうだったので見てみた。
 知的能力が向上するという理由で、医学生たちが順番に作為的な仮死状態をつくり、そこからの蘇生を行っていった。初めは良かれと思ってした臨死蘇生だったが、蘇生後に恐ろしい体験をするようになる。

映画リーフレット写真のようで、恐ろしげなグラフィックだが、本編で本人たちが悪霊化するというわけではない。臨死体験の中での恐怖におびえる顔かもしれない。
ストーリー内で、ミーティングのシーンが出てくるが、そこにレディ・ガガがカメオ出演しているようである。そういう発見も映画鑑賞の楽しみである。




初版は、1990年のこちらのようである。
ジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコン、ウィリアム・ボールドウィンらの顔が並ぶ。この時は医学生を演じたと思われる、キーファー・サザーランドが真ん中の人物のようだが、2017年版のほうでは教授の役をやっているようである。



2018年9月28日金曜日

中国 さすらい農民工の物語

時々BSのドキュメンタリーを見ている。
放浪を続けながらその日暮らしをする「スーさん」という60歳くらいのおじさんの話。
 中国の都市化が進む中、周辺地の不法占拠を続ける彼は、店を構えて住むたびに役人に追い出される、という生活を続ける。

 そもそもは、共産党員だったらしい彼は、当時の一人っ子政策を違反したために失職させられ、今に至るのだということだ。が、重婚もしていたらしく、人生の重大な違反をしまくって?いたのだろうか。そして故郷の自宅に置き去りにしていった、元の奥さんと数人の娘たち。生活費の仕送りはしていなかったようである。

 
ビルが立ち並ぶ予定になり、立ち退きをさせられる。

 失職しながらも愛人を持ち、二人で放浪の旅を続けてどうにかその日の生計をたてていたが、あるとき放浪に疲れ、故郷に戻る。が、置いて行った奥さんや子供たちに無職だのごくつぶしだの言われた挙句、ケンカになり、結局出ていくことになった。
 奔放な生き方をしつつ、人間関係にも不器用なため、どうにもうまく適応ができないという難ありな人生を送るスーさんであった。今後の人生も心配が残る。

 急激な?都市化が進む中国、人民の半分は都市部にすむことになるだろうと話す人が映っていた。そうであるとして、そこからこぼれ落ちた人たちは、どうなるのかはわからない。


2018年9月20日木曜日

MEG ザ・モンスター を観てきました


サメと完全に目が合っています。この後サメが取った行動は、もちろんガラスに向かっての猛突進である。

 ジェイソン・ステイサムの名前を知ったのは3年くらい前で、日本風に言うと「ハードボイルドでイケてるハゲ」だろうか。
 海外ではそうでもないかもしれないが、トレンディエンジェルのネタもある通り、日本では薄毛はネタとなっている。カツラ偽装、バーコードハゲ、という言葉もあり、薄毛を隠そうと必死な人、それにツッコミを入れる人、さまざまである。が、この人はかっこいい。役柄が、ストイックで苦み走った、勇猛果敢な男だからである。

 原子力潜水艦の救命をしたとき、通常の海中にもすでにメガロドンはいたようであった。が、マリアナ海溝の海底ガス層を突き抜けた下は、多数のメガロドンの生息地になっていたようであり、潜水艇浮上の時に温水の通路を作ってしまい、何匹かのメガロドンを通常の海中に導いてしまった。そこから始まるドタバタの中で、退治と救命を繰り返し、多くの犠牲を払いながらステイサムがなんとかがんばり、事態が収束に向かう?話であった。

 (おまけ)ヒロインのリー・ビンビンさん(中国)のお顔が、イヴァンカ・トランプさんに似ている。イヴァンカさん似にする美容整形が中国で流行っているらしいが、その流れもあるのだろうか?





