2020年9月14日月曜日

クロール-凶暴領域-

 


 巨大ハリケーンに襲われたフロリダ。フロリダと言えば、ワニである。フロリダワニ園のワニは、5~6m以上あるかと思われ、ちょっとした恐竜のようである。日本のワニよりもずっと巨大でデップリとしたボリュームで、まちがっても一緒に泳ぎたくない類である。

 この話では、被災したと思われる父親を捜しに娘が救出に向かう。すでにワニが出現して襲われ、倒れていた父親。やがてワニに囲まれて地下室からの脱出も難しくなり、水かさも増してプールとなってしまった。この父娘以外の登場人物はほとんどワニに食い殺されてしまうというショッキングなものだが、ワニの数がとても多く、父娘が助かったのは映画ならでは、という感じである。

 父娘が絆を確かめ合いながら死と隣り合わせに・・、この展開はかつての映画「ディープ・インパクト」を思い出させるものがあった。テレビ局女性キャスター、ジェニー・ラーナーは、地球が惑星衝突で危機に瀕した中、箱舟メンバーとして選ばれ、安全な避難を約束された身だった。が、特権を放棄し、海辺の家へ向かい、断絶していた父親に会って絆を取り戻し、抱き締め合いながら津波にのまれていくという、もの悲しい展開である。

 こちらの作品も、二次災害は必至であり、危険だからわざわざ助けに行くべきではないというのは分かりすぎているのに、娘がけんかで疎遠になっていた父親のもとへ向かい、ともに助け合いながら生死のはざまで戦っていくのであった。自殺ともいえる救出行動だったので、これを思い出したのである。

 映画内の話だが、重大な局面を迎えた時ほど、身の危険を無視してでも、自分への許し、人生的な許しを求める行動をとりたくなる、というガンコ娘?のパターンなのだろうか。

 それにしても父親は体をかみつかれ、腕を食いちぎられ、娘は足、腕をかみつかれ、水中で振り回されと、本当だったら助からない襲われ方をしているが、観客へのサービスとしてたくさん見せ場を作ってくれたのかもしれない。

 付け足し・・せっかく地下室から抜け出せたのに、家の高いところに上らず、堤防が決壊するから通り向かいのボートに乗ろうと提案した父親。 うようよ泳ぐワニを振り払い(現実だったら無理)、乗船に成功した。そして決壊の大水が来れば転覆・大破の危険があるから舟は本当にやめた方がいいと思うが、家の中に押し流されて逆戻りし、船もひっくり返ってしまう。「ボートに乗ろう」と言っていたあたりから、エッ、と思ったが、完全に判断ミス。が、そのあとの展開でワニ恐怖シーンがさらに展開するので、これがなくてはいけなかったのだろう。