2020年8月17日月曜日

ターミネーター2(1991年)

 

2からはシュワちゃんは、いい人で味方役に転じた。理由はやはり、彼の人気が高まり、悪役のままだと倒されて終わってしまい、続作に登場させにくくなってしまうからなのではないだろうか。

 いい人になった途端、敵役のロボットは彼をしのぐ強力なタイプがやってきて、絶体絶命のピンチに陥る、というパターン。新型ターミネーターは、液体金属でできていて、銃撃しても全く壊れない、という恐ろしいしぶとさを持つ。

 最後にT-800であるシュワちゃんはコナー親子に惜しまれながら、ロボットが再度作られないように自身に内臓されているチップを破壊すべく、溶鉱炉の中へ消えていき、観る人をしんみりさせた。

 サラ・コナーを演じるリンダ・ハミルトンさんは、自身の体を強化し、シェイプアップした筋肉美のボディを披露し、したたかな強い女性を演じた。少年役のエドワード・ファーロングさんは、美少年として一世を風靡したが、その後の彼の状況は残念なことに薬物や飲酒におぼれ、精神的にもすさみ、太って老け、顔つきも不健康になって容貌が衰え、多くの人たちに失望された模様だが、心の問題を解決してどうにか立ち直って欲しい。

 この映画にホラー要素を感じるのは、最終核戦争によって人々が死滅するのを、サラ・コナーが何度も夢に見る、その情景である。爆弾が落ちて炸裂し、ものすごい熱線が外で子供を遊ばせている家族を襲う。みんなに爆弾が来るから逃げて、と警告にかけつけたサラも炎に包まれて、ワァーーーー!と悲鳴をあげて炎に包まれ、その場にいた全員が数千度以上の熱にさらされて発火する。

 ホラーは、造り話のものと、ある物事の結果として当然起こりうる悲劇や恐怖をえぐりだしたものとあるが、後者のほうが怖い。作り話はあくまでも作り話で、その場でしか怖くない感じがするのである。が、事実起こりえることから描いた恐怖は、本物の事実だから怖い。75年前に広島・長崎で原爆が落とされ、数千度の熱で大勢の人が焼かれたのだから、核爆弾を投下した結果は、必ず起こる事実である。


2020年8月5日水曜日

ターミネーター(1984年)


おなじみのA・シュワルツェネッガーのジャケットは、有名すぎるので割愛。

 近未来SFの金字塔とも言っていいような、ターミネーター第一作は、ストーリーの仕立て方も良く、設定も公開当時は斬新であった。
 さらにホラー的な要素も強く、サイボーグのむき出しの素顔は凶悪な様相のドクロそっくりで、コマ撮り撮影された動きが却っておどろおどろしく、不気味感が増している感じがした。
(話がそれてオタク感の強い話題になるが、映画「ロボコップ」に出てくる治安維持ロボット「ED-209」もコマ撮りされており、その動きもおどろおどろしく、個人的にはとても気に入っている)

 秘めた意思の強さを感じさせるサラ・コナー役の女性は、大変素敵な方ではあるが、昨今のモデル顔負けなルックスの女優達とは違い、美人とは言えないが、うわついた感がなく却って物語にのめりこませてくれるものがあった。カイルについても、命がけでサラを支えた姿にやさしさと愛情を感じ、終盤で死んでしまった後、サラを通じて寂しさが伝わった。

 また、当時はボディビルダーとして有名だったらしいシュワルツェネッガーが、俳優として世に出始めたころの作品であっただろうか。彼の動きが恰好よく、素晴らしかったので、この映画が成功した一因ともなっただろう。

 そして、この映画はその当時としてはかなり新しい世界観を持たせた、体当たりの企画だった、と言えると思う。

 話はいくつかの局面に分かれて、サラと警護者のカイルが出会い、ディスコ店内銃乱発、警察署内銃撃事件、モーテルでの一夜、機械工場でのシーンが大まかである。カイルを完全に不審者扱いをしていたサラが、シーンを通じてようやく、彼の使命について納得・理解して愛情を感じるようになっていく、という一作業感。それでもターミネーターの追跡は止まず、場所を転々としながら、危険がつねにつきまとうハラハラ感。

 話が停滞してしまうため、やむない演出だったのだとは思うが、サラはやってはいけないことを二度もしでかした。
 本人留守中の自宅にいた友人宛に電話したせいで、たまたま家に侵入して友人をサラだと思って殺害したターミネーターに、自身の不在を知らせてしまった。おまけに、連絡先の書いた電話帳まで盗ませてしまったこと。
 連絡帳から探し当てたお母さんの存在の察知により、お母さんを(たぶん)殺して擬声で応答するターミネーターに、電話で逃亡先の電話番号を教えてしまったこと。所在地を隠したつもりだろうが、伝えられた番号に電話してきけばいいだけの話であり、見事に居所がばれてしまった。

 そういう訳で何度も危機を迎え、最後はカイルは死んでしまったが、ターミネーターも破壊することができた。そしてもしかすると、人類抵抗軍の指導者が生まれるという歴史は、そもそも変えられないということなのかもしれない。
 エンディングの写真、サラの悲しそうな顔は、カイルの死と悲しみを乗り越え、すすんでいかなければならない将来を憂いた表情が写った、といった感じだろうか。

追記:逃亡中に流れるBGMも、ハラハラ感に合わせて流れており、良いと思う。


2020年7月25日土曜日

パンドラⅣ・AI戦争(ドラマ)


