2017年7月13日木曜日

サマー・インフェルノ(SUMMER CAMP /2015 米伊)

ゾンビ映画の亜流、というのか、一時的にゾンビの様になるが時間の経過とともに我に返って普通の人間に戻る、というパターン。



ある地域で、登場人物たちがいきなり黒い血を吐き出して凶暴化するという事件が起きた。一緒にいた友人たちに襲いかかって、殺害してしまう。かみつく、人肉を食らう、といういつものゾンビ行動ではなく、普通の殺人であるが、凶暴化中は獣のような叫び声をあげながら発狂状態になり、見た目はゾンビそのままである。

井戸水を介して広まってしまった毒物、その水を飲んでしまうと、その効力が切れるまで凶暴化し、正常な人間を襲い続ける、ということが後からわかった。

 この映画を見て、いわゆる追いかけっこのスリルが味わえるのであるが、終盤くらいまで何が原因でゾンビ化するのか、また、いつだれが発症するのかがわからないところが、この映画の見どころだったのではないか、と思う。

2017年6月25日日曜日

こどもつかい

タッキーこと滝沢秀明が怪人を演じるホラー系映画。
子供への虐待や暴力を行った大人への、子供たちの復讐。その背後には、タッキー演じるトミーの影があり、子供たちをあやつって大人に呪いをかける。

トミーの正体は、打ち捨てられたサーカス人形であった。
サーカスのパペット。サーカスを盛り上げる人気者であるが、その存在は時としておどろおどろしい。サーカスで鳴り響くBGMや歌も、アコーディオンの音色に似合うメルヘン調であるが、実は、サーカスの裏では恐ろしいことが起こっていた。

見世物舞台の古ぼけたパペット。パペット=不気味の構図は前からのものであるようだ。
こちらは、チャーリーとチョコレート工場(2005年米)Wonka's Welcome Songのシーンに出てきたパペット。音楽の終盤あたりで発火し、焼け焦げていくシーンがおどろおどろしい。

ピエロを怖いと言う人もいる。本心を隠し、いつも笑顔のメイクでいるからだ。
 サーカスのピエロ、アコーディオン音楽、パペット、これらが見世物の裏側に潜むものを際立たせているのかもしれないという不気味さが、この映画のモチーフとなっていると思う。

タッキーはもちろん有名なジャニーズタレントで、トミーと言う前に「タッキー」である。劇中、どうしても、タッキー。ジャニーズ・・・、とばかり浮かんできてしまった。ジャニーズ系タレントの出演を見ると、いつもそういう目で見てしまう。


2017年4月22日土曜日

ゴースト・イン・ザ・シェルを観てきました

こちらの作品は私は見ていないが、日本の漫画・アニメ「攻殻機動隊」というのが原作になっている。
人間の脳をロボットアーマーである人工体に移植し、戦闘力を強化して治安維持のために戦わせるという話。

CMでも観たが、北野武さんが出演している。ハリウッド映画なので英語でセリフを言うかと思いきや、すべて日本語で通していた。主人公の母親役で出演の桃井かおりも英語でそつなくセリフを言っていたが、北野さんはどこに行っても北野さんだという位置づけで、世界の北野の風合いを保つべく、あえて自国語でしゃべっていく演出なのかもしれない。
 他はすべて英語で進行していくので、日本語でしゃべって他のアメリカ人に通じるわけがない・・、という構成の矛盾点は気にしないで見ていけという暗黙の了解なのだと思うが、この人はやっぱり、内閣府第九課長という役柄の中でも、「風雲たけし城」の殿をほうふつとさせるイメージが健在だった。

 電脳の世界を牛耳ろうとする会社組織に対抗するヒロイン、スカヨハ(スカーレットヨハンソン)であり、変わらずキュートな相貌でかっこいいが、せっかく映画なのだからビジュアルもこだわりたいし、ベージュ系のお肌のようなスーツではなく、例えばガラスコーティングなどがかかった、メタリックなシルバーパール系などのスーツが見た目キレイなのでは、と個人的に思ったりした。