 


(おまけ・2)
ホオジロザメの画像。化け物感がものすごく、ホラーの本質がここにあると思う。恐竜並みの恐ろしさである。

2018年8月21日火曜日

未来のミライ



 アニメはもともとあまり興味がないのだが、幼少時代のお兄ちゃんこと「くんちゃん」がかわいらしい、不思議世界に入っているときの映像がちょっと面白そうに見えた、という予告編の印象のみで見に行ってみた。

 不思議世界への往復で、妹や父母、ひいおじいさんやペットの犬との不思議なやりとりをすることで、くんちゃんが育てられ、成長していくというあらすじ。
 赤ちゃん(妹)にかかりきりになってしまい、やたらとくんちゃんに厳しく、構ってあげあげる余裕もなく、お兄ちゃんなのだからきちんとふるまえ、という指図ばかりになってしまうお母さん。子育てに自信がないといいながらも、自分が育てられたのと同じにしかできないのは、子育ては結局、母から子へと、めぐっていってしまうという現実。そんな話はどこにでもあり、そんな中でも子供は育つが、グレたり陰で妹をいじめたり、親と打ち解けなくなることもあるだろう。

 その中での救いの神は、くんちゃんが足を踏み入れた不思議世界であった。幻想ファンタジーという区分もできるのではないか、と思う。

エクス・マキナ

AIをテーマにした映画。
 検索エンジンの会社社長が開発したAIロボットを、何体もつくっては閉じ込めたまま開発を続けているその屋敷に、社員の青年が実験のために招かれ、最後に一人のAIを屋敷の外に取り逃がし、一般社会に紛れ込ませてしまう話。

 そのAIの頭脳は、どうやら検索エンジンからの情報をもとにした莫大なデータ集積からできているらしいので、限りない領域の中で進化したもののようであるが、会社のモデルとしては、AI事業も進めているらしいグーグル社からヒントを得たのだろうか。
このAIロボットが、他のロボットから取った人工皮膚を付けて人間になりすまし、脱出する。



AI人形の面々の画像を貼ってみる。

AIの画像としてはもっともポピュラーな感じのタイプ。


こちらは、実体のない、機器内の意識、のような印象のもの。
人間を抹殺したい、と冗談なのか本気なのかわからないがそう言い切ってしまった、恐怖のAI「ソフィア」(アメリカ)
 人間を抹殺したいと言ってみたり、他にも、ある中国企業の開発したAIが、共産党を批判したというニュースが挙げられるなど、AIは必ずしも皆にとって都合の良い味方にはなりえなそうな感じがする。
 人間と異種で、明らかに優れた能力を持ってしまったら、人間をどうしようかと検討し始めてしまう、というのはありえそうで、想像をすると怖い。
 人間が非効率的で攻撃的で、戦争で殺しあったり地球の環境を破壊しているうちに、AIが冷ややかにそれを観察するかもしれない。


(おまけ)
1982年映画「トロン」で出てきた悪の親玉・MCP(マスター・コントロール・プログラム)。このMCPがプログラム監視を行い、社内情報をコントロールする。


2018年8月8日水曜日

エルム街の悪夢 (2010)


1984年初登場映画のリメイク版。
 フレディ役を演じる俳優が違うので、やや違和感があるが、ストーリーテンポはおおむね良い感じだった。

2018年8月5日日曜日

フィースト(The Feast 2006年アメリカ)

店が怪物たちに囲まれてしまったので籠城を余儀なくされる。電話も通じない場所で、主人公たちは自力で戦わざるを得なかった。

 テキサス片田舎のバーが舞台、店の外からやってきた怪物に襲われる映画であり、以前観た「フロムダスクティルドーン(1996年アメリカ)」を思い出させる映画であった。

フロム・ダスク・ティル・ドーン。クエンティン・タランティーノ監督で、少し若かったジョージ・クルーニーが出演している映画。バーの店内が舞台で、吸血鬼たちが襲い掛かってくるという内容。

 (あっても)明度の低い白色灯に、赤や青のネオンライトが浮かび上がる店内。アメリカの片田舎?にあるバー、というのは何やら独特の雰囲気があるようである。

 一癖二癖ある常連客が非常に個性的だが、始めの登場シーンごとに各キャラの説明がふざけた感じがして、少し安っぽい気もした。登場人物名:マヌケ、ハニーパイ、などの軽いノリでつけた名前と、寿命:70分、すぐ死ぬ、などといったふざけた説明などが、かえってインパクトを弱くしている感じもする。

