2016年8月28日日曜日

「ゾンビ・ナイト」

 どうしてゾンビが、ホラーでの人気ジャンルになるのかを考えてみた。ゾンビは醜悪であり、おそろしい。
 しかしそれ以前に、生きていても死んでいても、人体の一部もしくは全部が、大きく損壊したり、腐敗して変色・変質したりするのを見るのは、やはりおそろしい。恐怖は、そこからもきているのではないだろうか。
 変質してしまった「人間だった」ものが、どす黒くなって、うめき声をあげながら襲い掛かってきたら、やっぱり怖いと思う。

 ゾンビものはたくさん見ているので見飽きてはいるのだが、たまに見ると、「逃げて、逃げてー」とか「ばか!そっちじゃない!」「何やってるんだ・・」「そうだ、それだ!」と、ハラハラしたりほっとしたりするところが、一種のストレス解消剤となっているのかなと思う。
 

 夜、墓地の土中から、次々に起き上がって徘徊を始めるゾンビたち。通行中の数人連れの中の女性、両足のもげた不審者にからまれ、ギャーと叫んでそれを振り切った後、逃げるのはいいのだが、仲間の呼びかけにも応じず、墓地の奥まで走る走る・・。いったいどこまで行ってしまうのだろう。①

 危ないから家の外に出るな!という家の主人の言葉に反発し、出ていくと言って聞かない女性。部屋に監禁されて、悪あがきして窓をあけ、外に出ようとしたら、案の定、ゾンビに侵入されて襲われた。②

 セーフルーム(アメリカの裕福な家庭にある?)で待っていろと言われたにかかわらず、男の子はじっとしておられずに階段を下り、②の女の人を出してあげようと、家族たちが言い合いしているスキに監禁部屋のカギを開け、ドアまでご丁寧にあけてしまう・・。③

 そしてゾンビたちに襲われ、助けに入った家族も襲われる。それでもなんとか倒し、重傷を負うはめになった男性1名をかばいながら全員でセーフルームへ。
 重傷の男性が死亡し、ゾンビ化する前に頭を打ちぬいておこうという父親を、泣いてとめる母親。死亡後、早く処理すればいいのに、なぜか自身も泣き崩れ、彼を銃で撃たない父親。そうこうするうちに男性が起き上がり、父親を襲撃・・。④

 ゾンビの大群相手に、一人で板のバリケードを押さえていたお父さん。これはまず、助からないと思われたのに、あとから、家族の元に無事にやってきた。これもちょっとありえない。⑤

 ゾンビ映画の歴史はすでに数十年たち、作品数も数しれない。そうした中で、銃でゾンビを倒す方法、それは「頭を撃ち抜く」通説である。
 しかし、最近?出たらしいこの映画でも、どうせあとから「頭を狙え」となるくせに、途中までずっとゾンビの体しか撃たずに襲われ続け、ドタバタ状態を繰り返す。⑥
 
 上記①~⑥でよくわかる、登場人物たちの愚鈍さと、ありえないシチュエーションが目に余った。まあ、墓場の背景感、街の雰囲気や住宅街の雰囲気、ガラス張りの温室のシーン、きれいにいい感じに描かれているのと、ゾンビのメイクの質は良いと思うので、いい部分もなきにしもあらずだった。