2020年10月10日土曜日

バタリアン(1985年)~往年の名作~

 


 特に売れっ子な俳優を際立たせるなどせずに、ストーリーの面白さでグイグイとすすむ展開が良かった。今はすっかり死語となり果てた?「オバタリアン」(オバハンをやや面白おかしく野次った感じ、別称的なもの)という単語はここから発祥していた。老婆ゾンビがちぎれた背骨をゆさゆさしながらしゃべる姿は強烈な印象をもたらし、すっかり有名に。そしてここから転じてオバタリアン、となったとか。

 生物標本の会社に就職した若い青年フレディ、その教育係のおじさん、フランク。フランクの悪ふざけによって、タンクの毒ガスがもれてしまい、街は大惨事に。暴れだした標本用の人間の死体の取り押さえに、駆け付けた社長とともに奮闘する。犬の半身標本も吠え出したりと、ドタバタ感があり面白い。

 葬儀屋アーニーの飄々とした感じもなかなか良かったが、フレディの死に至るまでの演技が意外と上手だったのではないか?という気がした。ガスを吸い込んでからどんどん具合が悪くなっていって半べそをかきながら痛みを訴え、一瞬の死亡時間をおいてから蘇り、バタリアンとなって凶暴に豹変するところも、演技を忘れさせる自然さがあった。

 問題解決なら爆破だ、という大変に大雑把な(アメリカ的?)発想により、バタリアンが大量発生した町がミサイルで吹き飛ばされる。が、問題解決には至っていない。バタリアンが吹き飛んだ煙や灰からまたガスが発生し、新たなバタリアンを生んでしまうからだ。この大雑把さが、次への不安要素を呼び寄せるラストとなっている。

奇跡の丘(1964年伊・仏)

 イエスの誕生から死、復活までのエピソードを描いている映画であり、登場人物の発するセリフシーンはものすごく少なく、あっても物語展開上の理解を促す程度のセリフ、ナレーション、もの悲しいアリアやコーラスが流れたりし、映像としてかなり象徴的な雰囲気が醸し出ている。

 初めてみたのはまだ若い会社員だったころである。仕事疲れか、お風呂に入らないでそのまま夜寝入ってしまうという生活をしていたことがあった。明け方に目が覚め、朝シャワーを浴びる、というのを一時期やっていたが、早朝枠?で自室においてあったテレビで放送していたものだと記憶している。

 なんだろう?と思いながらボーっと見てしまっていたが、どういうわけだか母マリアの顔、お告げ天使の顔、生誕を祝う学者の顔は、現在の動画サイトで見直してみたが、どれもああ、これこれこの顔だ、とずいぶん覚えていた。それだけ映像効果の強い作品だったと思われる。

イエス


あまりマリア(イエスの生母)らしくない、眼光鋭い少年顔の女性。


天からのお告げを届ける天使。

イエスの誕生に駆け付けた三人の学者の一人。

ジーザスクライストスーパースター(2018)

 

中央のグレーの人が主演のジョン・レジェンド、隣の黄色いドレスの女性(マグダラノマリア)がおり、手前の黄土色のスーツ、ヘビメタ風な人はアリス・クーパーという有名なロックスターらしい。

 イエス(ジーザス)は神の子、不思議な力を持ちすべてを悟る人で、自分がどうしていいかわからない人たちにこぞってすがりたたえられ、王に祭り上げられて、政治的権力者に目をつけられて殺されてしまう、といったあらすじだろうか。自分がどうしていいかわからない、体や心の病、ケガ、金銭、対人、仕事、その他複雑なものに関してのトラブルというのは人生から避けられないテーマである。そこから極力脱する方法はやはり、幸福が何かがわかっていないと難しい気がするが、現実との折り合いをつけながら自分の直感や感じ方を元に、どうしたら快適に生きられるかを知るところにあるかもしれない。どこかの記述にもあったが、本来人間が一人一人神様のようなものなので、自分を本当の意味で喜ばせられる方法に近づくことが幸せへの最善策なのだとか。


