ゾンビは登場するが、ホラーというよりはヒューマンドラマ的な話である。
竹内涼真と中条あやみというと、コミックシーモアのTVコマーシャルのイメージが強いが、ここでは恋人を経て夫婦となり、あやみ演じる来美がゴーレム(ゾンビ)菌に感染して生涯を閉じた先からのストーリーであった。
ゾンビがはびこる世の中、ツインタワーというところに大勢が身を寄せ合って暮らしていたが、片方はゾンビワクチンを研究培養している研究棟となっていて、となりの平民棟の人々は全く閉め出されていた。そこにたどり着いた主人公たちが、娘が研究材料にされているのを救うべく、研究棟に乗り込んでいく。
ゾンビワクチン、というといやなイメージしかないのだが、以前見た映画で(「デッドライジング」?)、ゾンブレックスというワクチンが登場したものの、実は却ってこちらを接種したせいでゾンビが蔓延してしまったという不気味な流れのストーリーがあった。ゾンビが蔓延したためにそこを空爆しようという、無実の人をさらに葬り去ろうという、あんまりな仕打ちがとてもアメリカ的だと思った映画があった。
結局ゾンビワクチンの治験を受けた人たちは時間をかけながら徐々にゾンビ化していくというオチだったようで、救いはどこにもなかった。研究材料の娘も、抗体がなかったことがわかってしまったため、研究チーフは吉田鋼太郎演じるボスに射殺された。吉田鋼太郎は、やはり、狡猾でずるがしこい、煮ても食えないふてぶてしい役があっている。脱出ヘリが爆破されたときに死んだかと思いきや、やけどを負いながらも生き残っていた。
そして、研究材料にされていた主人公の娘、幼かったときの寺田心くん系な顔立ちの、黒目がちのとてもかわいらしい少女であったが、20年後の成長後の描写で、違う俳優が務めていたが、幼少時の顔と似ても似つかず、少女がかわいらしかっただけに面影を追いかけてしまい、却ってがっかりした部分もあった。
戦うためにあえてゾンビ菌に感染して戦ったが、後でゾンビに変身してしまった主人公と、娘や関係者の悲哀も描かれていた。