トムクルーズ主演の近未来SF。3人の予知超能力者によって犯人が事前特定され、逮捕収監されることで、犯罪が未然に防がれる社会を描いている。 |
事前逮捕を担当する捜査官を務める主人公が、自身にとって不都合な未来を見た局長によって家族も自身も巻き込まれ、人生そのものを操作されてしまう。
結局、局長がすべての真犯人であり、自身の地位を利用してデータ改ざんし、自分の行った殺人の予知画像を削除したり、何者かがデータ操作をしていることに気づいた殺人捜査官の追及を逃れるために殺害したりと、利己的な行動に走る。
データ室の管理者が、ところどころ故障している、と言っていたが、局長による改ざんと思われるデータ消去が原因のようだった。それによって主人公の人生も大きく狂わされてしまうのである。不具合の発生や、人為的な操作が加わると、たちまちデータが狂い、間違えたデータを正しいことと思いこまされ、それによって支配されてしまう。 つまり、一部の専門家や能力者の功績はすばらしいが、それに一方的に頼っていると致命的な抜け穴がある可能性があり、気づかないと大変なことになる、という警鐘のようなものが感じられた。
そもそも予知能力者たち、年柄年中プールに浮かされたまま、予知を見るだけの人生になっていて、生活の自由も与えられずにそこに縛り付けられ、人権のない気の毒な存在であった。(幻想的なイメージを出すためにそういった演出なのかもしれないが、食事や排せつ、入浴など、まさかプール内ですべて済むとは思えない)また、眼球の移植手術、タランチュラという電子ペットによる捜査、予知センターの開発者の女性博士の植物園、などファンタジー色のあるシーンが、いろいろあって面白い。