 こちらのお題目の初登場は、映画Jesus Christ Superstar (1973)であったらしい。動画サイトで少し見れるが、現代風にアレンジされ、音楽もロックとなって見やすい感じである。

 (実は高校時代、文化祭の出し物でミュージカルをした年があったのだが、ジーザス・・をやるかどうか皆で検討したことがあったが、著作権の問題があるなどで見送りにした経緯があった。著作権は50年有効で、などと話をしていた記憶がある。さらに、劇団四季さんの上演を参考にしようとしたが、ただ、写真を見てあまりのポーズの激しさや演技の難しそうな感じもあって、気後れも起きた。おそらく文化祭などの短時間で上演したとしても、規模が小さすぎた結果、何が言いたいのかわからない作品になりそうでもあった。)

 音楽的にはどれも名曲で、大変印象の強い曲なので、しばらく耳に残るくらいである。倍速で見飛ばしてストーリーがわかったからもういいや、という一度見きりの映画もあるが、それとは違って音楽を聴く、という意味で何度かリピート見したくなる感じである。そういったところからして、名作ミュージカルだと思える。

2020年10月6日火曜日

ポラロイド

 


 
 評価的にはB級ホラーという感じ。映画館ではなく家で観たせいか、画面が非常に暗いため、光が入りやすく、映画全体の画像が見づらかったこと。日常生活のいろいろな合間に見るには、いちいち室内を暗室のように暗くするわけにもいかず、なんとなく見るのに息切れが来てしまった。なので後半は展開の早い部分以外は2倍速で飛ばして観た。場所だの金銭面だのの制約がなければ、自分の映画館をつくりたいところである。

 呪われた写真機でうつした人物は、不可解な死を遂げる、という設定だが、闇の中から出てくるゴーストは、神出鬼没であり実態が本来はないはずなのに銃で撃つこともでき、出現時だけ実体化するのか??不思議な感じであった。Jホラー「リング」で呪いのビデオをみると貞子の怨霊に憑りつかれて死んでしまう、という設定にやや似ているが、幽霊が呪い殺すのではなく、モンスターが出没するあたりがやはり、アメリカな感じがする。


 

2020年9月29日火曜日

半沢直樹が終わりました。

 

豪華俳優陣の名演技が大変に光った。

 数年前の第一作で、敵だと思われていた大和田役員(香川照之)や金融庁の黒崎(愛之助)が、表面上はいがみ合うふりをして、いつの間にか本作で味方になった心強さがある。それぞれ、左遷や免職の危機を味わったあとで、半沢の側についており、これまでの自分を顧みた結果のようであった。

 ストーリーは見ての通りだが、半沢を取り巻く味方を演じる俳優たち(賀来、尾上、及川ら)や、名脇役たちも光っており、一つの良い作品となったと思う。大臣を演じた江口のりこさんも最近人気の俳優さんで、「事故物件」の映画の終盤で怪死をとげる不動産屋社員を演じている。幹事長を演じた柄本明さんもさすがであった。アンジャッシュの児嶋も、ボケをかましそうな感じをだしながらも、朴訥な秘書の役をこなしていた。

 最後に半沢の退職を引き留めた大和田の大芝居。半沢の気持ちをけなし、こんな銀行なんかつぶれてしまうぞ、と半沢のやる気に火をつけることに成功した。表面上は敵同士だが、大和田の愛情を感じるのであった。もちろんそれに気づいている半沢、にっこりして完結。というしめくくりだった。

2020年9月14日月曜日

クロール-凶暴領域-

 


 巨大ハリケーンに襲われたフロリダ。フロリダと言えば、ワニである。フロリダワニ園のワニは、5~6m以上あるかと思われ、ちょっとした恐竜のようである。日本のワニよりもずっと巨大でデップリとしたボリュームで、まちがっても一緒に泳ぎたくない類である。

 この話では、被災したと思われる父親を捜しに娘が救出に向かう。すでにワニが出現して襲われ、倒れていた父親。やがてワニに囲まれて地下室からの脱出も難しくなり、水かさも増してプールとなってしまった。この父娘以外の登場人物はほとんどワニに食い殺されてしまうというショッキングなものだが、ワニの数がとても多く、父娘が助かったのは映画ならでは、という感じである。

