2023年1月11日水曜日

デッド・フレンド・リクエスト(2016年ドイツ)

 


大学の講義室で時々一緒になる、不思議な感じの女子から、フェイスブックでの友達招待を受けた主人公ローラ。本人はリア充で、素敵な彼氏、仲の良い友人たちに囲まれ、充実した毎日を過ごしていたが、そんな中で一人ぽつんとしているマリーナから友人招待を受けて、何の気もなくそれを受けたところ、突然ストーカーのように付きまとわれた。

そこから距離を置こうとして嘘をつくもばれて、いよいよしつこく迫られ、友達を取り消した。彼女に見つかってしまったリア充写真は、ローラの誕生日で集まったルームメイト、クラスメイトやその彼氏友人と、自分の母親と自分の彼氏、楽しくにぎやかな一日を過ごす集合写真であった。そしてその直後に自殺してしまったマリーナの逆恨みの呪いが、ひとりづつに降りかかっていくのだった。

映画「スペル」のような、逆恨み系でかつ粘着度の高いおそろしい恨みがふりかかる話である。フェイスブックの相手の友達解除をしたり、書き込み削除ができなくなったり、退会もできなくなったりと、本当にあったら非常に嫌だと思える事象が次々起こり、ローラを囲んでいた周りの人たちも次々と死んでしまう。

呪いが発動して死ぬ前に、大体、奇妙な気配と幽霊たちの出現などでパニックとなり、そのあと何かにあやつられるようにして自殺してしまった人々。そこの雰囲気の不気味さが、この映画を見ていて怖いところである。

そして最後にはローラが、自殺したマリーナの後釜になり、フード付きのパーカー姿でひとり校内にたたずむようになって、新たな犠牲者を待ち構えているようなエンディングとなっていた。

そしてこれは、あくまでも個人のものすごい怨恨によるものであり、特定の個人の魂が醜くねじ曲がっていて、かつ、ものすごい呪いの力を持っていたために、とばっちりを食った周りの人たちが、非常に迷惑させられたというストーリーだなあ、というしめくくりをしたい。

2023年1月9日月曜日

ミミック2(2001年アメリカ)

 


ゴキブリ退治のために新種「ユダの血統」を開発したところ、それが突然変異をしてとんでもない怪物に成長した、という話。人間に擬態するができ、ロングコートを来た大男の姿で夜道にぬっと立ち、追いかけてくるシーンはそれなりに怖く、不気味感がある。

ユダの血統も、シロアリやカマキリの遺伝子を用いているためにゴキブリ的な要素が強く、そして人間に擬態ができるという不気味さが、これがのちの日本の「テラフォーマー」の原点になっている感もする。

人間に擬態した昆虫は、輪郭は人間であるが、やはりよく見ると全然違い、不気味な代物となっているところが、この映画の味わいどころだと思う。

それはさておき、主人公の女性教師は、ストーカー的というのか、下心見え見えな男性に常日頃から付け狙われたり誘われたりした挙句、ユダの血統からも繁殖のパートナーとして選ばれたりと、この映画ではことごとく、怪物を含め異性からセクハラを受けまくる役どころとなっている。そこがこの映画の製作者の趣向なのだろうと思うが、見ていると本当にお疲れ様という感じになってくる。

一連の殺人事件の容疑者にされた女性教師、事件を追う刑事によって虫から共に逃げ、やっつける立場になっていくのだが、ラストもこの刑事の擬態をした虫が玄関までやってきて、入ってきたシーンが不気味で、印象的である。

2023年1月5日木曜日

30デイズナイト アポカリプス(2012年)

 


 ヴァンパイアホラー「30デイズナイト」の前日譚という設定の話ということである。物語的にはあまり面白味は感じられなかったが、ヴァンパイアに一度家を見つけられてしまうと、そこまで追ってきた襲ってくるということであり、やっかいな相手である。

 ヴァンパイアたちに関する悪事を暴露できるデータをしまった金庫の暗証番号が入れ墨されているために、彼らに追われ続ける男。彼を殺人犯だと誤認識する警官に逮捕され、移送の途中で彼らの襲撃を受ける。

