2018年12月12日水曜日

「来る」


山の方からオバケが迎えにやってくる、そういうフレーズからスタートする話である。
 妻夫木聡と黒木華演じる夫婦、二人の間に生まれた女の子。夫の順調な会社での仕事や新しいマイホーム。絵に描いたような幸せイクメンパパのブログ。だが、その裏にはとんでもない真実と、奥さんの本音も隠されていた。

 その笑顔、本物ですか?あなたの話、本当ですか?という問いかけを感じさせ、少年時代に山の中で女の子が妻夫木に放った一言、「あなたにも山から迎えが来る。理由は、嘘つきだから。」というのが何度も蘇る。
 一見幸せそうにしていても、隠しきれない心の闇をめがけて「それ」はやって来て、一度狙われるとほぼ逃げられず、惨殺死体として死を迎えてしまうようである。

 霊媒師を演じる松たか子の好演、霊媒師妹役の小松奈菜、柴田りえの自然な演技も光っていた。除霊のあと、現場にいた関係者はみな死んでしまい、また、大量の血液がマンションの窓から噴き出したが、松たか子霊媒師がどうなったかは、定かでない。


2018年11月29日木曜日

ボヘミアン・ラプソディ

 伝説のイギリスロックバンド「Queen」のリードボーカル、フレディ・マーキュリーの自伝的な映画。以前通っていたゴスペルコーラスで「Somebody to love」が課題曲となったことがあり、ご縁があったので観に行ってみた。


 今も色あせない、メガヒット曲の数々。私生活も含め、何をとっても規格外で、短い人生を駆け抜けていった彼のエピソードについて、おおまかにわかったかもしれない。
 (伝記的な映画は、他にもいろいろあるが、マーガレット・サッチャーや、ダイアナ妃などの映画もみたことがある。)

2018年11月24日土曜日

ヴェノム

宇宙寄生生物にとりつかれた主人公が、ヒーローとなる。

 マーベルコミックからまた一つ、こちらの映画が製作されたようである。ヴェノムは、スパイダーマンの宿敵という位置におかれているらしいが、今回は、ヴェノムにとりつかれた主人公が、地球を救うべく立ち上がる話。

 強大な魔物や怪物に取りつかれる話は、古くは永井豪の「デビルマン」、「寄生獣」、「強殖装甲?ガイバー」などやはりコミックから生まれてアニメや映画になったりと、有名になっている。本人が怪物に心も食われてしまったら、ただのモンスターとなるため、それと戦う人間のほうに主眼が行ってしまうが、人の心をもったまま悪と戦うヒーローとなる以上、こちらが主人公となる。
 きもカッコイイ、というのが見た目の感想だろうか。

2018年11月9日金曜日

マイケル・ムーアの「華氏119」

 こういう映画は、メジャー映画と違い、開封から日数が経つと上映時間帯が複数から一つに減ってしまうことがよくあり、生活上の都合と合いにくくなるので、早々に見に行くことにした。ゴア元副大統領の地球温暖化映画と同じく社会派映画であるが、ストーリーに浮き沈みがなく、また、字幕の理解がすべての情報源なので、集中力が結構必要となる。
 レディスデイの鑑賞で観に行ったのだが、観客席にはやや年配(60~70代?)の男性が多く、あれっ、と思った。


トランプ大統領をヒトラーになぞらえ、危険視している。ムーアさんは、トランプや政府関係者につぶされないのだろうか。と、考えてしまうのも危険思想なのだろうか?

 トランプの同胞であるらしい、ミシガン州(だったか)知事の悪事も暴いていた。水の独占、投資への資金集めのために、地域の水源を汚染し、住民たちを病気にさせ、それでも異常はない、とシラを切り続ける悪徳ぶり。これが本当だったら、この知事は、批判の矢面に立たされて地獄に落ちるべきだろう。民族浄化のキーワードも入っていて、選民思想の危険についても描かれていた。

2018年10月26日金曜日

クワイエットプレイス


 音を立てると、それを聞きつけて怪物がやってきて、人間をさらって食ってしまうという話。鑑賞前に映画評を見たところ、怪物に追われる身となってからの、奥さんの妊娠・出産・子育てはどう考えても自殺行為だとか(子供が騒ぎ泣き叫ぶため)、日常的な生活音はどうなるんだ、などの現実味のなさを否定する感想もあった。

 たしかにそうだと思いながらも、映画の背景や風景、雰囲気をある意味味わうのを楽しみに鑑賞することにした。確かに、登場人物の家族計画は無策すぎて本当に浅はかな愚か者、と思う以外にない。ただ、無限にはないアイデアの中、赤ん坊の誕生は、その中の世界をいかに味わわせ、ハラハラさせるかの小道具として、この映画の中では重要な存在にならざるを得ない。家族単位での生活を描く場合は必須道具かもしれない。

 主演のエミリー・ブラントさんは、「プラダを着た悪魔」で初めて見た。他、「スノーホワイト氷の王国」(美しい氷の王女?として出演)などに出演し、日本でも公開されている。
大手ファッション誌に勤めるOLを好演。


2018年10月21日日曜日

フラットライナーズ(2017年版)

 何の気もなしにTVを見ていたらこちらをやっていて、後半からだったが意外に面白そうだったので見てみた。
 知的能力が向上するという理由で、医学生たちが順番に作為的な仮死状態をつくり、そこからの蘇生を行っていった。初めは良かれと思ってした臨死蘇生だったが、蘇生後に恐ろしい体験をするようになる。

映画リーフレット写真のようで、恐ろしげなグラフィックだが、本編で本人たちが悪霊化するというわけではない。臨死体験の中での恐怖におびえる顔かもしれない。
ストーリー内で、ミーティングのシーンが出てくるが、そこにレディ・ガガがカメオ出演しているようである。そういう発見も映画鑑賞の楽しみである。




初版は、1990年のこちらのようである。
ジュリア・ロバーツ、ケヴィン・ベーコン、ウィリアム・ボールドウィンらの顔が並ぶ。この時は医学生を演じたと思われる、キーファー・サザーランドが真ん中の人物のようだが、2017年版のほうでは教授の役をやっているようである。



2018年9月28日金曜日

中国 さすらい農民工の物語

時々BSのドキュメンタリーを見ている。
放浪を続けながらその日暮らしをする「スーさん」という60歳くらいのおじさんの話。
 中国の都市化が進む中、周辺地の不法占拠を続ける彼は、店を構えて住むたびに役人に追い出される、という生活を続ける。

 そもそもは、共産党員だったらしい彼は、当時の一人っ子政策を違反したために失職させられ、今に至るのだということだ。が、重婚もしていたらしく、人生の重大な違反をしまくって?いたのだろうか。そして故郷の自宅に置き去りにしていった、元の奥さんと数人の娘たち。生活費の仕送りはしていなかったようである。

 
ビルが立ち並ぶ予定になり、立ち退きをさせられる。

 失職しながらも愛人を持ち、二人で放浪の旅を続けてどうにかその日の生計をたてていたが、あるとき放浪に疲れ、故郷に戻る。が、置いて行った奥さんや子供たちに無職だのごくつぶしだの言われた挙句、ケンカになり、結局出ていくことになった。
 奔放な生き方をしつつ、人間関係にも不器用なため、どうにもうまく適応ができないという難ありな人生を送るスーさんであった。今後の人生も心配が残る。

 急激な?都市化が進む中国、人民の半分は都市部にすむことになるだろうと話す人が映っていた。そうであるとして、そこからこぼれ落ちた人たちは、どうなるのかはわからない。