 父娘が絆を確かめ合いながら死と隣り合わせに・・、この展開はかつての映画「ディープ・インパクト」を思い出させるものがあった。テレビ局女性キャスター、ジェニー・ラーナーは、地球が惑星衝突で危機に瀕した中、箱舟メンバーとして選ばれ、安全な避難を約束された身だった。が、特権を放棄し、海辺の家へ向かい、断絶していた父親に会って絆を取り戻し、抱き締め合いながら津波にのまれていくという、もの悲しい展開である。

 こちらの作品も、二次災害は必至であり、危険だからわざわざ助けに行くべきではないというのは分かりすぎているのに、娘がけんかで疎遠になっていた父親のもとへ向かい、ともに助け合いながら生死のはざまで戦っていくのであった。自殺ともいえる救出行動だったので、これを思い出したのである。

 映画内の話だが、重大な局面を迎えた時ほど、身の危険を無視してでも、自分への許し、人生的な許しを求める行動をとりたくなる、というガンコ娘?のパターンなのだろうか。

 それにしても父親は体をかみつかれ、腕を食いちぎられ、娘は足、腕をかみつかれ、水中で振り回されと、本当だったら助からない襲われ方をしているが、観客へのサービスとしてたくさん見せ場を作ってくれたのかもしれない。

 付け足し・・せっかく地下室から抜け出せたのに、家の高いところに上らず、堤防が決壊するから通り向かいのボートに乗ろうと提案した父親。 うようよ泳ぐワニを振り払い(現実だったら無理)、乗船に成功した。そして決壊の大水が来れば転覆・大破の危険があるから舟は本当にやめた方がいいと思うが、家の中に押し流されて逆戻りし、船もひっくり返ってしまう。「ボートに乗ろう」と言っていたあたりから、エッ、と思ったが、完全に判断ミス。が、そのあとの展開でワニ恐怖シーンがさらに展開するので、これがなくてはいけなかったのだろう。



2020年9月11日金曜日

「事故物件 恐い間取り」を観てきました

 


 コロナ騒動のために怖くなって年明け1度くらいしか映画館に行っていなかったが、子供からのリクエストもあり、一緒に見に行くことにした。

 ビル管理法と興行場法の基準を満たし、感染防止管理をきちんと行っています、ということで、それをうのみにしないにしても、感染者が発生していなさそうだという判断をして、行くことにした。

 こちらも借家住まいなので、事故物件のことには「大島てる」なども閲覧してアンテナを張っているが、自宅に関してはそういう該当はないものの、ナイターで観覧したので、恐怖感が深まってしまいそうであった。

 松原タニシ、という実際に事故物件に住んでいる芸人の話を映画化したものだが、やはり事故物件に住みまくって何も起こらないわけではなさそうである。世の中、科学では説明のつかないことは普通にある気がする。いやな予感がする、とか、ピンとくる、とか、頭の中にやけに浮かんでくる、などといった第六感的なものもそうだし、そこにかかわったがために事故・病気などの災難に見舞われる、というのはやはり、科学では説明がつかない。触らぬ神にたたりなし、としか言えない。

 私が実際に聞いた話は何年も前にブログで書いたが、賃貸物件で広さがあるわりに異様に賃料が安いために理由をきいたところ、やはり事故物件で、それを小馬鹿にして住んだ人にも災いがふりかかり、無事ではすまなかったらしく、結局空き家になってしまった、という後日談を不動産業者からきいた話である。(地方の物件)

 本編の話に戻る。気が付くと事故物件の部屋で自殺しそうになっていたり、人がいないのに玄関のチャイムが鳴ったり声が聞こえる、などの事件から、幽霊オールスター出没・大乱闘にまでことが大きくなってしまい、怖いながらもドタバタ感もあった。そしてクライマックスではラスボスのようなもの(死神的な)がやってきて、お札もきかず、大変なピンチを迎え、仲間に助けられてようやく命をとりとめた。が、後日、物件を紹介してくれた不動産屋の女性が奇怪な事故死をするなど、最後まで安心させないオチがあった。