 設定的にはデータを守るという現代的な設定であるが、人々がヴァンパイアの存在に気づかず、追われ続けている男がすべての殺人事件の犯人だと思い込むのは、ゾンビ映画黎明期のような感じの、人々の「そんなことはありえない」という思考とほぼ同じであった。いわゆる正常性バイアスのかかった人たちを、大災難が裏切っていくというストーリー展開だが、流れを知っている側から見ると、イライラしそうになる。

 男の収監されていた警察署に勤務する女性もとばっちりを食ってヴァンパイアに感染してしまうが、その行方を追う元刑事の兄が男と行動をともにしながら妹を探していく。変身しつつも理性の残る妹は、日光に当たって自死した。そして襲撃してきたヴァンパイアは殲滅できたかに思えたが、ラストでヴァンパイア変身した男を、元刑事が撃つというラストだった。

2023年1月2日月曜日

モンストラム 消失世界(2019年)

 


いわゆるワームホールをテーマとした話で、そこをくぐったと思われるハイジャックされたバスの中で、乗客全員が記憶喪失となって別世界に放り込まれた話。

最初の竜巻で、なぜかバスから降りて猛ダッシュで逃げ出す乗客たち。が、嵐の中の鋭いかまいたち?に襲われて大勢死亡。残されたハイジャック犯たち、乗客、刑事、8歳の少女とで記憶をなくしたまま異世界をさまよう。

CG作成の不細工な怪物に追い掛け回されながら、キャンプに逃げ込むと、残された日誌により、そこが異世界だということに気づき、ワームホールで帰還できるかもしれないことがわかった。

ハイジャック犯たちは、記憶喪失前は悪い人間であったが、一人の少女を助けるために全員が「パパ」となって良い人になるという一面もあった。自分勝手なエゴをそれぞれ振り回した行動をとろうとするも、少女を助けたいという気持ちによって結束はあったようである。

少女はこの話で皆をまとめるという重要どころであったが、何せ衝動的過ぎて、大人の言うことは聞かずに自分の感情で勝手な行動をとりまくり、非常に扱いづらくやっかいな性格であったが、本当にこんな子供がいたらまさにADHDを疑うレベルであった。

火星へはワームホールで飛べるという説や、怪物がいるという説もあるようだが、もしかするとこれは、一時の火星旅行だっただろうか。

背景は、終わりのない砂漠世界なので、ある意味、楳図かずお原作の「漂流教室」(1987年)の世界を少しほうふつとさせる世界観であった。





未来世界(1976年アメリカ)

 


1973年の映画「ウェストワールド」の続編で、ロボットたちが支配するレジャー施設を舞台に、主人公とパートナーが陰謀に巻き込まれる話。

前作のウェストワールドでは、AIを持ったロボットの反乱により、レジャー施設が殺戮の舞台と化してしまったというあらすじだが、本作では、施設の運営者も本物と入れ替わって人間を排除しようということをたくらみ、事実を暴こうとした者たちを殺戮し、そっくりに作ったロボットに置き換えようとしていた。

施設はお好みで選べる宇宙・中世・ウェスタン・・などがあったが、VIPたちだけを招待するほどの施設かどうかはやや疑問であった(当時の映画としては目新しい?)が、あらすじ的には悪くないので、リメイクの余地はありそうである。

ただ、精巧に作られた人型AIも実用化できそうな昨今の技術進歩の様子、話が現実的すぎる感もあって、なんとなく怖い。


2022年12月30日金曜日

ゾンビ・バスターズ(2010年 アメリカ)

 


いわゆるゾンビものB級映画で、バスターというほど殺しまくる感じは出ていない。

ある研究所で死んだ妻を生き返らせるために研究した博士により、妻がゾンビとして生き返り、そもそもの発端になった。妻は死んでから数カ月もたっているのに、普通の人(色つやが良すぎる)がただ寝ているだけ感、という不思議感。いろいろ適当な部分があって突っ込みどころが満載であった。

車の運転もラフすぎて、踏まなくてもよい障害物をわざわざ踏んでのパンク。車を降りてゾンビに襲われるのだが、助けてくれた保安官の車でも不思議事象。車の窓が、一般のガラスのようにガシャーンといって割れ、ゾンビにつかまった保安官もそうっとおろされるかのような引きずり落され方をするし、演出がいちいち不自然であった。