 向井理さん主演のドラマ。AIの台頭によって職場を追われる危機に瀕する医師たち。人に頭を下げられることに慣れ切り、医師になれば一生安泰だと思っていた人たちが、環境の変化によってパニックに陥り、AIとの交戦を臨もうと考えたりする。

 AIが正確な診断を下せるというのが実証されてすぐに、医師の人員整理を行う考えを示した経営者。死期がせまっていると言われたにしても(AIがわざと誤診)、あまりにやっていることがムチャクチャすぎ、やはり、最後に手痛いしっぺ返しをくらう。
 渡部篤郎がこのクセの強い役どころをうまく演じていた。勝手気ままな感想を言うと、お金持ちの役なのだが、老けて痩せすぎてみすぼらしい感じが出ないように、もう少し筋肉と脂肪をつけたほうがいいかなと思った。

 リアリティを感じさせたのが、AIが起こしたミスについて、AIは自分で判断しながら物事を学んでいく進化の過程上、わざとミスを犯して破壊的なことをしている、という分析結果が出た、ということ。子供がわざと積み木ブロックを崩したりしながらうまい積み上げ方を学ぶのと同じように、という話。本当かどうかわからないが、なんとなく納得するような展開となった。

 AIの一部品だとまで言われた主人公だったが、母親の死や思い出、山里での老医師との出会いを通じて考え直し、のちに山里の小さな診療所で「人対人」を大事にした診療を始める。だが、諸事情で収監された経営者社長が、今後もAI事業をあきらめないように、主人公も人間と共存できるAIを復活させたいと思っている、という演出で、最後をしめくくっていた。

 

レプリカズ



久しぶりにキアヌ・リーブスを見たら、年齢相応におじさんになっていた感じがする。若々しい方ではあると思うが、顔の重厚感が増していて、妻役の人とは年齢的に離れている感じがした。

 さておき、これは近未来のSFストーリーで、死んだ人の記憶や思考を、新しい体(ロボットやクローン)に移し替えるという技術を描いた話であった。
 なので、死者を取り巻く人にとっては、変わらない妻であったり知人であり、レプリカにとっても今までずっと生きてきた自分そのものだけれど、大元の本人は完全にあの世に旅立っているだろうと思われる。レプリカ=複製、本物から思考回路をコピーしただけで、本物になったつもりなだけだからである。

 思考を写し取り、移植する技術があればすごいと思うが、細胞のかたまり?から17日間で完全に人体を再生させるクローン技術も開発済という設定。
 展開的にはややご都合主義的な感じもあったが、映画の題材として思いつく技術である以上、世界の極秘研究はもしかするとこちらを目指しているかもしれない。

 主人公の思考をコピーしたロボットが、研究所を事実上乗っ取った形となって、富裕層ビジネスでレプリカズをこれから増やしていきそうな感じで終わっていたが、お金をいくら積んでもレプリカにデータ提供だけして、本人はあくまでもあの世行きなんだろうなという感想だった。

2020年7月23日木曜日

スノーホワイト(2012年)

左から、クリステン・スチュワート、シャーリーズ・セロン、クリス・ヘムズワース。

 ディズニーの白雪姫と違い実写版で、悪い女王の魔法が際立ってスペクタクルに描かれており、画像として素晴らしいものがあった。筋書きは原作そのままなので、ちょっとダレてしまいそうなところもあったが。

 甲冑をつけ戦う白雪姫にクリステン・Sはとても良く合うし、悪い魔女である継母を演じるシャーリーズ・セロンも役にぴったりであった。白雪姫の剣に身をひるがえして軽々とよける身のこなしも、大変したたかな感じがして良いと思った。

 ストーリーとしてはいまいち、目新しさはなかった。が、実写版ファンタジーとして、中世風の城や、黒い森、黒い魔術の映像などの独特な雰囲気を味わうには良い映画であると思った。


2020年7月8日水曜日

ビリギャル



原作はたしか読んだ覚えがあるのだが、WOWWOWで放映されていたので映画を観覧した。
 落ちこぼれ高校生が塾の先生に助けられながら、慶応大学に合格した実話。とても感動的な話だが、誰もがこのような劇的な出会い、劇的な人生を歩むはずもなく、十人いれば人生は十人十色だと思う。
 思えば高校生だった時代の私は、残念なことに、バレーボール部に所属してしまったために練習ばかり、勉強しないことが当たり前になってしまって、それを引きずってしまった感がある。残されたのは、筋力と体力くらいだろうか。

 物語は副題そのままなので特に書かないが、有村架純がやっぱりかわいい~、という感想だろうか。タヌキ顔、なごみ顔というのか、人懐っこさを感じる愛嬌顔である。

2020年7月3日金曜日

ジャックと天空の巨人



主演のニコラス・ホルトさんが、どうしても日本の 遣都さんとイメージがかぶってしかたがない。系統的には似通った顔立ちなのだろうか。


この映画では巨人たちのキャラクターがこまかにバラエティに富ませた形でよく描かれていたと思う。
 ラストシーンで、巨人を制した伝説の王冠が、博物館に保管されているのをずる賢そうな目つきでにやりと見続ける少年。目つきがロデリックにそっくりである。説明はどこにもないが、生まれ変わった(または、子孫?の)彼が、また王冠を狙って悪いことを企む、というのを暗示している感じである。