2016年1月30日土曜日

女優霊 Joyurei




1996年の作品である。映画の撮影所で起こる、怪異現象を描いている。




 映画の撮影所というのは、大きな倉庫のような建物の中に、舞台装置のセットと、上には木の梁が張りめぐらされ、ライトをそこに設置したりできるようにしてある。梁のほうにはハシゴも通路もあって、暗い天井が上に広がっているため、舞台セットのほうは明るいが、上の方はとても暗く、見えづらい。
 その暗い雰囲気をうまく生かした演出がなされている。そこに上った女優の転落死、監督が梁の上から手招きする出演者の女の子につられて行ったが、かき消すように消える場面で、その雰囲気が不気味に演出されている。

 撮影所には何かが出る、という業界のうわさや雰囲気を、女優霊という形であらわした映画だと言える。ふと目をやった先に、死んだ女優の女の子が、セットの床下からこちらをのぞいていた、というシーンも恐ろしい感じが出ている。
 出演者クレジットには大きくでていないが、上の写真の、あでやかな雰囲気の女優は小島なおみという女優で、女優霊(黒髪の女)は、李丹という中国の女優である。セリフはないものの、物語を作っていく重要な役柄を務めている。

2016年1月29日金曜日

不安の種 Pet Peeve




漫画が原作のホラー映画。ある呪われた町に引っ越していく家族。車内の後部座席で、映画のテーマソングに使われている歌を口ずさむ家族、それをききながら運転し、頭を振って歌にノリノリのお父さん。

オープニングから、のたくる眼球が出てきたり、引っ越してそうそう何者かに惨殺される家族、半身が壁にのめりこんでつぶれたまま助けをもとめるバイクドライバー。はじめからショッキングでおどろおどろしい。
 喫茶店の幽霊が自宅までついてきてとりつかれたり、モンスターも闊歩する。
顔が藁(わら)でできた女や、「おちょなんさん」という目と口が縦についたお化けが出てきたりして、みな恐ろしい。

 惨殺された家族の生き残りの女性は、この町で育ったからという理由で町から出ず、やがて自分も顔が藁に変わり、化物の一員となっていく。
個々の家庭レベルで恐ろしいことが起きているのだが、問題がそこから広がらず、みなその町を恐れながらも、逃げ出そうとしない。そして普通の生活をしていくところに、空気のよどみが感じられて、暗い雰囲気となっている。
歌はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=0xg2b1jQAoI

2016年1月27日水曜日

お姉チャンバラ THE MOVIE

女の子が刀を振り回して、ゾンビをバッサバッサとなぎ倒していくストーリーである。ゾンビの開発を行ったマッドサイエンティストを倒しながら、剣の道のライバルであり敵となった妹をも、倒さざるを得ない運命を背負わされたヒロイン。もとは、ゲームが原作だったらしい。この原作ゲームには、若い女の子が日本刀を構えて戦う、という日本の萌え(moe)文化が背景にあると思われる。
こちらの映画でもゲームと同じように、ビキニにちょっと帽子にマフラーやらブーツを足したくらいの露出度の高い姿で、乙黒えりという女優が演じている。セクシー系をねらった作品でもあるので、鼻についた演技を多少は想像していたが、そんなことはなく、哀愁を感じさせる真摯な姿勢が感じられた。

2016年1月26日火曜日

劇場霊

去年、映画館で観てきたもの。夜のレイトショーで観た。映画館も田舎のショッピングセンター内であるためガラガラで、怖さが引き立った。


 死んでしまった娘を人形にかたどって作ったところ、悪霊が宿って家族を殺し始めたため、作り主が破壊をこころみるも、容疑者として逮捕されてしまい、破壊に失敗。月日が流れ、それは大道具として再利用されていたが、それが劇場で、不可解な事件を起こしていく話。

 よじれた声で「ちょうだい・・」と不気味な言葉を発し、関係者を一人また一人と殺していく。最後は人形を破壊して主人公が逃げ出すのだが、川に流れ着いた人形の生首が、ふたたびあやしい眼光を放つシーンが、クローズアップされて終わる。



舞台演出として良いと思ったのは、劇中劇で、女王が生き血を吸うために監禁・殺害した若い女たちが亡霊となる演出。
 一人城内でつぶやく女王の背後の暗い壁に、青い顔をした彼女たちが左右上下にずらりと並んで女王を見下ろす場面が、哀れさと不気味さを感じさせる。

2016年1月25日月曜日

レフト・ビハインド(Left Behind)

単なる旅客機パニックものかと思ったら、一瞬にして起きた集団失踪という超自然現象を軸としたストーリー展開だった。映画の舞台もアメリカの現代社会であり、科学で説明できないことはすっかり息をひそめるような状況である。飛行機の故障や人災などによる墜落映画を期待していたので、瞬時に人が消えた展開には正直、大変驚いた。

殆どの子供たちと、神を信じる大人たちが天国にかくまわれ、これから世の中に起こる災難から免れることができる、という見えない「神」の仕業がクローズアップされた。
映画なのでどんな嘘を描いてもいいのだが、本当に神が存在してそのような仕業をするならば、無理やりにでも神様を信じないといけないのだろうなあと、考えてしまう映画だった。


向かって飛んできた、操縦席が無人となった飛行機とニアミスし、損傷を受けながらも結果的に無事に着地に成功する。が、残された人たちが今後どのような災害に見舞われるのか・・、という不安を残すしめくくりとなった。

2016年1月22日金曜日

リーカー・ザ・ライジング

ただのゾンビものかと思ったら、そういうわけでもなかった。ストーリーを進めていく当事者が、異次元に迷いこんで、死神に追い立てられて殺される。表側(実際の世界)では、事故死や爆死となっているが、現実世界での死後、生と死の狭間という世界に迷いこんだ彼らが、もがき苦しんでいくというストーリー。
 交通事故で脳みそと鼻が根元から削げ落ちてしまった男、とても生きていられる状態ではないのに、何も気づかず車を降りて歩き出すシーンには恐怖を感じさせられた。(異世界の中での現象らしい)
そういったえぐいシーンも、この映画の特徴的な部分である。






2016年1月19日火曜日

トゥモローワールド

ひそかに人口削減計画が行われているというまことしやかな情報も飛び交う昨今。それを如実に描いたような作品。人類の繁殖能力が失われて18年の歳月が流れる中、世の中は犯罪が増え、混沌をましていった。移民に対して強硬な姿勢をとる先進国。部隊はイギリスで、移民は強制収容所に移送される運命である。そういったなか、反政府勢力がたびたび政府と衝突し、治安の低下が問題になっているが、主人公は分かれた奥さんが反政府勢力のリーダーとなりコンタクトをとってきた、そして子供をおなかに宿している女性と出会い、いろいろなものに巻き込まれていく。





ジュリアン・ムーアが変わらず美しいが、映画の前半部分で暗殺されてしまう。首を撃たれて大量の出血で死亡するところがちょっとショッキングである。あくまで映画なので、虚構なのが救いである。