2022年8月11日木曜日

エルヴィス を観てきました

 

クイーンやエルトンジョンの自伝映画より、こじんまりとした上映だったのだろうか。二子玉川の映画館では上映最終日も近く、一日に一度だけの上映となっていた。スケジュール都合のためにTOHOシネマズ六本木ヒルズで鑑賞した。

エルヴィスプレスリーの音楽は、黒人音楽が原点であり、そのファッションや身のこなしもそこから大きな影響を受けていたということがわかった。(父親が服役し、家族は黒人居住地の白人用住居に住んでいたらしい)因果な感じもするが、それがエルヴィス誕生のきっかけであり、彼の音楽があったからこそ、カントリーミュージックが主流だったアメリカの音楽が新しく変わっていったのだという。

そういった中、黒人人種差別、隔離政策によって、エルヴィスの音楽スタイルは非難の的となるが、服役して活動スタイルを俳優業に転向させて禊を払った感じとなる。が、この服役のために母親が酒浸りとなった挙句に命を落としてしまい、家族の悲劇が起こってしまう。この人はやはり、後半の人生も含め、家族運が壊れているのだと思う。

そして彼を射止めてマネージャーとしてパートナーとなった「パーカー大佐」、これが大変な曲者であった。

 エルヴィス本人の浪費に加え、お金にルーズで資金管理がザル状態な父親、そんな父親に会社管理を任せた結果、巨額の返済不可能な額の借金を水面下で背負い、パーカーの言うままに芸能活動を続けるしかなくなった。海外ツアーも水の泡となって消えた。(パーカーが不法入国者でパスポートがないため)

あんなスーパースターが借金まみれで働かざるを得ず、ステージと宿泊部屋とドラッグの中でしか生きられないまま健康を害していき、家族とも過ごせずに42歳の若さで亡くなってしまったとは、想像もつかなかったし、かなり悲劇的な内容だった。

後でパーカーとエルヴィス関係者とのお金の問題は裁判になったらしいが示談となり、パーカーは手に入れた金でカジノの中で余生を過ごしたそうである。

パーカーは自分のために何人もの人を不幸に陥れた、本当に業の深い、罪深い人物である。映画の中盤、クビにした彼に最後の挨拶をしてくる、といったエルヴィス、それを「パーカーは言葉巧みだから、あなたは言いくるめられて、翼がもぎとられてしまうかもしれない」と言って止めた奥さん。(こちらも真実のやりとりであったなら)見事に心配通りとなり、あの時彼女の言葉を重くうけとめてやめていたらと、非常に悔やまれる。

(年を取って太った感じだったので、鑑賞中に疑問ではあったが、あとで調べたところ、やはりこれを演じたのはトム・ハンクスであった。エルヴィス役のオースティンバトラーは、少し、若いときのブラッドピット的な、目元のキュートさ?を感じさせた。)