その後主人公がたどり着いた住居のようなものが、1階がぼろぼろの崩れそうな掘立小屋状態で2階部分はきれいにしっくい?で整えられた一般家屋。上階と1階の状態の落差がひどく、1階は木の板数本で壁ができており、すぐにゾンビたちにやぶられそうなひどさ。二階はきれいでふんわりしたベッドもあり、まったく不思議家屋である。

その家屋にいた男女は、主人公以外に荒くれ者のニール、連れの女性、女性姉妹二名と男性1名。あとから、不時着のヘリからの男性兵士1名。兵士から、この地域一帯は爆撃で一掃されるということをきいて、車で脱出しようにもガソリンがないため、2.5km離れた隣町に調達に行く。ゾンビからかくれるために夜の決行であった。作戦中、ニールがたばこが吸いたいために余計な音をだしてゾンビらをひきつけてしまい、主人公の足を引っ張るのもいかにもである。

滞在中のゾンビからの襲撃により、かまれた女性がゾンビ化、ニールもやられてゾンビ化。具合が悪い、怪物になりたくないと言っているのにかたくなにそうはならない、と全否定したあげく、やられるニールのバカさ加減もこういう映画のデフォかもしれない。

ライフルを手にゾンビをうち、仲間のゾンビ化した男性を撃って落ち込み、家屋内で姉が亡くなり、はげしく落ち込む妹。が、ひどく落ち込んだ割には次のシーンでは、テキパキと脱出のための板はがしを手伝い、なんやら切り替えが異常な速さであり、やはり演出が変な感じである。その激しい落ち込みの演出は、かえっていらないかと思われる。

ガソリンを入れてやっと走り出した車の中で、生き残った主人公とにっこり見つめあう妹。なんか不必要な雰囲気が流れて、えっ、このタイミングでその演出?いらないのではないかと思わせてくる。

とまあ、いろいろ変な感じがしたり、いらない会話や空気感や演出でぐだついたりはしている。が、B級ゾンビ映画に出てくるテンプレ的なシチュエーションは満載されている。(発端の出来事、籠城、仲間のゾンビ化や襲撃、爆撃、煙を上げている都市部など)



2022年12月27日火曜日

マスターズオブホラー(2018年)


数編のオムニバスによって構成されている物語集。それぞれが、とある怪しい映画館を訪れた個々の人々が主人公となる映画を見させられ、奇妙な世界が展開していく。

1.宇宙から飛来した隕石から出てきた宇宙グモ。それらに寄生される人たち、それを殺してなんとか侵略を防ごうとする者。/ 2.悪魔の乗り移った少年、それが、女性、シスターへと乗り移り続け、その間に人々を惨殺していく恐怖。/  3.婚約者に勧められた整形外科医でおそろしくおぞましい姿に整形させられた女性。/  4.時間の経過とともに、自分を取り巻く環境と人間が、自分と子供以外、醜くおぞましく変化していってしまう恐怖におののく女性。/  5.殺人鬼に両親を殺され、自身も死にかけた少年が、死んだ人が見えるようになり、入院先の病院でいろいろな体験をする話。

5番以外、すべて怪しい映画館の主人(怪優・ミッキーローク演)によって映画を観終わった直後に殺され、幽霊となって少年の前にたちはだかったが、少年は映画館を後にして脱出する。ミッキーロークの、狡猾で、ねちっこい雰囲気のあふれる怪人も、非常に印象深かった。

ストーリー的には、4番の物語がホラー的に好きである。ふっと時間の経過に気づいたとき、目の前の人が、血に汚れた衣服をまとい、顔のゆがんだ人物に変化している。廊下なども異世界のように、血なのか汚れなのかわからないが、いたるところに液状の汚れがついておどろおどろしく変化しているというショック。不思議な世界の部分は白黒であるが、そこが、物語の暗さや、いっそうの想像力をかきたて、カラーよりも味わい深くなる感じがする。

また3番に出てくる整形外科医、あまり見ない顔なのに、きっと有名な俳優だろうという印象がぬぐえなかったが、あとでわかったのが、1980年のドラマ「将軍」のDVDで見た三浦按針を演じたリチャード・チェンバレンであった。