2016年12月3日土曜日

聖の青春

 二子玉川の映画館のE席は、ゆったり座れて肩が凝らないので利用したいが、競争率が高く、早い日取りで予約を入れないとすぐ埋まってしまう。そのため、やはり見たいと思っていた洋画作品も埋まっていて、人が行きたくない朝の時間帯を検討した結果、こちらの映画に落ち着いた。

 邦画は、かなり興味を持たないと滅多に見ない。たまに見ても、巨額を投じるハリウッド映画と比べてはいけないが、スケールの小ささや、人生観だの感情論だのに終始するストーリーや、結局作っている人の自己満足感が強いところばかりが気になって、結局何が言いたいのやら、心に響かないまま終わったりと、不完全燃焼で終わってしまいがちだからである。(あくまでも、個人的感想です。)

 この作品は、ドキュメンタリー的な色合いがあるので、見ても大きく外さないかもしれない、という予測と、松山ケンイチさんの自然な役作りに一目置いて、E席がそこしかなかったことを妥協させることになった。


ライバルである羽生善治棋士役は、東出昌大が演じている。

  子供のころから重い腎臓病を患い、一生それと付き合うことになったが、それが引き金だったろうか、膀胱がんにかかり、若くして命を落としてしまう、才能あった棋士の物語。
 病に伏せる前からずいぶん不摂生な生活をしていたのだろうか、酒を泥酔するまで飲みまくったり、タバコの副流煙ただよう雀荘でマージャン通いをしていた。吸わなくても、タバコの副流煙は、吸っている人よりも害が大きいそうであるから、もともと病を抱える体には大きな負担となっていただろうな、というシーンが続いた。

 羽生さんの、ひょうひょうとした感じを東出さんが近い感じで演じていただろうか。羽生さんは、私の個人的な目撃情報だが、といっても1997年位だったが、渋谷のセンター街を、すすっ、と、歩いていたのを見たことがある。(見間違いでなければ、ほぼ間違いないと思う。)
 午前中で人通りはあまりなく、また、気づく人も少なかったと思う。最寄りの将棋会館は、現在検索すると千駄ヶ谷が最寄りだが、その時はどこに行っていたのかはわからない。ただ、スーツを来て、気配を感じさせないで人目をさりげなくかわすような、ススッとした感じだった。

 やはり余命少ない主人公がかわいそうに思えたのは、普通に女の人と恋をしたり結婚をしたいという普通の夢がかなわず、自分の病気と向き合っていくしかない寂しさを感じたところであった。元タレントだったかわいい奥さんを射止め、家庭生活も順調な羽生さんを目の前にした、本音だったのだろう。

 聖が病気をしていなかったら将棋と出会わなかったかもしれないのは事実であるし、それを介して知り合った二人だった。が、接点は将棋だけれども、人生は重なることはない。本当にそれぞれだと思う。共有できる、と思えるのは、気持ちだけである。家族同士ですらそうなのである。気持は共有できても、同じ人生は歩めない。人生はそういう意味では孤独なのだから、結局は、自分のために悔いのない人生を送らないといけない(理想論)。

2016年11月27日日曜日

The Walking Deceased (邦題:ウォーキングゾンビランド)

ウォーキングデッドを主にパロディ化したB級ゾンビ系コメディ映画。

 保安官のリックがこん睡から覚めたとき、そこはゾンビたちが闊歩する世界だった。本作と同じ流れをくみながら、駐車場で振り向いた少女が、ゾンビではなかったのにあっさりと撃ち殺し、子供を待っていた父親も射殺して、車を奪うというところから、ムチャクチャさが始まっていた。

 コメディなのでそれは許容して、言葉をゆっくりだが話せて、人間の思考ができるゾンビ青年、そういう映画はかつて一本だけ観たが、ゾンビ界でもありえなそうな設定なので、個人的にはあまり好きではない。風貌的には日本のタレント「パックン」に似ていなくもない好青年系な彼。

 
ニックと、その息子や、ダリルもどきも登場する。

 病院→ダンスバー→ショッピングモール→郊外の農場、へと舞台を移しながらいろいろな人たちと合流していく。声変わりもしていない息子クリス(映画内ではニックがいつも、カール、カールと呼び間違える)が、生活のためにゾンビーバーを経営していたり、感染した母親や客を、一撃のもとに射殺するというシュールな場面、パロディならではできるハチャメチャさがいいところかもしれない。

