2016年10月9日日曜日

エボリューション(2001年アメリカ)

 Xファイルのモルダー捜査官を演じていたデビット・ドゥカブニー主演の映画で、ジュリアン・ムーアという大物女優もヒロイン的な役で登場しているが、どう見てもこれまたB級映画であった。

 ヒロインのほかに、頭の弱そうな消防士志望の青年や、デビッド演じる大学教授仲間である「面白黒人」的な同僚、太っているという以外になんの特徴もわからない二人組の青年らが、落ちた隕石をめぐってドタバタを演じながら、未知の宇宙生物と戦っていく話。



この映画の監督は、権力を持った老人に対して反感を抱いているのだろうか。
 えらそうにいばりちらされたため、消防士志望の青年がムカついていたオジサンが、池から這い出た宇宙生物に食べられてしまったり、軍の将軍がヒロインと対立して彼女の話を聴き入れず、怪物たちの進化を早めてしまうようなことを行ってしまったりする。(ナパーム弾の投入)

 アメリカ映画のコンセプトは、「とてつもない」「途方もない」という感じが時折見て取れるが、この映画もそういった半端のないところがあった。
たったの数日間で、数億年分の進化をとげてしまった、つまり、アメーバ様の生物だったものが、数日間で、ショッピングモールの中を飛来してお客さんをわしづかみにして飛び回る「飛竜」に進化してしまったなど。

 火による爆発的な増殖・進化を描いた部分もこの映画のハイライトである。
 
小物モンスターなどに関しては、やはり低予算だったのか、たまにCG・特撮が、チャチに見えるところもあった。
 なんにしろ、半分ギャグが混じった映画で、元・モルダー捜査官がなんと、ジープの助手席で文字通り「ケツをまくって」相手をののしるシーンがあった。モルダーさんが、将軍に向かって生尻を見せる・・・。ちょっと衝撃的だった。

2016年10月4日火曜日

午後ロードショー「ディノシャーク」

 夏に見ていたのだけれども、やはりレビューを書くことに。
サメというか恐竜というのか、顔は恐竜そのままで、体はワニのようなウロコに覆われた、サメ形の体。この幼生が、氷山の崩壊によって海に放流され、やがて化け物に成長して暴れる話。

 サメのB級映画で、特撮を使いながらの食いまくり暴れまくりシーンが満載だったが、一つ大変トラウマになるところがあった。

 スティーブ(男)とルイス(女)の二人のシーン。プライベートプール付き・クルーザー付きのリッチなデート?と思いきや、スティーブがルイスを抱きかかえ、嫌がる彼女を笑いながら湖中に放り投げる。なんという仕打ち、女性に対してあまりに乱暴すぎる・・と思ったが、これが彼らの命が最後となるアホ行為であった。怪物が、そこにいたのである。

 「何かが水の中にいる!」必死に訴えるルイスを、鼻先で笑ってとり合わないクズのスティーブ。ギャーと叫んで水中でもがくルイスが、変わり果てた姿に。なんと、完全に下半身が食いちぎられて大量の血液が。。そして、そのまま水をかいて水面に上昇するという一瞬の映像が恐ろしい。

お姉さん・・、下半身が、ないよ・・。というかもう、この姿だけでも幽霊そのものだった・・。

 もちろん、CGだので演出しているのだが、画像として恐ろしかった。下半身がなくなって大量出血の状態で、あのように腕の力だけで水上に泳いでいけるのだろうか考えてみた。わからない。

 しかし、水面に手を出し、スティーブの手を断末魔の手でガッ!とつかむと、スティーブもろとも水面の下に引きずりこまれていったのは、彼女なりのスティーブへの復讐だった、とも言えるのだろうか。

自分の特に印象に残ったところは、そんなところである。



2016年10月1日土曜日

「君の名は」、見てきました。

 アニメ好きではないので、自分だけだと見に行く気にはならなかったが、今回も都民の日、かつ映画デー、ということで子供のお供をした。

 観客層はやはり若者が多く、小中学生の子供から~大人まで見に来ているようだった。
話は、パラレルワールドの話なのだろうか、タイムスリップした魂が男女の高校生の間を取替えっこのように行き来し、隕石の墜落で女の子のほうが命を落とすということに気づくのだが。

 結果としては、三年前の大事故前の時空に戻った時点で、村民を説得することでうまく避難ができ、本来は数百名の死者をだしていたはずだったのが、誰も死なずに済んだということ。

 心が入れ替わり、置手紙のように本人のスマホに記録されていく互いの行動だが、一度も会うことなくすれ違い続けるというのが、切なくもどかしいというところだろう。



2016年9月23日金曜日

私は幽霊(I am a ghost)




