2019年9月1日日曜日

横溝正史の映画たち

八つ墓村(1977年)渥美清(金田一役)・萩原健一(寺田辰弥)
犬神家の一族と同様、横溝映画で好きな作品である。
落ち武者をかくまうも、結局は裏切って惨殺した村落の住民たちに、たたりがおきる。
発狂した多治見要蔵を演じる山崎努。この役を演じる最高の役者は、彼をおいてほかにないのでは?と思うくらい素晴らしいと感じてしまう。ただただ冷酷無比な感じと、躍動感あふれる力強い走りが良いし、BGMも最高に合っている。


犬神家の一族(1976年)石坂浩二
犬神佐兵衛が死してなお、長女である松子を支配するかのような幻影として現れる演出が良い。遺産相続をめぐる争いから、殺人事件が引き起こされていく。映画全体的におどろおどろしいが、特に、菊人形の体にすげられた生首のシーンが恐ろしい。


悪魔の手毬唄(1977年)石坂浩二

童謡の歌詞になぞらえた手順で殺人がおこなわれていく様子が不気味であった。戦時中、ある農村に現れた詐欺師は、宿の女将の夫と実は同一人物であった、というからくり。また、ひょっこり村に戻ってきた、という「おはん」が、金田一の横を通り過ぎるときに声をかけるその声がとても不気味であった。


悪霊島(1981年)鹿賀丈史・主演
当時のロードショーのCMに、ビートルズの「レットイットビー」が流れ、そこが斬新な感じで、キャッチコピーは「鵺(ぬえ)の鳴く夜は恐ろしい…」であった。孤島における閉鎖的な村、結婚を反対された女性が精神に異常をきたし、二重人格となって実の娘を殺す。


悪魔が来りて笛を吹く
当時の広告写真、「笛を吹く悪魔」の人形の写真が本物のように見え、大変不気味に感じたものだった。旧華族の屋敷を舞台としたストーリー。主人が笛の楽曲を残して自殺したが、その屋敷内での人間関係の謎を解くと・・。いわゆる、「近親相姦」家系であるということが明らかに。

 公開当初は年齢が低く、ほとんどロードショー観覧はしていない。冒頭二作品はすでに見ていたが、他のものについては昔、CMを見たり、TVロードショーをかじって観た気分になっていたことが多かったので、改めてきちんと見てみた。

 好みでいうと、やはり、市川崑・監督の作品が個人的に好きかもしれない。(邦画は見ないほうだが、金田一シリーズでの比較だけするとそう思う)

 横溝作品は、やはり、集落や、家族、という濃い間柄の集団内における、病的な心理を描き出す傾向が強く、そこから不気味な味付けをして、味わいのある作品となっている。