マイケルの実の甥(兄のジャーメイン・ジャクソンの息子)である、ジャファー・ジャクソンがマイケルに扮して演じ切っている。
映画が終わるころには、マイケルの面影も感じさせてくれるジャファーさんの顔にも、かなり親しみがわいた。
伝記映画ということで、マイケルの半生が描かれていた。支配的な父ジョセフと、彼から受けた心の傷、子供時代の喪失など、受けた被害も大きいが、ジャクソン兄弟たちを音楽の道にすすませたのも父だった。
はじめは、インディアナ州・ゲーリーという製鉄所のあるところで父が働いて生計をたてていたようだったが、「おまえは、貧乏黒人のままでいいのか。」とマイケルに言っていた。父はそこから脱出したかったのだろう。住む場所、仕事、黒人、と最初の時点だと、当時のアメリカ社会の中では、あまり恵まれていなかったという背景が感じられた。
アーティストとして成功し、大人になったマイケルは、父からの独立を目指すようになり、身辺護衛のビルから、弁護士を立てると良いという知恵を授かる。そこから父に反撃を開始した。
数々のメガヒット曲を生み出しながらも、家族との軋轢、心の傷、撮影中のケガ(死因にもなったと思われる薬の投与が始まる原因)と一生続いた後遺症など、光と闇の対比も描かれ、どちらをとっても心に深く残るものだった。
私の世代はマイケルのリアルタイム世代で、「スリラー」のミュージックビデオを見た時に、初めてマイケルの存在を知った。それが出た時は、これはすごいと何度もビデオ録画を見直したものだった。踊りも素晴らしく目を見張るものがあったが、ガールフレンド役の女の子がかわいい、とか、それをマネして踊るんだという人がいたりと、話題性もあり、記憶違いでなければ、渋谷のセンター街でもスリラーの音楽が流れていた、という記憶もある。
マイケルのカッコよさも目を引いた。中性的だが人を引き付けるルックス(鼻の整形後でイケメン化も完了していた)、長い脚がクルクルとステップを踏み、ダンスも圧倒的にうまく、わあ、と思いながら見ていた。(子供時代からも圧倒的な歌唱力を持ち、すでに開眼していた感があった。)
私は、マイケルの東京ドームコンサートにも行っている(飽きっぽい私はすでに大ファンではなかったが、連れて行ってもらった)。残念ながら会場のキャパシティが大きすぎてマイケルが遠く、米粒のようだったので、もっぱら見ていたのは、会場内に設置された巨大スクリーンであったが、それでもリアルタイムで見ることができたという、とても良い思い出となっている。
映画の中で、所属していた宗教団体の教義に沿わないため、「スリラー」のMVがお蔵入りになりそうだったというエピソードあったが、このMVがあってこその華々しい世界デビューだったのではないかと思われた。
マイケルの華やかな表側の面を見ていただけのリアルタイム時代だったが、亡くなってから裏の側面をネットで知るにつけ、かわいそうな気持ちにもなってしまった。(お金があったが気がいいために、近づいた者に詐欺に近いことをされて、騙されたりたかられたりもあり、そういった苦労もあったようだ)が、世界一きれいな心を持っていたと思われ、俗物とかけ離れていた、そういう面でも素晴らしい人だったのだなあと改めて思った。
映画は途中のエピソードで終わってしまい、これは続編が出ること間違いなしだと思ったのだった。