原型は、日本の女優さんから顔型をとったらしいが、こうしてみると、不気味にしか見えない。(作中登場する芸者ロボ)

顔面が開くと、このようなお化けのような骨組みがあらわに。


(おまけ)
が、この芸者ロボ、原典は意外とここからヒントを得ているのかも?しれない。
映画「キューティーハニー」(2004年日本)に出てくる悪役、スカーレット・クロー。

ちゃらちゃらとした女芸者風だが・・。

形相がいきなり変わって、口から高出力ビームを発射する。


2017年3月30日木曜日

パッセンジャー

アン・ハサウェイ主演の「パッセンジャーズ」(2008年アメリカ)とは別作品で、今春公開の映画を観てきました。



 一言で言うとこれは、形を変えたユートピア物語だという感じがする。途中いろいろあったが、愛情と安らぎに満ちた??人生の物語である。
 隕石との衝突が原因らしく起こった宇宙船の重大なダメージ。おそらく宇宙船のコンピューターが自己判断で選んだ?とも思えるが、長期コールドスリープから起こされてしまった5000人いる乗客の中の技術者と、後から起こされた甲板長(マトリックスのモーフィアス役だったローレンス・フィッシュバーンが演じている)。

 話し相手が、設置型のアンドロイドのバーテンダーしかいないが、入植地にたどり着くまでの残り90年を、一人宇宙船の中で過ごさねばいけない恐怖。
 主人公がある美しい女性(ジェニファー・ローレンス)をスリープから起こしてしまい、入植地到着前に船内で一生を過ごす運命を共にさせてしまう。
 「溺れる者はわらをもつかむ。つかまないと本当に溺れ死んでしまう」というのは甲板長の言葉だった。主人公の行動に100%賛同はできないが、その言葉にとても納得がいってしまう。

 宇宙空間を余興で漂ってみるシーン、船内プールからガラス越しに宇宙空間が見れるというぜいたくさ、無重力になってプールの大量の水が巨大な水玉になっておぼれかけるシーン、見どころはいろいろある。

 爆発しそうになった宇宙船の修理は、コールドスリープから起こされた三人の、誰が欠けても成し遂げられなかった。
 何も知らずに90年後に起きた人々に、満ち足りた人生を送ったと思われる?女性の書置きが残された。

2017年3月17日金曜日

「ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち」を観てきました

特殊能力を持つ子供たち。1943年9月3日という閉鎖時間の中を永遠にループして生き続けていた。

 他作品でいうところの、ハリー・ポッターの魔法学校、X-MENのミュータント学園といったところだろうか。タイムループという守られた空間、特殊能力を持つ子供だけが入れる空間に主人公の男の子が入り、さまざまな事柄に巻き込まれていく。

 施設が爆撃される直前で時間をとめて逆回しして、また1日の始まりから時間をやり直し。だが、リセットされるのは時間だけで、記憶はどうやらそのままらしい。

 時間のループを題材にした話は他にもいろいろあると思うが、古くは子供時代に見たアニメ「うる星やつら映画版・ビューティフルドリーマー」というものを思い出す。
 そこでは学園祭前日の一日がぐるぐると繰り返されるのだが、記憶もリセットされてしまうため、誰も気づかない。だがある教員が、おかしいと気づいて発狂しそうになることが発端になっていく、というストーリー。

 そういった中、奇妙な子供たちの能力が不思議感をさらにかもしだす。悪の能力者バロン、人間に戻るために子供たちの目玉をとって食おうとする恐ろしいホローたちと戦っていくところがメインストーリーだが、建物や背景の美しさも見どころである。

 
恐怖のホロー。目玉を食われた犠牲者たちの顔がホラー感を増す。ハリポタシリーズの「ディメンター」のような不気味さ。
不思議な施設の管理人にふさわしい、ペレグリンの美しい神秘的な笑み。
埴輪様の覆面をかぶりっぱなしな二人。石化能力があるのなら、もっと前面に出して戦えばよかったのに?!