 車で誤って引いてしまった怪物、その仲間の復讐だろうか、店が怪物にねらわれ、何人も襲われて殺されていく。その怪力によって、店のバリケードもそう持たない、という危機感の中、皆で知恵をしぼって倒そうとするも、結局女性の火事場の馬鹿力が一番強かったような気がする。男たちが取り押さえた怪物を殴り続け、素手で怪物の内臓をえぐりだしてしまうのは、鬼気迫っていた。

(おまけ)本作品に照明の雰囲気が似ているアメリカ?のバーの写真数例



2018年8月3日金曜日

エンド(EXTINCTION - The G.M.O. Chronicles 2011年 ドイツ)

 目に余るようなスプラッターシーンもなく、正統派の逃亡劇を描いた作品。薄暗い色調の画面の中、映画の話が進んでいく。
 ゾンビが蔓延し、一握りの免疫保持者だけが生き残るだけとなった世界。子供時代に遊んでいた軍の施設を隠れ家にする主人公。ほかの生存者を見つけながら合流し、施設に誘い入れていったが、やがてゾンビが進化・凶暴化し始め、そこも侵入され始めた。



 ゾンビの発生原因は、遺伝子組み換え食品によるウィルスの異常進化により、ふれた人たちがどんどん変異をし始めたことである。そしてやがて、制御する人間のいなくなった原子力発電所も冷却できず、すべて爆発することになり、原子力発電所保有国の放射能汚染が避けられなくなった。
 自らのやることなすことすべてに苦しめられることになった人類であった。これは過ぎたことをしすぎた人間への警告も含まれているようである。

2018年8月2日木曜日

グリード (2014年 中国)

副題は、from the deep。レンタルサイトで、こちらのものしか表示されなかったので、てっきり、1998年アメリカ製作のモンスターパニック映画と勘違いして借りてしまった。
ザ・グリード、こちらが、以前作られた方。「90分で3000人!喰って喰って喰いまくれ!」という副題がついている。

こちらが今回視聴の方。なんだか背景もモンスターもすごく似ている。ぱくった、というのだろうか。


 原題は、「食人虫 bugs」のようで、それを見て、中国映画だということに気が付いた。仕方なく見始めたが、食人虫の幼虫は明らかにCGだというのはバレバレではあったものの、ストーリーテンポやその他の描写部分は、そこまでひどい出来ではなく、そこそこ面白く見れた方だと思う。
 幼虫に食べられた人たちは、表皮も含めて皮下脂肪を食い荒らされ、骨と皮ばかりのゾンビのようになって倒れていく。そのシーンもホラーチックで見どころだと思われる。

 結局親虫を、ヒステリー状態に陥ったヒロインが、電動チェーンソーをふりかざして舌を切断して退治することになったが、それまでに多くの人が食われていった。

 実家の親も変わり者なので、ふと気が付くと、ボーーッと背後で体を傾けたまま、映画に見入っていた。
 自分もゲテモノは嫌いではないが、おばあさんが見るような映画ではないと思ったので「ええ、見てるの?!」と聞いたところ、「だってたまたまついてたから、見ちゃったんだもん。しょうがない。」と、やはり変人ぽく、わけのわからない言い訳をするばかりだった。

2018年7月31日火曜日

ゾンビ・ガール(2014年 アメリカ)

 名前のイメージからして、やっぱりといえばやっぱりな、B級チープなホラーコメディ。
 一風変わったエキセントリックなガールフレンドが、死後もゾンビとなって復活し、主人公にまとわりつく話。新しくできたアイスクリーム屋さんの彼女のほうがかわいいし、性格もいいなあ、という程度の感想しかない。
 ゾンビガールのメイクがカットによって違うのは、撮影日をわけてメイクをし直して撮影したせいだろうか・・。それにしてもただ、肌の表面に書いただけのような安っぽく、インパクトに欠けるメイクであり、それらしく周囲を飛び交うハエも、アニメーションだとすぐにわかってしまう。
 ゾンビホラーというよりは、凶暴な元・彼女をどう振り払うか、というところに重きが置かれ、どうにもばかばかしかったので、かなりの間を早送り再生した。




2018年7月27日金曜日

サルベーション・シーズン1終了

地球を救うために、科学者も国防省副長官も自分の身分を隠して秘密の任務を遂行する。

 以外に中途半端な感じで終わってしまったので、ネットで調べたところ、シーズン2もそのうちに放映されるということだった。

 最終話は、ロシアから長距離核ミサイルが発射され、30分以内でアメリカ東海岸に到達するという設定。その地域の人は、核シェルターに入らなければおおよそ全滅である。半径650km、と言っていただろうか。現実的に、現在の核ミサイルは、そこまで威力が高まっているのだろうか。ドラマだけの話だろうか。