 メンバーたちの奇人変人ぶりもコメディとして味を出しているが、ごちゃごちゃしてチープな感じもかなりある。また、農場も完全にウォーキングデッドのパロディである。
 最後にゾンビの治療薬が出てハッピーエンドかと思いきや、隕石の衝突によって、結局地球滅亡カウントダウン、という、それ必要なの?というラストだった。ラジオ放送が、CMなしで最期まで音楽を流してリスナーを楽しませる、という放送は、粋な計らいではあったが。


2016年11月21日月曜日

ピクセル: おそいかかってくるゲームの映画

昔懐かしの、パックマン、ドンキーコング、ギャラガなどのアーケードゲームをやりこなし、子供時代に準チャンピオンになりつめたものの、風采の上がらない大人になり果てた主人公が、ゲームおたくたちと共に宇宙人たちを撃退する話。

パックマンを捕える任務につくが、特殊アイテムで捕食者が逆転し、追いかけられることに。

宇宙に地球をアピールするための道具として、ゲームアイテムを同封して宇宙に漂流させたところ、敵意ある挑戦だと誤解されたあげく、ゲームシステムをパクった宇宙人が、地球にやってきてゲームそのままの怪物を放ち、襲いかかってくる。

昔懐かしアーケードゲームが大好きな世代の喜びそうな、コアなファン向けな題材。ゲームが襲ってくるというところが面白いところで、怪物にかじられた物質がピクセルに変換されてブロック片になって飛び散る映像が、見た目に美しい。

全体的に、ややチープな感じがするが、ネタとして一度くらい見てみてもよい作品かもしれない。

2016年11月2日水曜日

GANTZ O(ガンツ・オー) を見てきました。

フルCGムービーということで、がらりと雰囲気が違うようだったが、もともとアニメが好きなわけではない。
 前作などからの流れや、2,3年ほど前に他作品をフルCGでYoutubeで見たところ(バイオハザード?の姉妹映画だっただろうか、それなりに面白かったし、良かった)、そう悪くない出来栄えだったのをうけ、なんとなくレディースデーの映画メニューに選んでみた。

ガンツ(2011年)は、1が公開されたときに子供を連れて見に行った記憶があり、そこそこ面白かったので印象に残っている。

私のお気に入りエイリアン1・田中星人。初代歌のお兄さん、田中星児さんがモデル?




千手観音。無数の手に剣を持って高速で振り回す、冷酷な殺人鬼である。

 で、今回の作品は、アニメチックな女の子が出てきたとき、あーあ、またアニメ系萌え好みな人が好きそうななキャラが出てきちゃったなあ、と少しがっかりしそうになった部分もあったが、それよりも怪物出現やストーリー展開がテンポよかったので、楽しめたと思う。画像も、人物以外は本物のようにリアルに描かれていて、きれいな画像であった。

巨大な、特大怪物。建造物といったほうがいいくらいのものを眺めるのは、ある意味ロマンを感じさせる。

 実はこの映画、終了近いのか、朝9時前か、夜7時過ぎの時間帯でしか上映していなかったので(よく行く映画館)、朝の方で見てきた。ロビーにレディースデーのお客さんらしく女性が数名いたが、みんな、ガンツなぞには流れず、正統派・渡辺謙主演の「怒り」の映画会場の方に行った。
 普通はそうだよなとは思いつつも、映画を見たり感想文を書くのが仕事ならそうするが、自発的に見るのはやっぱり、あっ、というような奇想天外や空想的な世界のほうが、映画を見た気になれるので、そっちに行ってしまう。

2016年10月9日日曜日

エボリューション(2001年アメリカ)

 Xファイルのモルダー捜査官を演じていたデビット・ドゥカブニー主演の映画で、ジュリアン・ムーアという大物女優もヒロイン的な役で登場しているが、どう見てもこれまたB級映画であった。

