2023年8月15日火曜日

OLD(2021年 アメリカ)

 


豪華なリゾートホテルでくつろぐ家族。夫婦の間の不協和音が気になったが、ホテルで知り合ったアジア系の男の子と友達になる子供たちは、暗号で手紙を書くやりとりを楽しむ。滞在中にホテルスタッフから彼らだけに、と隠れた観光ポイントを勧められるが、バスに乗ってきたのは複数家族たちだった。バスから降りるときに、一日観光にもかかわらず、子供たちは食欲旺盛だからと言われて大量の食糧の入ったバスケットをそれぞれ手渡され、バスは去っていったが、その時点で、何か怪しさがプンプン漂い始めた。

そこでは不思議な自然環境によって、ものすごい速さで生き物が成長・老化を促進させられ、一日が50年もの速さで過ぎていく、という謎のビーチだった。

観光客の女性の死亡、老女の突然死から始まり、医師が錯乱してナイフを振り回したりと、不穏な雰囲気で包まれ始める。子供の様子がおかしいから医者に見せたいと言い出した母親、事件の発生のためになんとかホテルまで戻ろうとしたものの、途中でめまいがして倒れたりと、脱出はことごとく失敗に終わった。その後も病気の発作や殺し合いで死人が出た。

死体の風化速度のものすごさから、各人の老化、子供たちの異常な成長(6歳だったのに12歳くらいの外見に急成長)が目立ち始め、何とかしないと老化で死ぬことがわかり、さらに脱出を試みる。

海・山からの脱出も失敗して死者が出て、いよいよ脱出は絶望的となった中、4人家族の夫が、老化によって気持ちも変化し、浮気をしていた妻を許しながら、「美しいビーチだ。このまま、ここにいるだけでいいのではないか」といいながら妻と身を寄せ合いながら死去。妻も死去。閉鎖空間の中にいながらも美しい、天国のような安らぎを感じさせる、演出の良さがあった。

バスで食料を押し付けて走り去ったいきさつ、山の頂上から監視する男、何が背後で動いている感じはわかったが、製薬会社のシーンで、ひそかに人体実験を行う企みがあったという説明がなされており、はっきりとわかった。特殊な環境により生体の経過時間が早まることで、薬効もすぐにわかり、製薬が早くなるというメリットがあるため、特定の持病のツアー客を集めて密かに連行・監禁を行っていたということであった。二人だけ生き残った姉弟、アジア系少年との暗号の手紙の最後のところを解読したところ、サンゴ、という言葉に行きつくことで、サンゴ礁が脱出ルートだと気が付くが、洋服が水中でサンゴに絡まり、脱出は失敗に終わる(溺死)かと思われた。

ここで映画が終われば、これはこれでアリな気がした。世の中こういうことがあったら怖いですよね、という映画となる。

が、問題解決が監督の采配なのだろう。無事生還を果たした、すでに50歳台の肉体にまで成長老化した姉弟が、警察官に通報し、製薬会社の社員らが逮捕されるという結末だった。

物語について、さらに詳しく解説している記事があったので、貼っておく。

https://johnny-movie.com/movie/old/