 地球が惑星衝突から回避できないなら、宇宙船で逃げた後に沈静化した地球に戻れても、衝突の影響で地殻がめくれたり、地表が焼けただれて水が干上がったりするらしいので、一からやり直せるのかどうなのか。核ミサイルで一瞬の蒸発で消え去れるのなら、いっそのこと楽なのだろうか。どちらが地獄なのかわからなくなる。

 タンズ社の社長ダリウスは、地球脱出の指揮をとるも、自身はハンチントン病という奇病のため、脱出を断念する。どういう病気かというと、発症すると不随意運動に襲われ、精神もむしばまれ、いずれ死んでしまうという難病らしいが、この不運が原因の別れにより、物語が深みを増している。

2018年7月19日木曜日

ジュラシックワールド・炎の王国 を観てきました

恐ろしいが、賢いが故に人間との共感性をもつ、ヴェロキラプトルのブルー。前作くらい?から主人公の友人的存在に。

 初視聴から20年以上経過した第一作だが、恐竜島を脱出したラストシーンで、翼竜は空を飛べるのだから、海を超えてこっちに来ないの?という感想を残したままだった。が、やはりと言えばやはりだった。

 そして、前作では巨大海龍を造ってしまっており、今回は作業途中の事故によりゲートが開けっ放しとなり、大海への海龍の放流がなされてしまうことになった。

 自然物を完全に制御して管理しようと思う方が無理だと、火山噴火の対応集会でジェフ・ゴールドブラム(マルコム博士)がそのようなことを言っていただろうか。
 自然界に人間が生まれてはびこり、制御不能となっている状況を、もし創造主がいたなら大変嘆いているかもしれないが、本作では人間が「造った」恐竜が、やはり造り主が制御できなくなりそうな予兆を示している。

 やはり、ここでも人間の嫌な部分がクローズアップされていた。資産家や慈善活動家、主人公をだまして利用し、火山島からこっそり恐竜を盗む者たち。自分の探求心を満たしたい(あるいは金儲け)のために新しい恐竜を造ろうとしたり、競売にかけて大儲けしようとする。(悪人たちが最後には恐竜たちに踏みつぶされたり、おいしく食べられてしまう、という結末は見ていて気分がいい。)

 恐竜を一か所に集めた館で、高い知能で人間をだましてオリから抜け出たインドラプトルが、皆を追いかけるシーンは怖い。
 最後には密漁されたすべての恐竜が大放出されてしまった。(はびこるためには個体数が少ないかもしれないが、そこはよくわからない。)次作の予想は、恐竜王国と化してしまった地球を舞台に、人々が恐竜と戦っている姿を描いた作品、となるだろうか。



 
 

2018年7月8日日曜日

生きてこそ(1993年 アメリカ)

この映画はたしか、リアルタイムで劇場に見に行った記憶がある。

 事実をもとにした映画だった。映画自体には、生存者を演じる人たちが肌つや良く健康そうで、あまり飢えた風貌にみえない、というリアリティの足りなさを感じた。フィルムの質感や話の流れの置き方にも、少し古さを感じる。が、再現フィルムとしては広く世に知らせることができたのでは、と思う。

 飛行機が冬山に墜落し、雪崩にも巻き込まれ、増えていく死者。捜索が打ち切られ、彼らが自力で生存するために取った方法とは、死者の体の肉を唯一の食糧として摂取することだった・・。

下記に事件の詳細が掲載されていた。
http://karapaia.com/archives/52104877.html

2018年7月7日土曜日

メイズ・ランナー最期の迷宮(劇場にて)

シリーズ第三作。

 なぜか迷路に閉じ込められた若者たち、彼らは人類を滅亡させるウィルスへの免疫を持った数少ない人間たちであった。3部目は、上級民と下級民が分け隔てられ、都市部は進入不可地域になっていた、そこを舞台とした話になっていた。免疫保持者は捕らえられ、奴隷のように拘束されていたが、主人公たちが解放する。一方、ウィルスに侵された人たちは、ほぼ「ゾンビ」のような面相になり、我を失って人に襲い掛かってくる・・。

