主人公の杏奈は、心を閉ざし、喘息にも悩まされ、ある日療養のために親戚の家に少しの間滞在することになったが、そこでのひと夏の物語。
人とうまく関われず、ひねくれてしまったり、冷たい態度をとってしまったりと非常に問題を抱えていたが、離れ別荘に住む謎の少女との出会いを通じて気持ちが変わっていく。
映像的にきれいなのは、山々や緑の多い景色の中、遠くまで続く浅瀬の水と、その先にたたずむ洋館。
そんな幻想的な景色の中、空き家だと言われているはずの家に、幻のような存在の少女がいる不思議。
それは実の祖母であり、杏奈の魂を救う重要な存在であったが、母娘の関係のつまづきを、ここで孫をとおして修復していくことで、昇華していったのではないかと思われる。
原作は1967年に描かれた児童文学のようである。