2022年9月28日水曜日

ノープ(NOPE)

 


いわゆる恐怖系UFO映画である。

動くと見つかり、吸い込まれて、喰われてしまう。

観覧から時間がたっての書き込みなので、記憶的に少し薄くなっているが、書いておく。


UFOの描写が、布の幕を張り合わせたようなデザインで、真ん中に入口か、口のようなものがある。

いつだっただろうか、ビートたけしが、火星には人を食う化け物がいて、クラゲか何かのようなカサがついていて、空を飛んでいると番組で言っていたようだったが(その根拠はいまいちわからない)、まさにそのような姿を思わせるヒラヒラ感があった。

そこはおいておいて、宇宙人やUFOがもし外部からやってきたとして、好意や思いやりに満ちた存在だという保証はひとつもないから、宇宙からの来訪者がいたとしたら、脅威だと感じられる。

サンゲリア(1979年伊・米)

 

ルチオ・フルチ監督作品で、日本公開は1980年だったらしい。腐りきったゾンビの頭部がおどろおどろしい。

「サンゲリア・ゾンゲリア」というセットのような感じで、日本では昔、はやったような気がする。以前他のブログでも感想は書いていたが、改めて書いておく。

音楽も非常に印象的な名曲「サンゲリアのテーマ」は、時代が移り変わっても色あせない名曲だと感じられる。墓からどんどん死体が起き上がり、ぞくぞくと集まってこちらに迫ってくる感じが、自然にイメージで沸き起こってくる。

また、島の中を流れるドラムの音が、島という異世界を感じさせ、ブードゥーの世界もあるのだろうか、という雰囲気にさせてくる。

途中出てくる、サメ対ゾンビの対決シーンも意外に面白く、結末まではわからないが、あれからサメのほうはどうなったのだろうか。ゾンビ化するとしたら、海の中も大変なことになってしまう、という想像の余韻も残している。

それにしても、博士の家はさすが白人の知識人の家らしく、豪華できれいだったが、ゾンビ対応にはなっていなかったようで、侵入されて、奥さんが犠牲となった。

また、ラストのほうで、皆が立てこもった教会(博士が主治医を務める野戦病院)、木の板を組み立てた大きな「掘立小屋」という感じがあって、大勢のゾンビによってあっという間に入り口を崩され、侵入されてしまう。作った火炎びんで応戦するものの、病院はどんどん崩れ落ちていき、不気味なゾンビがあとからあとから押し迫ってくるところに、終末感があふれていて、これぞゾンビ映画だなあという感じがする。

教会を捨てて船で脱出する男女たちは、帰途の途中でラジオを受信するも、本土もゾンビがあふれかえって、打つ手なしという状況だということを知る。そして、船内の個室からも、傷を受けて死んだ男の生き返った物音が聞こえてきた、というバッドエンドを迎える。

数百年もたったはずの、腐りきったゾンビの首を落としたところ、大量の血が流れ落ちたり、ゾンビを見た女性たちが、目を見開いてぶるぶるとふるえたまま何十秒も立ちすくみ、どうして逃げないのか非常に違和感を感じさせたり、目を閉じたゾンビの目がどうして見えるのかなど、いろいろ演出的にヘンな部分もあるが、音楽も良く、雰囲気があって良い映画だと思える。


グッドナイト・マミー(2014)

 


包帯を巻いて、様子がいつもと違う母親をみて、少年は恐怖を抱き・・。

という内容なのだが、母親が別人のように変わり、冷酷になって恐ろしくなったために殺されないように双子の兄弟と力を合わせて戦う映画なのかと思いきや、そうではなく、死んだ兄弟の魂に操られて母親を惨殺してしまう、という恐るべき内容であった。

母親の様子が違うというのは子供にとって大きなトラウマだと思われるが、母親を縛り付けた挙句リンチし、最期には焼き殺してしまうという残虐さのある展開だった。が、母親が妖怪化してしまったほうが、ストーリー的にはホラー要素があって面白かったのに、と残念に思った。

母親は、父親と別れていてシングルマザー。少年のほうも学校に通わず、どちらもなんとなく孤立感を感じさせている。郊外の、周りに家のない静かな戸建に住む、という幻想的な環境の中、物語がすすんでいく。

母親のアルバムに、母と同じような背格好のそっくりな女性が、母と二人で仲良く、同じ服装とヘアメイクでツーショット写真をとっているのが映っていた。とても奇妙な写真で、その女性が、仲の良い友達なのか、双子の姉妹なのかは少し謎であった。だがそれは遺伝子として、少年が双子の兄弟の幻影からずっと離れられずににとらわれ続ける、という形で受け継がせたのだろうか。

2022年8月22日月曜日

「第一回日本ホラー映画大賞受賞作品 特別上映会」 に行ってきました

 先日のアジアンホラーを見に、ヒューマントラストシネマ渋谷、という映画館を利用した際に、チラシをもらってきたが、その中から気になるものを鑑賞しに出掛けた(EJアニメシアター新宿)。通好みな映画館では、そういった感じのチラシが入手できるようであった。


大賞に応募された作品は、百数十点、といった多数の応募があった、と鑑賞後のトークショーで話していたようだったが、そのなかでいくつかある賞を受賞した作品を上映会として発表したようであった。

2時間の中で短編集を上映していくのであるが、それぞれ味があって、一緒に鑑賞に出かけた娘と、どの点がどうだったとか、印象に残ったか、自分が監督だったらもっとこうした、などの品評をした。