 完全にゾンビ映画にならないのは、ゾンビ的な状態を経て、やがて感染者は全員、間もなくして死んでしまうためであった。主人公の血清のみが、この破滅から人々を救う、というのがわかったようだが、以前拘束していたときにどうして主人公の血清を試していなかったのか、(前の1・2作は、ずいぶん前にDVDで見たので、以前の流れは忘れてしまったが)そう思った。

2018年7月4日水曜日

ケージ・ダイブ

 サメ映画「オープンウォーター」シリーズの第三弾、らしい。雰囲気としては、きちんと見ていないが「ブレアウィッチプロジェクト」的な?ホームビデオ風に撮られた登場人物の表情を中心とした映像、が流れていく。

 南オーストラリアへサメを見るケージダイビングに臨んだが、高波で船も転覆し、サメのいる大海原に投げ出された人たち。周りの人たちはそれぞれ、死んでしまったり、サメにやられたり、途中運よく救助される人もいて、だんだんといなくなる。パニックになりながらも当面は生き延びた三人。メーガン、恋人のジェフ、ジェフの兄のジョシュ。

 夜になって、奇跡的に見つけた貴重な救命ボート、その船内にて。漂流中を助けた女性のために、救助を呼ぼうとあせったメーガン。照明弾を今度こそ使うのだと言い張り、男たちが先ほど失敗したからやめよう、と止めるのも聞かず、無理やり引ったくろうとしたところ、暴発してボートが燃えてしまう。
 あきれた展開で、弱って動けない女性は置き去りにされ、そのまま燃えるボートの中で焼死。いったい何なんだ、これは・・。そして再び三人は、夜の真っ暗な海の上に・・。救命ボートと漂流者の女性は、夜の幻のように消えた。これは夢だと思った方が救いがあるのだろうか。

 しかもこのメーガン、泳げないという設定になっているようだった。泳げないのにケージダイビングをする人は、実際にいるのだろうか?やることなすこと全て無茶苦茶。自分が泳げないからと、助けを求めに行こうとする男性の行動を束縛しまくる前半部の行動。

 さらに、ボートを燃やすだけでは飽き足らず、どうせみんな死ぬのよ!とか、私が照明弾を打ったのを責めるつもりなの?あなたのせいよ、あなたが悪いんじゃない!などとジェフに意味不明なことも口走りながら海上でギャーギャーと騒ぎ、周りを混乱させた上にバシャバシャと水音を立て、サメの興味を引くこと間違いなしの行動ばかりとっている。

ことごとく全員を危険にさらし続ける、恐るべき悪女、メーガン。

ギャーッ!何かが足にさわった!助けて!サメにきまっているが、ここでは何も言わないのが肝要だ。

 やがてメーガンはサメに襲われ、ジェフは心臓発作を起こし、残ったジョシュもサメにやられてしまったので、絶望的なバッドエンドとなった。
 絶望感のほうが際立ったが、恋愛の三角関係が発覚してから三人の人間関係がメチャクチャになり、絶体絶命の状況で大海原での大ゲンカとなり、なんなんだこれは、、というぐちゃぐちゃの展開となった。

 ことの顛末を記録したカメラが海中から見つかった、という設定で、それを見た親戚のメッセージがきれいごと過ぎ、無理やりまとめたなあという感じがあった。

2018年6月25日月曜日

海底47m

この季節になると、サメ映画が多く放映され、先日のロスト・バケーションに続き、こちらも見てみた。
クレーン故障により、サメ観察用ケージが深度47mの海底にまで落ちてしまった。
姉妹がバケーションでリゾートに旅行し、失恋で落ち込んだ姉を元気づけるために、妹が夜の街へ姉を連れ出し、男性たちと親しくなる。週一でサメ観察ケージで潜っているという話を聞いて、すっかり妹は乗り気に。妹の、この軽々しさが最初から気に入らないが、話に乗ってしまって、海へでた。

