2018年4月14日土曜日

スペースゾンビ(原題・Ozone: Attack Of The Redneck Mutants 1988年)

スペースゾンビ、というのでスペースバンパイアみたいなものかと思ってレンタルしたら、何やらイメージとはずいぶん違っていた。
1985年の映画。宇宙から飛来したバンパイアは、人間の精、魂を吸い取る。

 何がスペースなのかと思いきや、オゾン層の破壊による宇宙放射能の影響で、人々が変異してしまう、ということらしい。が、舞台となるのは、ひたすらカントリー調な、アメリカの田舎風景。
 
ゾンビはみんなどろどろ黒焦げのようになって、気持ちの悪い液体を吐きまくり、スプラッターな殺戮を続ける。そこに関しては、ひどい感じ、としか言えない。

人々の素朴な暮らしと陽気な感じが笑いを誘い、安っぽいゾンビ映画をなんとか見続けさせてくれたような気がする。
 とある中年夫婦の家では、奥さんは、ホットカーラーを頭にまいたままの、非常に残念ないでたちだが、だんなに気遣いしながらせっせと家事をしていた。
 とある熟年主婦の台所には、天井からつるした玉ねぎやらの野菜類、家の中に食用の鶏もいて、せっせせっせと野菜を切ったりなべに火をかけたりしている。
 すでに30年前の映画のようだが、とにかく田舎の熟年主婦は、きっちりと家事にいそしむ、昔の昭和のお母さんのような雰囲気にあふれていた。娯楽が少ないため、料理が日常のルーティンワークで重要な比重をおいているのは、日本の田舎とあまり変わりがないようである。

 自分はそんな主婦像には、みじんもあこがれをいだかないので申し訳ないが、映画での農村の情緒は十分楽しめる。お姉ちゃんたちといいかげんな軽い男たちのアホなやりとり、お姉ちゃんが午後のデートの支度で、滑稽な調子でルンルンしながら支度する風景を見ていると、登場人物がみんなアホ、という感じはするが、演出上のしらけ感はなく、おおむね面白おかしく鑑賞できた。

 ゾンビのグロさ、汚ならしさ、スプラッターな殺戮シーンは、ひどい感じがするので、品がないB級ホラーという印象ではあるが、グアー、グアー、と言いながら追いかけてくるその声もどこか間抜け感を感じさせ、笑いを誘った。