私的には、ホラーといってもそこばかりに焦点をしぼるのではなく、映像的な美しさ、背景の風景や味わいの楽しみを取り入れたものがいい、と思った。例えばダリオ・アルジェントのサスペリア系にしても、建物や風景など、映像が素晴らしく、独特の世界があるのでとても深みがあってよいと思うからである。

2022年8月18日木曜日

「女神の継承」を観てきました

 

その家系では代々、娘が年頃になるとバヤン神が降りてきて取りつき、巫女となる運命なのだという。が、ミンに取りついたものは、女神ではなかったようだった。

副題としては、「伯父の奥さん、すべてをぶち壊し」といったところだろうか。監禁して儀式をすすめねばならなかったところを、悪霊に騙されて赤ちゃんを救い出そうとミンを開放してしまい、儀式を大失敗させた結果、全員死んだり悪霊にとりつかれてゾンビのようになってしまう、というバッドエンドを迎えてしまったためであった。

 ミンを演じた女優さんの鬼気迫る演技も良かったが、アジアンテイスト、タイの風情をたくさん楽しめる感じの映画であった。

2022年8月15日月曜日

午後のロードショー 「アイスクエイク」

 

午後ロー名物、B級ディザスター系ムービー。地下からわいた液体メタンが、洞窟を通じて噴出口まで向かっており、そこまで行くと、地球上の全生物の死滅につながるという。

とってつけたような、団結志向の強いファミリー。やたらとクリスマスにこだわり、仕事に出向こうとする夫を家に縛り付けようとして??逆パワハラのような感じの妻。とってつけたようなやりとりの姉と弟。家でのクリスマスはツリーがないから嫌だ、などと愚痴をこぼしたりしているが、お父さんがツリーを取ってくるよ、という約束をして、家族全員がやっと納得して丸くおさまる。自己主張のやたら強い家族たちの要望に、やたらと尽くす夫であった。

ちょっとそんな演出に嫌気がさしつつも、のどかな田舎町の、クリスマス用品を売るおもちゃ屋さんなどの風景が出てくる。

あちこちの噴出によって犠牲者が出る中、その正体を突き止めていく中、ようやくそれがとても危険なものだというのがわかり、爆破作戦に移行する。なんだか途中から倍速にして見るのでちょうどよかった。爆破作戦成功。夫も無事に任務完了し、無事に家族のもとに帰っていくのだった・・。成り行きや設定に、とってつけた感が強い作品だったが、午後ロー名物としてコマーシャルを飛ばしながら倍速で見るにはアリな感じ。(二度見るのはちょっときつい)

2022年8月11日木曜日

エルヴィス を観てきました

 

クイーンやエルトンジョンの自伝映画より、こじんまりとした上映だったのだろうか。二子玉川の映画館では上映最終日も近く、一日に一度だけの上映となっていた。スケジュール都合のためにTOHOシネマズ六本木ヒルズで鑑賞した。

エルヴィスプレスリーの音楽は、黒人音楽が原点であり、そのファッションや身のこなしもそこから大きな影響を受けていたということがわかった。(父親が服役し、家族は黒人居住地の白人用住居に住んでいたらしい)因果な感じもするが、それがエルヴィス誕生のきっかけであり、彼の音楽があったからこそ、カントリーミュージックが主流だったアメリカの音楽が新しく変わっていったのだという。

そういった中、黒人人種差別、隔離政策によって、エルヴィスの音楽スタイルは非難の的となるが、服役して活動スタイルを俳優業に転向させて禊を払った感じとなる。が、この服役のために母親が酒浸りとなった挙句に命を落としてしまい、家族の悲劇が起こってしまう。この人はやはり、後半の人生も含め、家族運が壊れているのだと思う。

そして彼を射止めてマネージャーとしてパートナーとなった「パーカー大佐」、これが大変な曲者であった。

 エルヴィス本人の浪費に加え、お金にルーズで資金管理がザル状態な父親、そんな父親に会社管理を任せた結果、巨額の返済不可能な額の借金を水面下で背負い、パーカーの言うままに芸能活動を続けるしかなくなった。海外ツアーも水の泡となって消えた。(パーカーが不法入国者でパスポートがないため)

あんなスーパースターが借金まみれで働かざるを得ず、ステージと宿泊部屋とドラッグの中でしか生きられないまま健康を害していき、家族とも過ごせずに42歳の若さで亡くなってしまったとは、想像もつかなかったし、かなり悲劇的な内容だった。

後でパーカーとエルヴィス関係者とのお金の問題は裁判になったらしいが示談となり、パーカーは手に入れた金でカジノの中で余生を過ごしたそうである。

パーカーは自分のために何人もの人を不幸に陥れた、本当に業の深い、罪深い人物である。映画の中盤、クビにした彼に最後の挨拶をしてくる、といったエルヴィス、それを「パーカーは言葉巧みだから、あなたは言いくるめられて、翼がもぎとられてしまうかもしれない」と言って止めた奥さん。(こちらも真実のやりとりであったなら)見事に心配通りとなり、あの時彼女の言葉を重くうけとめてやめていたらと、非常に悔やまれる。

(年を取って太った感じだったので、鑑賞中に疑問ではあったが、あとで調べたところ、やはりこれを演じたのはトム・ハンクスであった。エルヴィス役のオースティンバトラーは、少し、若いときのブラッドピット的な、目元のキュートさ?を感じさせた。)