 「私は幽霊」、ドラマの題名によく使われがちな、暗に自分の存在が空気だとか、心が幽霊のようにもぬけの殻だ、という比ゆ的な使い方ではなく、名実ともに本当に死後、幽霊となった主人公の日常~除霊までが描かれている。

 ベッドで伸びをして、朝が始まる。「ファ~ア。」フライパンで朝ごはんの目玉焼きを焼く。食卓で食事をするが、なぜか彼女は途中でナイフを高く振り上げる。画面暗転。洗面所で血のにじんだ包帯を手にまいて、水を流している。暗転。「エミリー?」声をかけられてモップを取り落とす。暗転。家族の写真をいとおしそうに眺めたり、本を読んだり。暗転。食材の買出しに出かけるため、コートを羽織り、外に出る。暗転。そしてまた朝。(順番不同、抜け有りかも)以下、同。

 洗面所での場面以外は、微笑ましい日常である。が、同じことを繰り返しリピート。さすがにこれは・・、と見ていておかしいと思うと同時に、主人公は幽霊らしいので、ぐるぐると同じことを繰り返すのだろうと思った。はたから見ていると気持ちが悪いが、本人はまったく気づいていないし、楽しそうな様子なので、放置していても良いのではと思ったのだが・・。

 この映画の中では(事実はどうなのか不明)、幽霊は、生前の記憶をもとに、成仏できない間はひたすら追体験を繰り返すのだといわれている。
 他の映画やマンガ、書物では、自殺をした人の霊はもちろん成仏できず、自殺の場面を、ひたすら繰り返し追体験しつづける無限地獄に陥るのだという説もあり、だとするととてもおそろしい。

 なぜ除霊されることになったかというと、同じ家に住んでいる人が、音がしたりナイフがとんだり、幽霊の姿は見えなくても心霊現象に悩まされていたため、霊能者がやとわれたのである。

 反対に、エミリーのほうからも、生きている人(というか自分以外)の姿は全く見えない。家の住人からは、エミリーの追体験によってフライパンが動いたり、ということだけが目に見えている。

 自分が死んでいる、というのがわかった時点で大体が成仏するらしいのだが、多重人格だったため、他人格の殺人鬼の男が隠れていて、除霊は難航する。

 因果を理解しだすと、自分の追体験を客観的に見られるようになるんだとかで、同じ動作をぐるぐると繰り返す自分を、その横で、ハア・・、とあきれて見つめるエミリー。殺人鬼男も結果として同じ状態となったため、二つの魂はなんとか、成仏したようだった。

2016年9月22日木曜日

レッドタートル ある島の物語 (The Red Turtle)

 ここ一番の話題作で、ぜひともおすすめの一品である、とか、そういった気負った感じはない。
ただ単に、「映画を見に行きたい」という理由で、レディースデーで見るのに都合のいい時間帯に席があいていたので、見に行った。

 映画「パーフェクトストーム」のような恐ろしい嵐の海の中で一人きりもみして(普通はここで死亡)、なんとか無人島に流れ着いた主人公。彼の脱出するためのいかだを何度も海中から破壊し、阻止を図る赤海ガメ。やがて、そのカメの腹からなんと、女の人が出てきて、主人公と恋して子供も作り、家庭を築く。

 その後、子供が成長し、三匹のカメをお供に島を出て行ってしまい、夫婦は残されたが、やがて夫が老衰死し、妻はまたもとの海ガメになって、海へと帰っていく。セリフもなく、登場人物についての説明もない。

 目の前で起こることだけが、観客が得られる情報の全てであり、ストーリーというほどのものがない。映画の中、澄んだ海、ひたすら広がる砂浜、襲い来る大津波、助け合う家族、などの情景が、しずかに流れていく。

 本でたとえると、大変、詩的な感じがする。
 登場人物はそれぞれ、喜怒哀楽はしているかもしれないが、圧倒的な情景の中で、それはあまり重要視されていない。

 きれいな海で泳ぎたいなあ、見ていると本当に海に漬かったような涼しい感じがするなという、澄んだイメージが残った。

実際の風景にアニメを重ねる手法をとったシーンもあるのかも?しれないが、リアルさ・美しさのある風景は楽しめる。

2016年9月20日火曜日

アフターデイズ・ボディ

 三日間で徐々にゾンビになっていく女性を描いた「スリーデイズ・ボディ」こちらの続編となる。
 そうとは知らず、ジャケットの写真で勘違いし、こちらが「スリーデイズ」のほうなのかと・・。第一作は見ていないので見たかったし、こちらがその作品だとばかり思って借りてしまった。
 再生途中で、あれ、なんか変、というのに気づいて、いったん止めて、エエーッ、と言おうかとも考えたのだが、まあこれはこれで一つの映画だし、見ればわかるでしょ、と思い直した。前作ともほぼ独立したストーリーなので、それで正解だった。

