いわゆるゾンビものだが、作品によってかなり雰囲気が変わるという、こちらも独特の雰囲気が流れている。
誰が積み上げたのかすらもわからない、椅子だらけのタワー。それをただただ、不動の姿勢で眺めて突っ立っているゾンビたち。ゾンビのたまり場=家的なものなのだろう。生者が近づくと、異様な奇声を張り上げて、仲間を呼ぶ。 |
なんでそんな危ないと分かり切ったことをするのだろう、などといった意味不明の行動や判断を展開しつつも、田舎の村と森林の中を逃げていく男女。ゾンビの数が圧倒的に多すぎて、どこに隠れても侵入されてしまう。余りに田舎すぎて、ビルディングなどもなく、あまりにもやわい木造の古い民家にしか、身を隠す場所がないのである。一人、また一人と襲われ、人数を減らしていく仲間たち。
とうとう少女一人になってしまったが、道中、レースカー(不思議すぎる)の男と出会い、一緒に乗って先へ逃げていくラスト。その先の見通しは、さっぱり読めない。
が、ストーリーがどうというよりも、必死の逃亡ではあったが、農村や野山を駆け回るという旅の世界を味わえたような、そんな感じを残した作品である。