クレーン故障により、サメ観察用ケージが深度47mの海底にまで落ちてしまった。 |
ケージ搭載船に乗り継いだ時、さびついた小さなクレーンやら、さびたケージを見た瞬間、しょぼいし、ボロイ・・と思った。どうせ無認可の個人営業なのだろうと思うと、なおさらこれを使用するのはやめてほしいと思ったが、ノリノリの妹。しぶる姉を強引に説得して、物語は悲惨な方向へと向かっていく。
本能的に危険だと思えることを楽しむアトラクションは、私はそもそも苦手だが、それに対する警戒心が0で、強引な前向きさを見せる人は、なおさら苦手である・・。
そしてケージは落下した。根元からもげてしまった、クレーンとともに・・。言わんこっちゃないとしか言いようがない。海上の船とも距離がはなれたために連絡が取れない、というとんでもない状況。ホオジロザメが何匹も泳ぎ回っている中を、オリから出て連絡をとるために上昇していったり、フックを持ってきてくれた救助の男性、サメにやられたが、その遺体からフックをとってオリにかけなおしたり、予備の酸素ボンベを受け取るのに四苦八苦。
結局妹は、姉がまだ隠れていたほうがいいという忠告を無視して、大丈夫だと身を乗り出した直後、サメに襲われた。これもショッキングなシーンだが、全ての元凶ともいえる、自身の性格が招いた結果であった。妹にイラついていたこちらとしては、とうとう死んじゃったか、ヤレヤレ・・という感想である。
ところがここでぞっとする幻覚シーンがある。---妹は生きていたらしく、助けを求めてきた。照明弾を使いながら妹を抱えて浮上。照明弾を付けなおしたとき、真っ暗な水中で大口を開けたサメの顔が、3匹分くらい二人を丸囲みしていたのが怖かった。なんとか船上に逃げおおせたが、なぜか血が下におちないで横流れしていき、船長の声も無線のような響きに。---
と、現実シーンにもどったところ、結局、足を挟まれゲージから全く出られない姉が、一人幻覚を見て、ケラケラ笑っていたのだった。焦点の合わない目で、助かったわ!と海底のゲージの中で一人笑い続ける不気味な姿。妹はもちろん、そこにはいない。救助隊員が救出する途中で姉は正気に戻ったようだったが、ここで話は終わりとなった。
この映画は、青く濁って視界のきかない水中での時間が大半を占めている。なので、広く、深い海の背景として、一層、暗く、寒々しい雰囲気を演出していて、暗澹たる気分を高めていると思う。見た後も、そういう意味で怖さが続いた。