再生終了ストップしていたこのTV画面を見た母が、「気味の悪い絵ねえ」と。
どうしてもジャケット写真での明らかなイメージ偽装にひっかかったり、自分で間違えたり、まがい物をつかんでしまったりして本来の希望と違うものを見ることも数点あるが、それはそれで、ご縁だと思って見ることにしている。

 どうやらゾンビウイルスを撒き散らす主犯格の男がいたらしい。そいつが悪さをするのを、本作の主人公がつきとめて、最後の最後に(ゾンビとして)息の根を止める結末だった。

 ストーリーとしては比較的ありきたりな感じ?で、ウイルス感染後、肉体の変化がすすみ、網膜がにごったり皮膚が変質したり、どす黒い血を吐血したりと、その行程を見せて、ウエエ・・という気持ち悪さを感じさせるところが、一番のインパクトを与えている部分だろうか。

 欧米でありそうなカジュアルスタイルな「個人をしのぶ会」、映画内では「アリスの人生を祝う会」と言っていただろうか(アリス:前作の主人公の友人)。
 アリスの身内の家に親しい友人知人が集まり、立食風のこじんまりしたパーティ形式をとって、一人が楽器演奏をしてアリスに贈る歌を即興で歌ったりしていた。
 形式にこだわらないながらも、温もりというか、やさしさがあるというのか、これはこれでいい「しのぶ会」だなあ、とぼんやり見ていた。

 そこに主人公が激しい耳鳴りや大量の鼻血に見舞われ、鼻血がスープにポタ、ポタ、ポタ。本人があわてて退席してトイレに逃げ込んだ後、アリスのお姉さん?がこともあろうか、おいしそうにその鼻血スープを召し上がっていた。スープに血が浮いてるのに、見ていなかったのだろうか・・。(もちろんゾンビ化フラグ確定である)

 こちらも主人公のゾンビ化・射殺、と誰も幸せになれないエンディングだったが、悪の枢軸が主人公にかみ殺されて、決着がついたのだろうか?


 

2016年9月14日水曜日

ラストサマー (I Know What You Did Last Summer /1997) 午後ローより

副題をつけるなら、「カギ爪男は死なず」である。
 この映画は割りと有名で、いろいろな放送網で放映されているけれども、なんとなくチープな感じがして、きちんと視聴したことがなかったのだが、今回はまじめに見てみた。

 砂浜でたわむれる4人の男女の会話に出てくる、カギ爪男の話。「車を引っかく異様な音がする。男のほうが調べてくると言って車を降りたが、様子がおかしい。ひっかく音がポトンポトンという音に変わり、それは木にぶらさがった彼の死体からしたたる血だった。」だの、アメリカンスリラーらしいほら話であった。
 個人的にはそういう話より、車からは降りなかったが、家に帰り着くと血のついたカギ爪が車に突き刺さっていた、という最後にしていた話のほうが好きである。

 本編に戻る。これまたアメリカ映画らしい、イチャイチャダブルデート(ここもチープな演出)の帰り、浮わついた運転をして夜道で人をはねてしまった。何が何でも警察に届け出たくない。停車中を知人に見られたため、証拠隠滅のために遺体を捨てに行く。
 途中、息をふきかえしたのに隠し通すため湖?に沈めてとどめをさす、という悪質さ。どう見ても殺人なのに「いいか、事故だ。事故だったんだ。俺らは、誰も悪くない。」と言い放つ男は強引だった。
死んでるよ・・。どうしたらいいんだ。そうだ、何もなかったことにするんだ。

 車にはねられ重傷を負い、水中に沈められて、なお生きていたというありえなさ。そして死ななかったこの怪人がカギ爪男となってみんなを襲い、殺していく。

恐怖のカギ爪男。このいでたちもチープである。
ちょっとがっかりだったのが、カギ爪男が後半、マスクをとった普通の私服姿で登場し、ただの「気違いオヤジ」の外見になってしまったことである。死なないで神出鬼没なのだったら、モンスターなのだから、顔は割れないほうがいいと思うのだが・・。

 カギ爪男が手首を切断して海に転落したので、死亡が期待されたのだが、最後は襲撃必至の?シャワーシーンになった。生き残った女の子が一人、シャワールームに。「去年の夏のことを知っているぞ」という落書きを見たあと、まもなくそのガラスがバーンと割れて、何かが襲ってきた。

 これもなかなかチープな感じのエンディングとしてまとまっている。