 ケージ搭載船に乗り継いだ時、さびついた小さなクレーンやら、さびたケージを見た瞬間、しょぼいし、ボロイ・・と思った。どうせ無認可の個人営業なのだろうと思うと、なおさらこれを使用するのはやめてほしいと思ったが、ノリノリの妹。しぶる姉を強引に説得して、物語は悲惨な方向へと向かっていく。
 本能的に危険だと思えることを楽しむアトラクションは、私はそもそも苦手だが、それに対する警戒心が0で、強引な前向きさを見せる人は、なおさら苦手である・・。

 そしてケージは落下した。根元からもげてしまった、クレーンとともに・・。言わんこっちゃないとしか言いようがない。海上の船とも距離がはなれたために連絡が取れない、というとんでもない状況。ホオジロザメが何匹も泳ぎ回っている中を、オリから出て連絡をとるために上昇していったり、フックを持ってきてくれた救助の男性、サメにやられたが、その遺体からフックをとってオリにかけなおしたり、予備の酸素ボンベを受け取るのに四苦八苦。
 結局妹は、姉がまだ隠れていたほうがいいという忠告を無視して、大丈夫だと身を乗り出した直後、サメに襲われた。これもショッキングなシーンだが、全ての元凶ともいえる、自身の性格が招いた結果であった。妹にイラついていたこちらとしては、とうとう死んじゃったか、ヤレヤレ・・という感想である。

 ところがここでぞっとする幻覚シーンがある。---妹は生きていたらしく、助けを求めてきた。照明弾を使いながら妹を抱えて浮上。照明弾を付けなおしたとき、真っ暗な水中で大口を開けたサメの顔が、3匹分くらい二人を丸囲みしていたのが怖かった。なんとか船上に逃げおおせたが、なぜか血が下におちないで横流れしていき、船長の声も無線のような響きに。---

 と、現実シーンにもどったところ、結局、足を挟まれゲージから全く出られない姉が、一人幻覚を見て、ケラケラ笑っていたのだった。焦点の合わない目で、助かったわ!と海底のゲージの中で一人笑い続ける不気味な姿。妹はもちろん、そこにはいない。救助隊員が救出する途中で姉は正気に戻ったようだったが、ここで話は終わりとなった。

 この映画は、青く濁って視界のきかない水中での時間が大半を占めている。なので、広く、深い海の背景として、一層、暗く、寒々しい雰囲気を演出していて、暗澹たる気分を高めていると思う。見た後も、そういう意味で怖さが続いた。


2018年6月21日木曜日

ロスト・バケーション(Shallows 2016年 アメリカ)


 TV電話で父とケンカしたあと、気分転換にもうひと泳ぎしようと思ったのが間違いだった。執念深いサメにつきまとわれ、水中の岩場に追い込まれる。サメに食べられたり殺されてしまう男性が3名、それを見ておののく主人公。
 満潮・干潮までの時間を知らせる時計表示、食われてしまった男性の遺品カメラの映像再生による切迫感などが、物語の進行を効果的に演出している。

 満潮で岩が水没してしまうので、クラゲにさされながらもなんとかブイにたどり着くが、ブイがやがて倒れてしまい、水中で主人公がとったのは、自力でサメを倒す方法だった。

 サメが水中をスーッと横切る様は、まるで空中を飛行するようにも見えた。水がなければまさに、飛んでいる感じがする。海中は、サメにとっては自由な空間そのものというのか。
 また、主演女性のすっきりとスレンダーなナイスプロポーションが素晴らしく、さわやかなサーファー姿が描かれていた。

2018年6月20日水曜日

エルム街の悪夢 ザ・リアルナイトメア (1994年 アメリカ)

冒頭の、カギ爪が動き出し襲い掛かってくるシーンは、やや怖い。

 第一作から10年、結婚して夫と息子と暮らしていたヘザー(ナンシーを演じていた女優本人)。ある日突然、悪夢が再発する。そして、夫は居眠りの最中に車内で惨殺され、息子ディランも様子がおかしくなってしまう。ディランが病院医師の処方薬により眠ってしまうと同時にフレディが現れ、付き添いベビーシッターのジュリーを惨殺。

 映画の立案者、ウェスクレイヴンは、ヘザーがナンシーという役を演じることで、フレディに対処していくべきだと主張していたようだが、果たしてヘザーは息子の夢に潜入して、フレディと対決するのであった。

