2018年6月17日日曜日

ミスト(2007年 アメリカ)

突如発生し広がった、霧。その中には怪物や異形の巨大昆虫が潜み、人々におそいかかってきた。
霧の中から巨大な触手が現れ、連れ去られた人たち。それを見て、スーパーマーケットから外に出られなくなる。虫にかまれて顔がはれ上がった女性、起こした火にまかれてやけただれた男性、無残な死が描かれている。巨大な昆虫がとにかくおぞましい。人々の不安をさらにあおりたて、いけにえが必要だと訴えだす狂信者女。店内は混乱をきたす。
 隣の薬局には、怪物に捕らえられた人たちが、さなぎ状態で幼虫にすでに寄生され、はじけた体から無数の虫が飛び出てきた。

 おぞましい、怖い、この感情をえぐりだしてくるのはやはり、この話が恐怖小説の大家、スティーブン・キングの原作だからだと思われる。この人の作話の根源は、日常的な何かが変化し、現実とは違うおぞましさをまとって異様なものとなる、という恐怖の感情からきているのではないか、と思う。それにしても、妄想力がすごいので、目を見張るものがある。

 
店内から抜け出し、とうとう車で霧地帯を抜け出そうと思った主人公たち。道中、とんでもない巨大怪物と出くわす。この大きさはむしろ、神がかった雰囲気も感じさせてしまう。
 軍による異次元空間実験により、このような事件になってしまった、という話。最後の主人公たちの自決シーンは悲痛だったが、直後に霧が晴れてしまい、いったいなんのための自殺だったのかわからなくなる、というやりきれなさを残した。