2024年1月5日金曜日

風と共に去りぬ(1939年)

 

とことん合わない二人。レットは男気のあるたくましいタイプの人間で、一方のスカーレットも自分が女王様であり自分が優位でありたい女性(と思われる)であり、どちらも譲らないものが根底にある。好きであることと、長くうまくいくというのは違うし、相性もおそらく悪い。

 自分の母親が、何かにつけこの映画の話をしていたことがあった。レットバトラーは野卑な魅力のある男、アシュレーは品位のある上品な紳士だということなどなど。とにかくあの映画の世界が好きなのだということはわかったが、非常なこだわりを持っていたのは覚えている。母も話し出すとくどく、面倒くさいので適当に聞いていたが、あこがれやこだわりを持っていた作品、ということで一応目を通すことにした。

 スカーレットはとびきりの美人であるが、鼻っ柱が強く、猛女、といったほうがいいかもしれない。片思いの彼・アシュレーに振られた腹いせに、言い寄ってきた男性と結婚して、戦死してもまったく気にしなかった。 その後、実家の納税のために、妹の恋人をだまして奪って結婚し、亡くなった両親に代わって土地家屋をどうにか維持した。まずそこからしてすごい。人に憎まれても守りたいものは何だろうか。物質よりは人(家族)のほうではないかと、個人的には思った。

 だまし取った旦那もその後、警察に銃殺されてしまって泣きくれたが、旦那を思ってではなく、自分の不幸な身の上を不安に感じてのことだったようだった。

 スカーレットは気が強く鉄面皮だが、反面もろく、自分が傷つくことや、身の上、かなわない恋などに、クヨクヨメソメソするというもろさがある。相当忙しく、本人も疲れるのではないかと思う。そのもろさが、「怖い」になり、相手を傷つけるという行為につながってしまうようだ。

 レットの強い申し入れによって結婚するが、最初から気が合わない感が出ていた。一人目を出産したスカーレットは自分の容姿を気にして、レットの思いをくじき、二人目は生まないことを宣言。

 アシュレーと抱き合って心配事を告白していたのを目撃されて噂されたり、アシュレーの写真を床に落としたのが見つかってレットを傷つけたりした。一夜を二人で過ごして機嫌をなおしたスカーレットに、今度はレットが子供を連れて出ていく、と言ったりと、すれ違いもひどい。

 母親の見ていたその映画の場面を横からみていて、子供が死んでしまったのも知っていたが、元々合わない感じの夫婦をつなぎとめる「かすがい」であったものが無くなってしまう、というのはもとからダメなんだろうな、という夫婦像であった。しかも、子供が亡くなったのをレットのせいにしてののしるというスカーレットの無慈悲な言動が、なおいっそうレットを傷つけた。演出のやりすぎも感じたが、夫婦間がダメになる布石が大きすぎる。

 アシュレーへの思いを断ち切り、レットへの思いを大事にしようとした時にはすでに遅く、レットは立ち去る決意を決めた後であった。タラに戻って再起を決意するスカーレットはレットへの思いを新たにするが・・。


 絶望ではない終わり方だったのは良いが、その後は視聴者の想像に任せる感じである。想像するなら、二人が結婚することはないだろうが、一緒には暮らさない、恋人として基本自由な関係、あるいはお互い別の伴侶を見つけて友人同士になる、という未来だろうか。どちらの人物も、目で追うには魅力的だが、互いの調和力はあまりない感じがする。

 原作のマーガレット・ミッチェルの亡くなった後に、違う人がこの物語の続編小説を書いたようで、ネットで簡単なものが閲覧できる。一時的にまた二人が出会い、旅行中にできた子供がのちのち生まれ、紆余曲折を経たあとで、三人家族としてまたやり直す、というあらすじのようである。