2025年6月8日日曜日

サブスタンス を観てきました

 

自身の問題に悩み、クローン技術に手をだしたところ、とんでもないことが起きた。

https://www.google.com/search?q=%E3%82%B5%E3%83%96%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%B9&rlz=1C1FHFK_enJP1154JP1154&sourceid=chrome&ie=UTF-8

ショービジネス界に身を置く立場からすると、老いとはなおのこと、避けられない永遠のテーマだというのは感じる。

デミー・ムーアは1990年の「ゴースト」や、チャーリーズエンジェル・フルスロットルへの出演で存在感を大きく感じる女優であるが、チャーリーズ・・の時にすでに、数千万円の費用をかけて全身整形を行ったということが何かの記事に乗っていたのを読み、うわあ、すごいこの人・・。と、自身の美を磨くことへの執着的な本気度を感じたものだった。

その執着心の強さが役柄にも出ているというのか、したたかで何か毒を含んだ感じのキャラクターに変身したかのようなイメージである。

そんな彼女にぴったり?な役どころが今回のものだった。老いを理由にテレビ番組をクビになり、失意にくれる日々。人生を変えるためにある薬を使い始めるのだが、おそろしい結末が待っていたのであった。

交通事故で搬送された病院で、異様にきれいな顔をした看護師の男性が、意味深な言葉と手紙を残した。その看護師男性もじつは、ある老人のクローンだったのだ。

自分が変われて幸福な人生を歩めるのではない、というのは最初からわかっていなかったのだろうか。クローンが勝手に体から分離して別人として好き勝手にふるまい始める。活動を1週間交代しないといけなくて、活動している方が、ぐったりと寝ているペアの体に栄養を与えたりして次の一週間に備えるのである。整形手術や特殊薬物の接種後に、ダウンタイムをとるという芸能界のパロディ的なものも入っているのだろうか。

デミームーアは年齢からすると十分きれいで若いし、ストーリーの中で同級生の男性に飲みに誘われた時、赤いショートドレスなどに身をつつまなくても、地味な格好でも全然素敵であった。気後れしないで出かければよかったのにと思いながら見ていた。ショービジネス界の基準だと若いことも必要になるが、普通の世界はそうでもない。気持ちの持ちようで、自分を正当評価できないのもつらい。

サスペンス系かと思っていたら、どんどん残酷なことになっていった。分身スーの行いがとにかくひどく、活動時間を延長するためにルール違反を続け、規定日数を超えても本体から活性化エキス(骨髄液?)を毎日しぼりとり、そのことによって、本体がみにくく老いさらばえてしまった描写。リアルで美と若さへの執着があるデミームーアにとって、反対イメージの象徴のようなストーリーである。

スーはシステムの停止を図った本体を本気でメッタ殺しにし(本体が死ぬと自分も同じ目にあうのは知らなかったのだろうか)、自身の体が徐々に崩壊してきたのであわてて自分の分身を作ったところ(正当使用方法ではなく)、モンスターが生まれて撮影会場で大暴れしまくり、会場を血まみれにするという、スプラッターな展開となって驚いた。とにかく、スーが愚かすぎて取り扱い説明を全無視するという暴挙に出て、すべてメチャクチャにしてしまったという話。

不気味で微妙な均衡と緊張の中で、どうにか保てていたものがやがて崩壊する、というのが見たいという欲求には、十分応えてくれすぎる作品であった。