 ヒロインのほかに、頭の弱そうな消防士志望の青年や、デビッド演じる大学教授仲間である「面白黒人」的な同僚、太っているという以外になんの特徴もわからない二人組の青年らが、落ちた隕石をめぐってドタバタを演じながら、未知の宇宙生物と戦っていく話。



この映画の監督は、権力を持った老人に対して反感を抱いているのだろうか。
 えらそうにいばりちらされたため、消防士志望の青年がムカついていたオジサンが、池から這い出た宇宙生物に食べられてしまったり、軍の将軍がヒロインと対立して彼女の話を聴き入れず、怪物たちの進化を早めてしまうようなことを行ってしまったりする。(ナパーム弾の投入)

 アメリカ映画のコンセプトは、「とてつもない」「途方もない」という感じが時折見て取れるが、この映画もそういった半端のないところがあった。
たったの数日間で、数億年分の進化をとげてしまった、つまり、アメーバ様の生物だったものが、数日間で、ショッピングモールの中を飛来してお客さんをわしづかみにして飛び回る「飛竜」に進化してしまったなど。

 火による爆発的な増殖・進化を描いた部分もこの映画のハイライトである。
 
小物モンスターなどに関しては、やはり低予算だったのか、たまにCG・特撮が、チャチに見えるところもあった。
 なんにしろ、半分ギャグが混じった映画で、元・モルダー捜査官がなんと、ジープの助手席で文字通り「ケツをまくって」相手をののしるシーンがあった。モルダーさんが、将軍に向かって生尻を見せる・・・。ちょっと衝撃的だった。

2016年10月4日火曜日

午後ロードショー「ディノシャーク」

 夏に見ていたのだけれども、やはりレビューを書くことに。
サメというか恐竜というのか、顔は恐竜そのままで、体はワニのようなウロコに覆われた、サメ形の体。この幼生が、氷山の崩壊によって海に放流され、やがて化け物に成長して暴れる話。

 サメのB級映画で、特撮を使いながらの食いまくり暴れまくりシーンが満載だったが、一つ大変トラウマになるところがあった。

 スティーブ(男)とルイス(女)の二人のシーン。プライベートプール付き・クルーザー付きのリッチなデート?と思いきや、スティーブがルイスを抱きかかえ、嫌がる彼女を笑いながら湖中に放り投げる。なんという仕打ち、女性に対してあまりに乱暴すぎる・・と思ったが、これが彼らの命が最後となるアホ行為であった。怪物が、そこにいたのである。

 「何かが水の中にいる!」必死に訴えるルイスを、鼻先で笑ってとり合わないクズのスティーブ。ギャーと叫んで水中でもがくルイスが、変わり果てた姿に。なんと、完全に下半身が食いちぎられて大量の血液が。。そして、そのまま水をかいて水面に上昇するという一瞬の映像が恐ろしい。

お姉さん・・、下半身が、ないよ・・。というかもう、この姿だけでも幽霊そのものだった・・。

 もちろん、CGだので演出しているのだが、画像として恐ろしかった。下半身がなくなって大量出血の状態で、あのように腕の力だけで水上に泳いでいけるのだろうか考えてみた。わからない。

 しかし、水面に手を出し、スティーブの手を断末魔の手でガッ!とつかむと、スティーブもろとも水面の下に引きずりこまれていったのは、彼女なりのスティーブへの復讐だった、とも言えるのだろうか。

自分の特に印象に残ったところは、そんなところである。



2016年10月1日土曜日

「君の名は」、見てきました。

 アニメ好きではないので、自分だけだと見に行く気にはならなかったが、今回も都民の日、かつ映画デー、ということで子供のお供をした。

 観客層はやはり若者が多く、小中学生の子供から~大人まで見に来ているようだった。
話は、パラレルワールドの話なのだろうか、タイムスリップした魂が男女の高校生の間を取替えっこのように行き来し、隕石の墜落で女の子のほうが命を落とすということに気づくのだが。

 結果としては、三年前の大事故前の時空に戻った時点で、村民を説得することでうまく避難ができ、本来は数百名の死者をだしていたはずだったのが、誰も死なずに済んだということ。

 心が入れ替わり、置手紙のように本人のスマホに記録されていく互いの行動だが、一度も会うことなくすれ違い続けるというのが、切なくもどかしいというところだろう。