 というあらすじだったが、夢の中に入って戦うシーンはむしろ、ギャグっぽいというか、フレディのメイクも作り物っぽく、舌が伸びるシーンも何となく面白おかしいというか、実体を表すとなぜか不気味感がゼロになり、ドタバタになってしまう気がする。

 息子ディランを演じているのは、ミコ・ヒューズさんという俳優だが、途中でふと、どこかで見たことのある顔だと思ったら、1989年映画「ペット・セメタリー」で、幼い息子・ゲイジの役を演じていたのを思い出した。

「ペット・セメタリー」で、墓から蘇った息子ゲイジを演じた。
こちらは、本作のディラン役で。
(追跡おまけ)現在は32才らしい。時の流れを感じてしまうが、目元の面影は残っているような。





2018年6月19日火曜日

THE DEAD インディア(2013年 アメリカ)

「ザ・デッド」の2らしい。舞台は、インド。

どれが第一作だったのかというと、こちららしい。(2010年製作)舞台は、アフリカ。以前鑑賞した記憶がある。

 風力発電の技師である主人公には、赴任先インドに恋人がいるが、お互い離れた中でゾンビ騒動に巻き込まれていく。砂漠の中でのゾンビからの追跡や、町中での殺し合い、インドはここまで素朴な国だったろうか、と思うくら素朴な家が立ち並ぶ中、主人公はひたすら、わが子を身ごもる恋人の家に500kmの距離を移動して救出に向かう。

 道中の夜の暗がりの中、舗装のされていないデコボコ道を、あまりスピードの出ないバイクでゾンビに何匹も遭遇しながらやり過ごし、振り払いながら進むさまは、なかなか不気味感があった。

 恋人と、道中連れ添った少年と再会できるもやがて、お決まり?の掃討作戦で爆撃機が上空を飛び交い始める。衝撃で建物が崩れ、三人は完全に閉じ込められてしまう。古い昔の伝説を反芻しながら、物語はそこで終わってしまうのだが、一体この三人はどうなってしまったのか、さっぱりわからなかった。
 伝説のように脱出?蒸発?できると思わせたかったのか、希望があるならもう少し道筋をつけてくれないと、閉じ込められておしまい、という感じしか残らない。

 そして、少年のぬいぐるみを見つけた中年女性が、赤子だった少年を、孤児院に預けたときに持たせたものだと悟り、そんな、ありえない、などと言いつつも、建物内の近くにいたにかかわらず、結局少年と顔を合わせないまま終わってしまっている。
 子供を捨てた罰で会えなかったのか、インド的な因果応報説があるのなら、もう少し説明がほしいし、なにやら、肩透かしな演出が最後にドドッ、ときて終わってしまった。

2018年6月17日日曜日

ミスト(2007年 アメリカ)

突如発生し広がった、霧。その中には怪物や異形の巨大昆虫が潜み、人々におそいかかってきた。
霧の中から巨大な触手が現れ、連れ去られた人たち。それを見て、スーパーマーケットから外に出られなくなる。虫にかまれて顔がはれ上がった女性、起こした火にまかれてやけただれた男性、無残な死が描かれている。巨大な昆虫がとにかくおぞましい。人々の不安をさらにあおりたて、いけにえが必要だと訴えだす狂信者女。店内は混乱をきたす。
 隣の薬局には、怪物に捕らえられた人たちが、さなぎ状態で幼虫にすでに寄生され、はじけた体から無数の虫が飛び出てきた。

 おぞましい、怖い、この感情をえぐりだしてくるのはやはり、この話が恐怖小説の大家、スティーブン・キングの原作だからだと思われる。この人の作話の根源は、日常的な何かが変化し、現実とは違うおぞましさをまとって異様なものとなる、という恐怖の感情からきているのではないか、と思う。それにしても、妄想力がすごいので、目を見張るものがある。

 
店内から抜け出し、とうとう車で霧地帯を抜け出そうと思った主人公たち。道中、とんでもない巨大怪物と出くわす。この大きさはむしろ、神がかった雰囲気も感じさせてしまう。
 軍による異次元空間実験により、このような事件になってしまった、という話。最後の主人公たちの自決シーンは悲痛だったが、直後に霧が晴れてしまい、いったいなんのための自殺だったのかわからなくなる、というやりきれなさを残した。