2021年3月5日金曜日

ペットセメタリー(2019年版 アメリカ)

 

1989年製作映画のリメイク版。正しいスペルはsemeteryだが、映画に出てくる墓地の看板のスペルが間違っていてsemataryとなっている。

呪われた土地に埋葬した死体が、以前とは別の生き物になって凶暴化して戻ってくるという話。1989年版のほうが、ストーリー的に新鮮だったので面白く感じて見れたのだが、リメイク版はどうなのだろうという理由だけで借りてしまったところ、ただの焼き直しだという感じが強く、ところどころ倍速で観てしまった。

猫が生前とは別物となり、敵意をむき出しにした不気味なペットとなって戻ってきた時点で、おかしいと思わなければいけないのだが、完全に土地の呪いにかかってしまった主人公が愚かにも、事故死した娘をもそこに埋葬してしまった。

この映画では、猫、娘、妻、主人公の夫、の順に蘇って全員戻ってきたが、ラストシーンで一人残された小さな息子も仲間に入れられるのはわかっている。その後、その魔の手は村人全員に延びていくのではないか、という予想がされる。



シライサン

 

ネット上に良くみられる流行りの恐怖画像と、「だるまさんがころんだ」遊び、呪いのチェーンメールの要素をとりこんだストーリー。

この話を聞いたら呪われます、といった話は、子供のころから聞いたことがある。古くは「かしまさん」当たりだったと思うが、呪いの真偽よりも、聞いてしまった後にイヤな感じにさせられるのは間違いない部類である。なので聞いた人が不幸になる系の話は、聞くのもそうだが、あまり面白がって話したくないものである。

呪いの幽霊が現れてから、じっと見ている間はこちらに近づいてこない(1,2時間の我慢比べだそうだ)という、「だるまさんがころんだ」的な対処方法も発見された。 殺しの成否に関わらず、3日に一回だけ一人のもとに現れることから、百万人に広げれば一生に一度も現れない確率が高まる、といったまさに呪いの希釈といった方法を思いつくヒロイン。皆を危険に巻き込みたくないと考え、その方法を拒否したが、呪われて両目が爆発して死ぬくらいなら、対処方法とセットで拡散したほうが、自分が生きる、ということに関しては忠実であるし、呪いの完全解除法の開発への希望も生まれるのではないか、と思う。

2021年3月4日木曜日

フライング・ハイ(1980年アメリカ)

 

現代は、Airplane! のようである。大変申し訳ないのだが、個人的には、外国映画のタイトルを邦題に付け替えるときのセンスが、今も昔もかなり悪いのではないかと思う。どうしても文字的に、釈由美子のドラマ「スカイハイ」とかぶってしまう。また、毎回思うのだが、映画の内容と違ったイメージに伝わりやすい題名ばかりが付けられている気がする。

コメディなのだが、1980年に制作されたものなので、やはりギャグの演出が古い部分が、ところどころに見られる。面白いのだが、大げさな演出を行うことによって笑いを誘う、という手法を多く取り入れている。

ヒーロー・ヒロイン役の俳優さんについては、知識がないのでよくわからないが、後世、「裸の銃を持つ男」で日本でも人気を博したレスリー・ニールセンが、この映画でコメディ俳優としての出発点を確立した、そんな映画であるようだった。

笑いを誘うシーンで、印象的だった部分は、ニールセンが乗客らにウソの説明を行うたびにピノキオの鼻のようにどんどん鼻が伸びて行ってしまうシーンや、飛行機の機長が鏡に自身を映して話していたはずなのに、では行ってきます、と言って鏡から本人が出て行ったところ、落ち着け落ち着けといいながら順番にならんで興奮状態の女性をかわるがわるひっぱたく人たち、列の後ろに行くほどエスカレートし、棒や銃などを手にしていたところなどであった。




2021年3月3日水曜日

回路

 


ネットを介して広まり始めた、呪いの恐怖のようなものを題材にした映画。

20年前の映画であり、主演の加藤晴彦さんが若く、ギャル男のような雰囲気が出ている。この人を初めてテレビで見たのは「木曜の怪談」で、広末涼子が主演していた学園ドラマで「あこがれの先輩」として出演していた記憶がある。松山ケンイチの奥様となった小雪も出演していたが、本当に昔からすらりとした長身で色白の、上品な美人であったのだなあと、見とれるレベルの美しさであった。

さておき、陰鬱とした空気の流れる画面の中、呪いにまかれてしまった人たちが、次々と別人のように様子がおかしくなった後に、黒い人影のようになって消えていく。誰も逃れられないという状況の中、いつの間にか街も、国も、無人と化してしまっていたようだ。呪いの伝播はとても速いようだが、生き残った者同士で船で逃げて、果たして逃げおおせるのか、疑わしいと思わせたまま物語が終わった。


ヘル・フライト

 


観てからレビューを書くまでかなり時間がたったが、やはり書いておこうと思う。

乗客が一人づつ姿を消していく、というストーリーは、ニコラス・ケイジの「レフト・ビハインド」的な映画かと思いきや、本当に悪魔が現れて人を連れ去る、という話だった。

B級ホラーで、レビュー評価も一般的にあまり高くなく、CA(客室乗務員)の女性への酷評で「だみ声のCAってどうなんだろう」的な指摘があったりと、手厳しいものがあった。というより、個人的には搭乗前のお出迎え待機前に、ずいぶんテンションの低い感じがするなあという感じはしていた。それと、他にも似たレビューがあったと思うが、乗客の着陸後の予定を聞いてついていこうとしたりと、なんだかCAとしてはいただけないやりとりがあったようだったが、B級ホラーなので、こういった「しょうもない」演出は仕方なかったかもしれない。

結局、乗客の中の一人の女性、普通の人かと思ったら悪魔で、一人一人をさらっていくという展開であった。そして最後は乗客が持っていた古代の書物?的なものを読んで悪魔に立ち向かい、なんとか退散させたというしめくくり。悪魔が、むき出し頭蓋骨に少し肉片がついたような不気味な相貌であった。が、完全に人間の頭蓋骨かと思わせるかと言うと、なんとなく横に平べったい、亀?のような顔だった。

部分部分独特にひねった?出だしや乗客の個性、展開に妙なひねりはあるが、それぞれ何とも言えない感じ。個性的に表現していると言えばそれまでだが、悪魔とわかった女が人間の姿のまま客室の中をとんで跳ねまくったりと、どうしても演出に微妙な感じがしてしまう。


2021年2月12日金曜日

Z 見えない友達(2019年カナダ)

 

大人には見えず、子供にだけ見える、友人Zの姿を絵にしたもの。

映画的には良く作られているが、ネタとしては、ちょっと子供だましな感じもしなくもない。欧米によくありがちな、怪物の話であり、お化け屋敷感の強い作品になっている。

子供の想像によってつくられたとばかり思っていたZ、ところがそれは母親が子供時代に友達だったモンスター、Zであり、また母親の元に戻ろうとしていたということ。

ところどころに恐怖をあおるシーンがあり、母親が風呂場でZを一目見ようと瞑想した結果、おそろしい顔の化け物が目の前に現れたり、父親に襲い掛かる化け物の恐ろしい顔がどアップで画面に映し出されたりと、その場でびっくりする怖さはあるが、瞬間的な怖さで、とてもカラッとしている。

そのため、あまり心理的なインパクトはない。映画として心に残るものとしたらやはり、風景や情景などが視覚的に大きな印象を受けるようなものだったり、音楽などが印象的だったり、人類全体に波及するレベルの出来事だとか、近未来を予感させるもの、とか、自分をとりまく世界観を刺激するものの方が残りやすい感じである。(演出だの俳優だの、といった要素もなくはないが、まわりとの調和や、とても個人的な不確実要素で好き嫌いも起きてしまうため、やや要素としては弱くなる。)

2021年2月10日水曜日

怖い本(2019年アメリカ・カナダ)

 


誰も住んでいないある古い家で昔、家族に拷問を受け、その後死亡した少女が怨霊となり、本に予言を書き続けていくという話。

トウモロコシ畑に建てられた、案山子のハロルドの顔は大変不気味なうえにゴキブリがたくさんはい回り、冒頭からの雰囲気を出す演出が良くできている。呪われた予言により、町の不良少年が案山子に変身させられてしまったり、他にも化け物に追いかけられた挙句、連れ去られたり、取り込まれてしまったりと、次々に失踪していく。

お化けの出現シーンがどれもそれなりに良くできている。呪われた本を返しに行っても家に戻るとそれが戻ってきてしまっていたり、赤い部屋を避けたつもりが、警報アラートの発動によって赤いランプで照らされた赤い部屋になってしまい、予言の通りになってオバケがでてきてしまうなど、逃げても逃げられないという怖さがある。

最後に結局、怨霊となった女の子の霊をなだめ、真実を書くと約束して本にそれをつづることで、一件落着する。失踪した友人たちが戻ってきていないので、続編ができて助けられる展開もあるかもしれない。